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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第11話 ルーキー狩りの切り札

第11話 ルーキー狩りの切り札 作:氷色

「俺のターンはこれで終了だ」


龍/LP1500・手札1
モンスター
ドラゴン・リー/攻3000


遊緋/LP1600・手札5
モンスター
ガスト/攻1500


龍がターンを終了した。
遊緋のターンだ。

「ボクのターン、ドロー!」

引いたのは罠カードだった。

遊緋は目の前の敵を見やる。
先程なぜモンスターが相討ちにならなかったのかという謎はまだ解けていない。しかしまずは眼前の敵をどうにかしなくては話にならない。
龍のモンスター《ドラゴン・リー》は攻撃力3000の連続攻撃持ち。このモンスターを残したまま向こうにターンを渡せば厄介なことになる。
幸い手札は潤沢だ。このターンで倒せる。

「手札から魔法カード《マスク・チャージ》を発動!墓地から《マスク・チェンジ》と《M・HERO 烈火》を手札に戻す!」



《マスク・チャージ》
通常魔法
(1):自分の墓地の、「HERO」モンスター1体と「チェンジ」速攻魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。



遊緋が発動した魔法カードは《マスク・チャージ》。これは墓地に存在するカードを2枚も回収できるアドバンテージの塊のような手札補充カードだ。しかも回収できるのは、このデッキではキーカードである「チェンジ」速攻魔法だ。

「そして手札に加えた《マスク・チェンジ》発動!《ガスト》を変身させる!」

遊緋が回収したばかりの《マスク・チェンジ》を発動させると、《烈火》の時同様《ガスト》のマスクが輝き出し、そのスーツも変化する。

「変身召喚!!出でよ、突風の化身!レベル6《M・HERO ブラスト》!!」

旋風と共に現れたのは突風のM・HERO。
緑色のスーツ、赤いマフラーはそのままに、あらゆる障害を跳ね飛ばす風を纏っている。



《M・HERO ブラスト》 †
融合・効果モンスター
星6/風属性/戦士族/攻2200/守1800
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を半分にする。
(2):1ターンに1度、500LPを払い、
相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。



「《M・HERO ブラスト》の効果発動!《ブラスト》は特殊召喚に成功した場合、相手モンスター1体の攻撃力を半分にできる!」

《ブラスト》がその名の通り突風を巻き起こす。それは竜巻となって《ドラゴン・リー》を襲った。

「“ダウン・ストーム”!!」

凄まじい風圧に晒された《ドラゴン・リー》は苦悶の声を上げる。


ドラゴン・リー/攻3000→1500


「ぐぅうう……」

煽りを受けた龍も突風に巻き上げられた砂ぼこりに見舞われ顔を隠す。

これで《ブラスト》の攻撃力が《ドラゴン・リー》を上回った。
どんなに攻撃力が高かろうがこうして下げられてしまえば梨の礫だ。

「更に《M・HERO 烈火》を召喚!バトルだ!」


烈火/攻1600


遊緋のフィールドに再度《烈火》が現れ、そしてバトルフェイズに入る。

「まずは《ブラスト》だ!《ドラゴン・リー》に攻撃!」

《ブラスト》が《ドラゴン・リー》に詰め寄る。
暴風に反撃の力を奪われた《ドラゴン・リー》に為す術はない。


ブラスト/攻2200○
 ↓
ドラゴン・リー/攻1500×


《ブラスト》の手刀が一閃、《ドラゴン・リー》に炸裂する。

しかし、一瞬ぐらりとよろけたものの《ドラゴン・リー》は消滅しない。
龍への戦闘ダメージもない。

龍はにやりと笑った。

「《ドラゴン・リー》が行う戦闘では俺に戦闘ダメージは発生しないんだよッ!」

やはりか、と遊緋は心中で呟く。
この戦闘で龍にダメージが届かないことは分かっていた。それは《ドラゴン・リー》のモンスター効果だからだ。
しかし《ドラゴン・リー》には戦闘破壊耐性はないはず。この戦闘で破壊されないのは説明がつかない。

本来ならこの戦闘で《ドラゴン・リー》は除去され、続く攻撃力1600の《烈火》の直接攻撃で残りLP1500の龍は敗北となるはずだったのだ。

「……じゃあ、これならどうかな。《烈火》で《ドラゴン・リー》に攻撃だ!」

《烈火》が《ドラゴン・リー》に殴りかかる。

しかし龍が息を吐いた。

「ハッ、それも通さねぇよ!手札から《シールド・ファイター》を発動するぜ!」

《烈火》が繰り出したパンチは、寸前のところで現れた盾に阻まれた。

「《シールド・ファイター》は手札から墓地に送ることで、相手モンスター1体の攻撃を無効にする!」



《シールド・ファイター》(オリジナル)
星3/地属性/戦士族/攻500/守1800
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に、手札のこのカードを墓地に送って発動できる。その攻撃を無効にする。
(2):相手モンスターの直接攻撃宣言時に、墓地のこのカードを除外して発動できる。その戦闘で発生する自分へのダメージは半分になる。



「手札誘発モンスター……」

手札誘発モンスターは効果を手札から発動できるモンスターのことだ。奇襲性が高く、相手に悟られにくく邪魔されにくい。こんなカードを隠していたとは意外だった。

しかし龍が本当に隠しているのはそんなものではないだろう。
そろそろ本当に龍のモンスターが破壊されない謎を解かなければ苦しくなってくる。

そもそもカードの効果以外でモンスターが破壊されるべき状況で破壊されないということは、デュエルモンスターズではあり得ない。

となれば、真っ先に思い付くのはーーー

「ーーー何らかの不正」

『それはありませんよ♪』

ぽつりと思考が言葉として漏れた呟きに、ずいと顔を寄せて反応したのはフレイヤだった。

『龍サンは一切の不正行為を行ってはいません♪それはジャッジである私の威信を掛けて保証しますよぅ♪』

フレイヤの瞳はおよそ自然のものとは思えない銀色。しかしそれに嘘を言っている色は見えない。というかジャッジがプレイヤーに嘘をつくようなら、このゲームは成り立たない。クソゲーまっしぐらだ。

龍が呆れたように両手を上げる。

「オイオイ、俺の不正を疑ってるのかよ?勘弁してくれよ。こう見えても俺はデュエルに於いてはフェアプレーを心掛けてるんだぜ?俺は“このゲームで許可されている行為しかしてない”ぜ?」

『そもそもぉ、ルーキーくんD・ゲームなめすぎぃ♪』

フレイヤが人指し指をぴんと立てる。

『D・ゲームはそんじょそこらのゲームとはわけが違うんだからぁ♪人間なんかに不正なんてできるわけないよぅ♪てゆうかぁ、不正なんかしたらぁ、“ただじゃすまない”よぅ♪』

フレイヤは笑顔だったが、それを聞いていた龍からヘラへラした笑みが消えた。
それだけで本当に洒落にならない事態になるのであろうことが容易に想像できる。もしかしたら龍は実際にそういう現場を見たことがあるのかもしれない。

しかしいま重要なのは、龍は確かに何の不正も行ってはいないということだ。
であるならばやはりこれはD・ゲーム独自の何らかの仕様であることになる。
いま遊緋が考えるべきなのは、その正体を掴むこと。

遊緋は手札を1枚デュエルディスクに挿れる。

「ボクはカードを1枚伏せてターンエンド」


遊緋/LP1600・手札4
モンスター
ブラスト/攻2200
烈火/攻1600
魔法・罠
伏せカード×1


龍/LP1500・手札0
モンスター
ドラゴン・リー/攻1500


「俺のターン!ドロー!」

龍がカードをドローし、遊緋を見る。

手札・フィールド・LP、その全てで遊緋が大きなアドバンテージを持っているのは明らか。デュエリストとしての実力の差は認めなくてはならない。

しかしそれでも龍に負ける気など毛頭ない。
それはD・ゲームプレイヤーとしての経験の差が圧倒的なアドバンテージとしてあるからだ。

「まずは墓地の《ルーキー・ファイター》の効果を発動する!《ルーキー・ファイター》は墓地から除外することで、フィールドのモンスターの変化した攻撃力を元に戻すことができる!」

龍が《ルーキー・ファイター》の効果を使用したことで、《ドラゴン・リー》が《ブラスト》によって受けたダメージが見る見る回復していく。


ドラゴン・リー/攻1500→3000


《ドラゴン・リー》は元の強力な力を取り戻した。
これで再び龍が攻撃力で遊緋のモンスター達を上回ったことになる。

そしてもう一つ、龍が遊緋に対して持っているアドバンテージは『デュエリストスキル』だ。

遊緋が如何に優秀なデュエルモンスターズプレイヤーであろうとも、D・ゲームプレイヤーにのみ与えられる特権『デュエリストスキル』に気付けるはずがない。

デュエルモンスターズはカードのステータスと効果によって闘うカードゲームだ。
だがD・ゲームは違う。
D・ゲームはあくまで優秀な人材を選別するためのゲーム。デュエルはそのツールの一つに過ぎない。デュエルだけが全てではないのだ。

この『デュエリストスキル』もそうだ。
デュエリストスキルはD・ゲームに参加した者だけに与えられる特殊能力だ。この能力を駆使することでプレイヤーはデュエルを有利にすることができる。
しかし運営はこの能力について、一切の情報をプレイヤーに与えない。プレイヤーは、D・ゲームを闘う中で自分でその能力に気付くしかないのだ。
それはプレイヤーのデュエリストスキルに気付く力、それを上手く利用する力を量っているからだ。

龍はフレイヤにチラリと視線を移す。

だからこそジャッジでありながらフレイヤがそのことを遊緋に告げることは絶対にない。
だからこそ龍の取ったルーキー狩りという戦術がハマり、かなりの勝率を叩き出すことができた。
そしてだからこそ遊緋は絶対に龍には勝つことができないのだ。

龍はその顔に貼り付いた笑みを深くし、自らの唯一存在するモンスターへと指令を出した。

「バトルだ、《ドラゴン・リー》!《M・HERO 烈火》に攻撃ッ!」

《ドラゴン・リー》はまるで鳥類のような声を上げて飛び出していく。

《マスター・オブ・アーツ ドラゴン・リー》はその名の通り、格闘技のスペシャリストだ。ヒーローだろうが何だろうが素手で叩きのめすことなど造作もない。
そして彼こそ龍のデュエリストスキルを体現するモンスターであると言える。

龍のデュエリストスキルは『功夫(クンフー)』。
その効果は『LPが初期LPの半分以下で自分フィールドのモンスターが1体のみの時、1ターンに1度そのモンスターの破壊を無効にできる』というものだ。
だからこそ龍は自分フィールドにモンスターを複数展開することはなく、序盤にある程度のダメージを負うことを厭わない。

このデュエリストスキルの弱点は戦闘ダメージを防げない点にあり、高い攻撃力のモンスターで攻撃された場合手痛いダメージを負うこともあるが、戦闘ダメージを0にする《ドラゴン・リー》ならばその心配もない。
これこそ龍が《ドラゴン・リー》を自らのエースモンスターとしている理由だった。

その《ドラゴン・リー》が「アチョー!」と叫び、かなりの高さから《烈火》に飛び蹴りを喰らわせようとしていた。


ドラゴン・リー/攻3000○
 ↓
烈火/攻1600×


「くっ、リバースカード発動!」

遊緋が伏せカードを発動させる。

だが龍にはデュエリストスキル『功夫』がある。罠で《ドラゴン・リー》を破壊することはできない。

《ドラゴン・リー》は構わず《烈火》を蹴り飛ばした。
思い切りその蹴りを喰らった《烈火》は地面に落ちる間もなく消滅する。

攻撃力3000の《ドラゴン・リー》に攻撃力1600の《烈火》が破壊されたため、遊緋の受けるダメージは1400。残りLP1600の遊緋はもう風前の灯火となるーーーはずだった。


遊緋/LP1600→900


しかし遊緋のLPは700しか削られていない。

「罠カード《ダメージ・ダイエット》を発動させてもらったよ」



《ダメージ・ダイエット》
通常罠
このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる。
また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる。



「チィ、ダメージ軽減系の罠カードか」

「ダメージ軽減はあんただけの専売特許じゃないーーーなんてね」

先程言われたセリフをアレンジして、遊緋は軽く舌を出した。

「まだ余裕があるとでも言いたげだな。その態度がいつまでもつかな!?」

龍は再度《ドラゴン・リー》の攻撃権を行使する。

「《ドラゴン・リー》は連続攻撃が可能だ!《ブラスト》もやっちまえ!」

またも《ドラゴン・リー》がひらりと舞い、今度は《ブラスト》に回し蹴りを見舞った。


ドラゴン・リー/攻3000○
 ↓
ブラスト/攻2200×


しかし、その蹴りを《ブラスト》はしっかりとガードしていた。

「残念、《M・HERO ガスト》から変身した《M・HERO ブラスト》は1ターンに1度だけ戦闘・効果で破壊されない!」

「くっ、破壊耐性もお株を奪うってわけか!だがダメージは受けてもらうぜ!」


遊緋/LP900→500


本来なら800ダメージが発生するはずだが、このターンのダメージは《ダメージ・ダイエット》で半減されるため、半分の400ダメージが遊緋を襲う。
遊緋はフーと深く息を吐く。
もし先のターンで《ダメージ・ダイエット》を引き当てていなければ、この攻撃で終わっていた。依然カードゲームとしての全体的なアドバンテージは遊緋の方が勝っているにも関わらず、追い込まれているのはこちらの方だ。

「俺はこれでターンエンドだ」


龍/LP1500・手札1
モンスター
ドラゴン・リー/攻3000


遊緋/LP500・手札4
モンスター
ブラスト/攻2200
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氷色
これでもう11話か。こんだけ書いてもまだ最初のデュエルが終わらないなんて、他の方のSSではあり得ないな。なんでこうボクの小説はこんな長くなっちゃうんだろうな。書きたいこと書いてると長くなっちゃうんですよねー。
二戦目からはもうちょっと考えなきゃなーと思ってます。 (2017-02-20 17:02)
カズ
なるほど。デュエリストスキルなんて始めたばかりの遊緋が分かるわけないですね。果たしてどのタイミングで彼がそれに気付くのかが、このデュエルの勝敗を左右する鍵になりそうですね。 (2017-02-20 17:32)
氷色
〉カズさん
デスゲームと能力者バトルと遊戯王、というのをやってみたかったんですよ。こういう流行りにノッちゃうあたりボクの軽薄さがにじみ出ちゃいますね。まぁこういう要素のハイブリッド的な小説にしたいですね。とりあえず次回で決着させたいです。 (2017-02-20 20:08)

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