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遊☆戯☆王V☆S(ファイブスター)/Episode57:共鳴する四龍 作:カズ

 日が昇ってから間もないオーストラリアの空は黒く染まっていた。悠々と佇んでいる覇王龍ズァークのすぐ近くまで来た精一とエレンは、ズァークを召喚したデュエリストがどこにいるのか血眼になりながら探していた。


「もうすぐそこまで来ているはずなんだけど……どこだ?!」
「ズァークが大きすぎて建物がオモチャみたいデス!」


 同時に、精一は「どうして攻撃をしてこないのか」という違和感を覚え始めていた。ズァークほどの強力なモンスターならば、メルボルンなんて簡単に消し炭にできることだろう。まだ力を完全に制御できていないのだろうかとも思ったが、それなら尚のこと不自然だ。


「とにかく、一刻も早くズァークを召喚した奴を見つけ出さないと大変なことに!」
「せ、精一……さん、アレ!」


 エレンが指さした先にあったものは2つの青い柱、つまりペンデュラムだ。それだけなら問題なかったのだが、青い柱の中にいた2体のペンデュラムモンスターが『星読みの魔術師』と『時読みの魔術師』だったこと、それが問題だった。精一とエレンが互いに知っている限りでは、それらのカードを操るデュエリストは1人しかいない。


(そんな、まさか……!)
「とにかく、あの場所に行こう!そこにズァークを召喚したデュエリストがいる!」
「は、ハイ!」


 エレンと精一は嫌な予感を抱えながら、目的地へと走って行った。






「待っていたよ……精一くん」
「…やっぱり、君だったのか。高橋さん」


 薄々気付いていたこととはいえど、信じられない現実を目の当たりにした2人の顔が悲しみで歪んだ。精一はよきライバルとして、エレンはよき先輩として彼女と接してきたのに、こんな形で再び巡り会うことになろうとは。


「私はね。精一くん、君を私のものにするために禁忌の力を得たの!感じるでしょう?4体のドラゴンの力を…」
「オッドアイズ、ダーク・リベリオン、クリアウィング、スターヴ・ヴェノム、そしてそれらを統べる覇王龍ズァーク……。高橋さん、本当にそんなものが、君の力だというのか!?君のデュエルは、そんな力に頼らなくても人を魅了できる!」


 『涅槃の超魔導剣士』を切り札とし、ペンデュラム召喚の持つ本来の力を遺憾なく発揮した「ストレート・ペンデュラム」でフィニッシュを飾ったあの時のデュエルは正に「至高」と呼ぶに相応しかった。精一はその時「いつかこんなデュエルをもう一度、高橋さんとやってみたい」と夢見ていたのだが、こんなにも早く、最悪の形でそれが実現してしまった。


「ふぅん……じゃあ、このデュエルで分からせてあげる。魅了することは、絶対的な力のうえに存在するということを!」
「そんなこと、僕は信じない!君に勝って、それを証明してみせる!」
「精一さん、ボクも応援してマス!だから、彩先輩を助けてください!」


 エレンのフォローを受け、対峙する精一と彩。これまで幾度となくぶつかってきたライバル同士の戦いの火蓋が今、切って落とされた。






「「デュエル!!」」


SEIICHI→LP:8000 デッキ:35 手札:5 Mゾーン:0 M・Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0


 V S


AYA→LP:8000 デッキ:35 手札:5 Mゾーン:0 M・Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0



*TURN01
 先攻は彩から。ペンデュラム召喚を得意とする彼女がどこまでの展開力を見せるのか。


「私のターン!まずは手札から永続魔法『星霜のペンデュラムグラフ』を発動!そしてスケール1の『紫毒の魔術師』とスケール5の『慧眼の魔術師』で、ペンデュラムスケールをセッティング!!」


〇紫毒の魔術師(Lv4 闇)
魔法使い族/ペンデュラム/効果
攻1200/守2100
【Pスケール:青1/赤1】
①:1ターンに1度、自分フィールドの魔法使い族・闇属性モンスターが戦闘を行うダメージ計算前に発動できる。そのモンスターの攻撃力はダメージステップ終了時まで1200アップする。その後、このカードを破壊する。
【モンスター効果】
このカードはルール上「フュージョン・ドラゴン」カードとしても扱う。①:このカードが戦闘・効果で破壊された場合、フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。


〇星霜のペンデュラムグラフ(永続魔法)
「星霜のペンデュラムグラフ」の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの魔法使い族モンスターを相手は魔法カードの効果の対象にできない。②:表側表示の「魔術師」Pモンスターカードが自分のモンスターゾーン・Pゾーンから離れた場合に発動する。デッキから「魔術師」Pモンスター1体を手札に加える。



 どことなくサディスティックと思わせる、紫の装束を着ている魔法使いを精一は初めて見た。あのカードからは禁忌の四龍の内の1体『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』の力を感じ取れた。


「『慧眼の魔術師』のペンデュラム効果発動!自身を破壊し、デッキから『虹彩の魔術師』をペンデュラムゾーンに置く。さらに『星霜のペンデュラムグラフ』の効果も発動し、デッキから『調弦の魔術師』を手札に加えるわ。さあ、行かせてもらうわよ!!」






―――揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!!―――





「エクストラデッキから『慧眼の魔術師』、手札から『調弦の魔術師』!そして現れよ!雄々しくも美しく輝く二色の眼!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!!」


〇虹彩の魔術師(Lv4 闇)
魔法使い族/ペンデュラム/効果
攻1500/守1000
【Pスケール:青8/赤8】
①:1ターンに1度、自分フィールドの魔法使い族・闇属性モンスター1体を対象として発動できる。このターンそのモンスターが相手モンスターとの戦闘で相手に与える戦闘ダメージは倍になる。その後、このカードを破壊する。
【モンスター効果】
このカードはルール上「ペンデュラム・ドラゴン」カードとしても扱う。①:このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキから「ペンデュラムグラフ」カード1枚を手札に加える。


〇調弦の魔術師(Lv4 闇)
魔法使い族/ペンデュラム/チューナー/効果
攻0/守0
【Pスケール:青8/赤8】
①:このカードがPゾーンに存在する限り、自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、自分のエクストラデッキの表側表示の「魔術師」Pモンスターの種類×100アップする。
【モンスター効果】
このカードはエクストラデッキからの特殊召喚はできず、このカードを融合・S・X召喚の素材とする場合、他の素材は全て「魔術師」Pモンスターでなければならない。「調弦の魔術師」のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが手札からのP召喚に成功した時に発動できる。デッキから「調弦の魔術師」以外の「魔術師」Pモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、フィールドから離れた場合に除外される。


〇オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン(Lv7 闇)
ドラゴン族/ペンデュラム/効果
攻2500/守2000
【Pスケール:青4/赤4】
「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」の①②のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:自分のPモンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にできる。②:自分エンドフェイズに発動できる。このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のPモンスター1体を手札に加える。
【モンスター効果】
①:このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる。



最初のターンにもかかわらず3体同時召喚を決め、あっという間に彩のフィールドにモンスターが埋まった。さらに彩は手札からペンデュラム召喚した『調弦の魔術師』の効果を使い、デッキからレベル4の『黒牙の魔術師』を守備表示で特殊召喚した。彩はここから「ペンデュラム召喚のその先」へと進もうとしていた。


「私はレベル4の『調弦の魔術師』と『黒牙の魔術師』でオーバーレイ!星と時、2つの力が一つとなりて、混濁の魔法が今生まれる!エクシーズ召喚!!ランク4『星刻の魔術師』!!そして星刻のオーバーレイユニットを1つ使い、デッキから『EMドクロバット・ジョーカー』を手札に加え、通常召喚。そしてドクロバットの効果で、デッキから『貴竜の魔術師』を手札に加えるわ」


〇星刻の魔術師(ランク4 闇)
魔法使い族/エクシーズ/効果
攻2400/守1200
レベル4「魔術師」Pモンスター×2
このカードは上記のカードをX素材にしたX召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。①:1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分のデッキ・墓地のモンスター及び自分のエクストラデッキの表側表示のPモンスターの中から、魔法使い族・闇属性モンスター1体を選んで手札に加える。②:1ターンに1度、自分のモンスターゾーン・PゾーンのPモンスターカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに自分のデッキから魔法使い族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。


〇黒牙の魔術師(Lv4 闇)
魔法使い族/ペンデュラム/効果
攻1700/守800
【Pスケール:青8/赤8】
①:1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力をターン終了時まで半分にする。その後、このカードを破壊する。
【モンスター効果】
このカードはルール上「エクシーズ・ドラゴン」カードとしても扱う。①:このカードが戦闘・効果で破壊された場合、自分の墓地の魔法使い族・闇属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。



 ここまで必要なカードを次々と回収する彩。先ほど手札に加えた『貴竜の魔術師』はペンデュラムチューナーモンスターであり、フィールドの「オッドアイズ」のレベルを3つ下げることで手札から特殊召喚できる効果を持っている。


「私は『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』を対象に、手札の『貴竜の魔術師』の効果発動!対象モンスターのレベルを3つ下げて、手札のこのカードを特殊召喚!そして私は、レベル4のドクロバットにレベル3の貴竜の魔術師をチューニング!!」


 『貴竜の魔術師』はドラゴン族シンクロモンスターの素材にしか使えないうえに「オッドアイズ」モンスター以外とシンクロ召喚の素材にした場合、自身をデッキの一番下に戻す効果外テキストも持ち合わせている。そのデメリットを回避するためには「オッドアイズ」をシンクロ素材にすればいいだけなのだが、敢えてその選択をしなかったのは、攻撃力1800のドクロバットよりも、同じ攻撃表示でも2500あるオッドアイズを盤面に残した方が受けるダメージを抑えられると判断したからだ。






―――その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!シンクロ召喚!!―――





―――現れよ、レベル7!『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』!!―――



 『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』に続き、2体目の「禁忌の四龍」である『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』までもが彩のフィールドに呼び出された。エメラルドのように輝いた両翼が特徴の白いドラゴンと、左右の目の色が異なる赤いドラゴンは、まるで互いを求め合うかのように共鳴した。


〇クリアウィング・シンクロ・ドラゴン(Lv7 風)
ドラゴン族/シンクロ/効果
攻2500/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
①:1ターンに1度、このカード以外のフィールドのレベル5以上のモンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。②:1ターンに1度、フィールドのレベル5以上のモンスター1体のみを対象とするモンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。③:このカードの効果でモンスターを破壊した場合、このカードの攻撃力はターン終了時まで、このカードの効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする。



「私はこれでターンエンドよ!」
AYA→LP:8000 デッキ:31 手札:1 Mゾーン:4 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:2



*TURN02
 ほぼソリティアに近い内容だった彩のターンだったが、精一は四龍を操る彼女を相手にどこまで対抗できるのか。


「僕のターン、ドロー!僕は手札から魔法カード『祖先との約束(プロミス・ウィズ・アンセスター)』を発動!手札から『エンシェント・サーペント』を墓地へ送り、デッキから『エンシェント・アノマロカリス』と『エンシェント・ドードー』を手札に加える。そして『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』を対象に、手札から墓地へ送られた『エンシェント・サーペント』の効果発動!対象モンスターの攻撃力を1000ポイント下げ、僕のライフを1000ポイント回復する!」
「くっ…!クリアウィングの弱点をもう見抜いたのね……」


 クリアウィングの効果で無効にできるのは「フィールドで発動したモンスター効果」のみ。手札から直接墓地へ送られたモンスター効果の発動は無効にできないため、精一は上手く相手の弱点を1つ突けることが出来た。もっとも、サーペントの効果に対してモンスター効果を発動できなかったため、どのみち彩にはどうすることも出来なかっただろう。


「僕はチューナーモンスター『エンシェント・アノマロカリス』を召喚し、効果発動!墓地の『エンシェント・サーペント』を手札に加える。そしてこの効果でモンスターを加えた場合、僕はもう一度通常召喚できる!『エンシェント・ドードー』を召喚!そしてドードーの効果で、デッキから『眠る魂(アスリープ・ソウル)』を手札に加える!」


 精一のフィールドには、過去に何かしらの原因で絶滅してしまった生物が蘇ったかのように存在している。【エンシェント】はペンデュラム召喚のように一気に展開するタイプではないが、相手のモンスター効果の発動を回避しながら展開し、時間をかけて相手を追い詰めていく、優等生の精一ならではのデッキなのだ。



「僕はレベル3の『エンシェント・ドードー』にレベル3の『エンシェント・アノマロカリス』をチューニング!シンクロ召喚!!レベル6『エンシェント・ホエールビースト』!!」


 精一もお得意のシンクロ召喚をばっちりと決め、攻撃力4500の大型モンスターをいきなり呼び出した。ホエールビーストの攻撃力は精一のライフポイントである9000の半分、4500になる。レベル6でありながらそう易々と突破できる壁ではない。


(ここでホエールビーストの効果を使えば、『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』の効果が発動して破壊される……。だったらここは、素直に攻撃を仕掛ける!)
「バトル!!ホエールビーストで『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』を攻撃!!」
「うぐぁっ…!」
AYA→LP:5000


 相手モンスターが効果を発動した時にその力を発揮するクリアウィングだが、自身の効果を発動させて貰えぬまま戦闘を行なえば、攻撃力2500の普通のシンクロモンスターと大差ない。


(これでクリアウィングは倒したけど、まだ安心できる状況じゃない。まだダーク・リベリオンとスターヴ・ヴェノムが出ていないことを考えると、大変なのはここからだ……)
「僕は永続魔法『強固な絆(ハード・ボンド)』を発動し、カードを2枚伏せてターンエンド!!」
SEIICHI→LP:9000 デッキ:31 手札:3 Mゾーン:1 M・Tゾーン:3 Fゾーン:0 Pゾーン:0



*TURN03
 クリアウィングを失い、一気に3000ポイントもののライフを失った彩だが、それでも四龍の力を全て失ったわけではない。それどころか、まだ四龍の力は完全に解放されていない。本当の勝負はこれからだ。


「私のターン、ドロー!まずは『星刻の魔術師』のオーバーレイユニットを1つ使い、デッキから『アストログラフ・マジシャン』を手札に加えるわ。そしてフィールド魔法『天空の虹彩』を発動し、ペンデュラムゾーンの『虹彩の魔術師』を破壊!そしてデッキから『オッドアイズ・フュージョン』を手札に加えるわ!」


 融合魔法を持ってきたということは、彩が次に出そうとしているモンスターは1体しかいない。ここから彩は3枚のカードの効果を発動したが、以下のようにチェーンを組んで処理した。


・チェーン1:アストログラフ・マジシャン
・チェーン2:星霜のペンデュラムグラフ
・チェーン3:虹彩の魔術師


「まずはチェーン3で、デッキから『時空のペンデュラムグラフ』を手札に加え、チェーン2で『黒牙の魔術師』を手札に加え、チェーン1で手札から『アストログラフ・マジシャン』を特殊召喚し、その効果で、破壊された『虹彩の魔術師』を手札に加えるわ!」


〇アストログラフ・マジシャン(Lv7 闇)
魔法使い族/ペンデュラム/効果
攻2500/守2000
【Pスケール:青1/赤1】
「アストログラフ・マジシャン」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。①:自分メインフェイズに発動できる。このカードを破壊し、手札・デッキから「星読みの魔術師」1体を選び、自分のPゾーンに置くか特殊召喚する。
【モンスター効果】
①:自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。その後、このターンに破壊されたモンスター1体を選び、その同名モンスター1体をデッキから手札に加える事ができる。②:フィールドのこのカードを除外し、自分の手札・フィールド・墓地から、「ペンデュラム・ドラゴン」「エクシーズ・ドラゴン」「シンクロ・ドラゴン」「フュージョン・ドラゴン」モンスターを1体ずつ除外して発動できる。「覇王龍ズァーク」1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。


〇時空のペンデュラムグラフ(永続罠)
「時空のペンデュラムグラフ」の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの魔法使い族モンスターを相手は罠カードの効果の対象にできない。②:自分のモンスターゾーン・Pゾーンの「魔術師」Pモンスターカード1枚と相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果でカードを2枚破壊できなかった場合、フィールドのカード1枚を選んで墓地へ送る事ができる。



 ペンデュラム召喚を行なう前だというのにデッキから合計5枚ものカードを加え、今後の展開を盤石のものにしてみせた。以前のタッグデュエルでは【EMオッドアイズ魔術師】だったデッキが、今では純粋な【魔術師】に生まれ変わり、展開力も大幅に上がっていた。


「私は魔法カード『オッドアイズ・フュージョン』を発動し、フィールドの『アストログラフ・マジシャン』と『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』を融合する!!」


 赤と青、2色の渦に2体のモンスターが吸収されていき、新たな姿へと進化を遂げようとしていた。しかし、彩がこれから召喚しようとしているのは3体目の禁忌、猛毒のドラゴンだった。






―――魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ。今一つとなりて、その花弁の奥の地獄から、新たな脅威を生み出せ!融合召喚!!―――





―――現れよ、飢えた牙持つ毒龍!レベル8!『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』!!―――


〇スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン(Lv8 闇)
ドラゴン族/融合/効果
攻2800/守2000
トークン以外のフィールドの闇属性モンスター×2
①:このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を選び、その攻撃力分だけこのカードの攻撃力をターン終了時までアップする。②:1ターンに1度、相手フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時まで、このカードはそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。③:融合召喚したこのカードが破壊された場合に発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。


かつてのタッグデュエルで精一と彩を苦しめた禁忌の四龍の内の1体が、彩のフィールドにこうして蘇るのは精一にとって心が痛んだ。


「高橋さん!その力は君が使っていいものじゃない!目を覚ましてくれ!」
「何を言っているの?精一くん、私はバッチリ起きているよ?スターヴ・ヴェノムの効果発動!ターン終了時まで、ホエールビーストの攻撃力をこのカードに加える!!そしてセッティング済みのスケール1の『紫毒の魔術師』と、スケール8の『黒牙の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング!」


 ペンデュラムグラフの効果で加えたカードを早速発動し、再びペンデュラム召喚が可能な展開へと持っていった。今の彩の【魔術師】はペンデュラムスケールを揃えるというよりも、自らが持つペンデュラム効果でスケールを崩しながらアドバンテージを確保していくスタイルに切り替わっている。そのことにこの3ターンで気付いた精一だったが今はまだ動けるときではなかったため、ただ指をくわえて待つことしか出来なかった。



「今一度揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから蘇れ!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』『EMドクロバット・ジョーカー』!!」


 再びペンデュラム召喚を決め、彩のフィールドに5体のモンスターが一気に埋まった。しかもこれでレベル4のモンスターが2体揃ってしまい、ランク4のエクシーズモンスターを召喚する条件が整った。いつもの彩なら『Emトラピーズ・マジシャン』をエクシーズ召喚するところだが、四龍の力に囚われた彼女が呼び出すのは1体しかいない。


「私はレベル4のドクロバット・ジョーカーと慧眼で、オーバーレイ!!」


 2体のモンスターはそれぞれ紫と黄色に光る球体へと姿を変え、形作られた小宇宙空間へと飲み込まれていった。そしてその中から現れたのは、漆黒に身を染めた闇のドラゴンだった。






―――漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今降臨せよ!エクシーズ召喚!!―――




―――現れよ、ランク4!『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!!―――


〇ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(ランク4 闇)
ドラゴン族/エクシーズ/効果
攻2500/守2000
レベル4モンスター×2
①:このカードのX素材を2つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする。



「さらに私は魔法カード『死者蘇生』を発動!墓地から蘇れ!『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』!!」


オッドアイズ、ダーク・リベリオン、クリアウィング、スターヴ・ヴェノム、全て異なる召喚法であるにもかかわらず何の苦もなくしっかりと展開してみせた。そして、ついにフィールドに全ての「禁忌の四龍」が揃ってしまった。


「『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の効果発動!オーバーレイユニットを2つ使い、ホエールビーストの攻撃力を半分にして、その数値分、このカードの攻撃力をアップする!トリーズン・ディスチャージ!!」


 バチバチと鳴り響く無数の紫電が精一のモンスターを束縛し、力を奪っていった。その力を我が物とした漆黒の反逆龍は咆哮を轟かせる。それと共鳴するかのように、他の3体のドラゴンも天に向かって唸りを上げた。


「ふふふ……どう?これが今の私の力。精一くんを私のものにするために得た、至高の力!」
「高橋さん…僕は今の君のデュエル、全然ワクワクしない。君とのデュエルはいつもギリギリの中での駆け引きを楽しめた。だけど、今はそれらが全くないんだ!」
「そこまで言うなら、圧倒的な力で精一くんを叩き潰してあげる!『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』で『エンシェント・ホエールビースト』を攻撃!!」



 ダーク・リベリオンの効果で攻撃力が半分に下がってしまった上に、スターヴ・ヴェノムに4500の攻撃力をコピーされ、7300対2250で一気に5050もの大ダメージが精一を襲った。


「ぐああっ!…だけどこの瞬間、ダブル罠『エンシェント・レッドリスト』『デイトバック・トゥ・エンシェント』を発動!!まずはレッドリストの効果で、レベル5の『エンシェント・エレファント』を手札に加え、その守備力、つまり1200ポイントのライフを回復し、デイトバックの効果で墓地の『エンシェント・アノマロカリス』と『エンシェント・ホエールビースト』を呼び戻し、ホエールビーストの守備力、2500ポイントのライフを回復してバトルフェイズを終了させる!!」
SEIICHI→LP:7650


 2枚の罠カードのおかげでライフの損失は1350に抑えられたが、もしもあのままバトルフェイズが続行していれば、精一は四龍の総攻撃を受けてこのターンで敗北していたかもしれない。
 すると何かを思い出したのか、こんな状況だというのに精一に笑みがこぼれた。


「そういえば君とのライディングデュエルでも、召喚方法が異なるオッドアイズ達の攻撃を受けて負けそうになったときがあったよね」
「…急に何?走馬灯でも見たの?」
「いや、その時と今がほとんど同じ状況だからさ。懐かしくなっただけ」


 ほんの1週間前の出来事だが、2勝2敗で回ってきた精一と彩のお互いに絶対に負けられないライディングデュエル、あの時はどちらもスピードの中でお互いの持てる全てを出し切った最高の試合だったといえる。融合・シンクロ・エクシーズの「オッドアイズ」をフルに活用した彩と、シンクロを得意とした「エンシェント」の守りながら攻める精一のデュエル。完全に対極といえる2人だが、そんな2人だからこそ互いに負けられないライバルになれたのだ。


「だからさ…全く負ける気がしないんだよね」
「余裕でいられるのも今のうちよ!私に四龍がある限り、絶対に負けない!そして、私にはまだ『覇王龍ズァーク』がいる!そして、精一くんは私のものになるの!!」


 たとえ精一が四龍全てを倒したとしても、彩にはまだ至高の龍、ズァークが残っている。それを出されてしまえば今度こそ精一が敗北する可能性は高まるが、精一もまだ自身の切り札である封印竜を出していない。どう決着するのか全く予想出来ないこの勝負の行方は果たして……。


「私はカードを1枚伏せてターンエンド!!」


~現在の状況~
SEIICHI→LP:7650 デッキ:30 手札:4 Mゾーン:2 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:0


 V S


AYA→LP:5000 デッキ:25 手札:2 Mゾーン:5 M・Tゾーン:2 Fゾーン:1Pゾーン:2
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ター坊
貴方を倒して私のモノにする…完全にヤンデレですな。それにしても魔術師デッキは回り方を見ても面白いですねぇ。組んでるだけあって親近感が湧きます。 (2017-01-25 23:32)
カズ
ター坊さん
コメントありがとうございます。完全にヤンデレになってしまった彩ですが、これはまだまだほんの序の口です。ヤンデレになった理由はまだ明かせませんが、彩は間違いなく精一が...。
次回、ついに最凶の切り札が降臨!お楽しみに。 (2017-01-26 13:46)
光芒
こんにちは、こちらでは初めましてですよね?コメント遅くなりました。本当はもっと早くコメントを付けたかったのですが、最初から何度も読み直していたらかなり時間がかかってしまいました。

アニメARC-Vでもそうですが、こちらもでズァークと化した彩とのデュエルに。ADSでズァークデッキを使っていることもあってか、彩の動きがかなり理想的なものとなりましたね。ただズァーク召喚のためには自分は魔術師を除外していますが、四龍を出してきているあたりタクティクスは相当なものですね(そうであってこそのラスボス枠?なのですが)。

さてこのヤンデレと化した彩を精一は止められるのか。それとも……

(2017-01-26 13:47)
カズ
光芒さん
初コメントありがとうございます。最初から読み直していたとは...。私のssにはプレミ等の欠陥が多数存在しますが、もう容赦なく指摘してくださって構いません。
確かにズァークを召喚するなら4種類の魔術師を除外する方が簡単に出せますが、本物の四龍を使った方が面白いかなーということで...。
次回、最凶の切り札降臨!お楽しみに。

「虹彩竜と歩むもの」にも近いうちにコメントさせていただきます。 (2017-01-26 14:18)

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4 Episode22:1つの答え 377 2 2015-09-24 -
1 Episode23:黒羽の誇り 402 2 2015-10-01 -
2 Episode24:ハイスピードバトル 370 3 2015-10-06 -
0 Episode25:超越する力 331 2 2015-10-11 -
3 Episode26:運命の決戦 307 3 2015-10-20 -
3 Episode27:来訪者、天導レイン 383 2 2015-11-03 -
3 Episode28:遊弥vsレイン 407 2 2015-11-09 -
5 Episode29:舞い降りた天使 361 2 2015-12-05 -
6 Episode30:天使と悪魔 434 3 2015-12-09 -
4 Episode31:禁断の無限暗黒竜 528 2 2015-12-12 -
6 番外編02:凛と紅葉が… 371 0 2016-01-05 -
6 Episode32:パワー・ツール 385 3 2016-01-29 -
6 Episode33:死した希望の使者 318 2 2016-01-31 -
5 Episode34:高貴の翼 397 4 2016-02-04 -
6 Epi35:戦慄のリバースビヨンド 356 1 2016-02-13 -
8 Epi36:加速するカウントダウン 401 2 2016-02-20 -
7 Epi37:希望のカード『V☆S』 398 3 2016-03-25 -
5 Episode38:朱色の夜 319 0 2016-04-11 -
5 Episode39:並び立つ盟友 385 2 2016-04-22 -
8 Episode40:精一と彩 452 2 2016-05-30 -
5 Episode41:漆黒の鎮魂歌 373 4 2016-06-22 -
5 Episode42:涅槃の境地へ 372 2 2016-07-02 -
4 Episode43:トワノキズナ 332 3 2016-07-23 -
2 Episode44:銀河と宇宙 350 3 2016-08-09 -
5 Episode45:銀河眼vs宇宙眼 333 0 2016-08-20 -
2 Episode46:絶望の凱旋 265 0 2016-08-24 -
4 Episode47:刻まれた記憶の欠片 259 1 2016-09-06 -
10 Episode48:希望の行方 245 0 2016-09-13 -
4 Episode49:悪夢の決戦前夜 252 0 2016-10-03 -
5 Episode50:創世の星屑竜 245 0 2016-10-25 -
0 Episode51:託された未来 256 0 2016-10-30 -
1 番外編03:遊弥と花奈の... 256 2 2016-11-02 -
3 未投稿オリカ紹介① 280 0 2016-11-09 -
2 未投稿オリカ紹介② 226 0 2016-11-26 -
2 未投稿オリカ紹介③ 267 0 2016-12-08 -
3 未投稿オリカ紹介④ 261 0 2016-12-20 -
6 未投稿オリカ紹介⑤ 215 0 2016-12-30 -
4 Episode52:極寒の夏 192 2 2017-01-01 -
31 Episode53:闇の邂逅 213 2 2017-01-07 -
3 Episode54:呪縛竜復活 180 0 2017-01-11 -
5 Episode55:届かぬ声で... 181 2 2017-01-15 -
2 Episode56:禁忌の目覚め 206 5 2017-01-19 -
3 Episode57:共鳴する四龍 210 4 2017-01-25 -
5 Episode58:本当の気持ち 204 3 2017-01-30 -
4 Episode59:真実への鍵 198 2 2017-02-08 -
4 IF01:バレンタインデー 247 6 2017-02-11 -
1 Episode60:エレンとアレックス 235 3 2017-02-16 -
30 ルール改訂と今後の進行について 340 2 2017-02-18 -
4 Episode61:想いの証 202 5 2017-02-21 -
3 Episode62:茨の道標 237 5 2017-02-27 -
5 Episode63:光と闇の花 187 3 2017-03-20 -
7 Episode64:渇望と葛藤 177 2 2017-03-23 -
5 Episode65:麗しき孤月 150 2 2017-03-29 -
44 Episode66:月夜のイリュージョン 223 2 2017-04-21 -
15 Episode67:常闇に消える月華 292 1 2017-05-05 -
10 Episode68:模索者たち 107 4 2017-07-22 -
12 Episode69:純黒の反逆者 119 0 2017-07-27 -
8 Episode70:紅と黒の禁呪 118 2 2017-08-07 -
7 Episode71:希望は往く 116 3 2017-08-17 -
9 Episode72:リリーの過去 103 2 2017-08-24 -
5 Episode73:異次元の亡霊 96 2 2017-09-13 -
4 Episode74:覚醒の鼓動 91 3 2017-09-22 -
5 Episode75:挑戦者の儀 96 0 2017-10-05 -
4 Episode76:神速の決闘 66 2 2017-11-14 -

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