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海皇、逆上(海皇目線) 作:リバース@影の使者
辺りには火花や水流が飛び散っていた。
これが最後の闘いになってほしい、ポセイドラは思った。
……しかし、やつ等は何をしようというのだ?
先ほどから何体もの炎王の使い達が破壊されているというのに…。
次の瞬間、奴が現れた。
「魔法発動――『ブラック・ホール』」
「!!!?」
何者かの声が聞こえた瞬間、海面には大きな黒い玉が現れた。
その玉からなんともいえない力を、ポセイドラは感じた。
「まずい…!全員、退却命令を出せ!」
ポセイドラは仲間の水精鱗(マーメイル)のメガロに言った。
だが、それも遅く、多くの海皇や水精鱗たちが黒い玉へ吸い込まれ、破壊された。
「く……貴様は…!?」
ポセイドラは、ブラック・ホールを発動した奴へ向きかえった。
すると、そこに居たのは……眼が覚めるような蒼い瞳をした、赤と青の翼(はね)に身を包んだ『炎王神獣 ガルドニクス』が、堂々とした姿で、ポセイドラを見下ろしていた。
「……余はガルドニクス。炎王隊の総統なり。主(ぬし)が『海皇龍 ポセイドラ』で違お無いな?」
口調も堂々としていた。まるで、死ぬことが怖くなさそうな口調、そして表情だった。
……何故かはわからないが、ポセイドラは、その堂々とした姿に『綺麗』だと思ってしまった。
「!…そのとおりである。我がポセイドラじゃ。炎王よ…その首、貰い受けようか…!」
「好かろう。来い、海皇!!」
そう炎王が言い終わる前に、海皇は天にも届くほどの咆哮を上げた。
咆哮が止む頃には、海皇の前には、3体の『海皇のものたち』がいた。
「突撃兵、狙撃兵、そして長槍兵よ!奴の首を捕れ!」
「御衣!」
その掛け声とともに、3体の海皇兵はガルドニクスに襲い掛かった。
「魔法発動!『アクア・ジェット』!」
ポセイドラの発動した魔法カードの効果で、突撃兵にアクア・ジェットが装着され、突撃兵の速度が上がった。
「その首!貰い受ける!」
ザクッ
突撃兵が、炎王の首を掻き斬った。
炎王の首は、海面にボチャン、と落ち、海底に沈んでいった。破壊されたのだ。
「やった…か?」
ポセイドラは、あっさり炎王がやられたことに、少し警戒を持っていた。
<……マダダ!>
何処からか、低い、うねりのある声が聞こえた。
「!!」
次の瞬間、火山がボンッと噴火し、その中からあるはずの無いものが現れた。
「炎王………!!」
そう、噴火とともに、炎王がその姿を現したのだ。
――焔(ほのお)に身を纏った炎王が。
……破壊系魔法『死者への手向け』の残骸が、炎王の居たところにあった。
いつの間にか、海底にあったはずの首も、海面で浮かんでいた身体もなくなっていた。
そして、現れた炎王が、海皇兵達を焼き払った。
「ギャアアアァァァ!!!」
無残にも海皇兵たちは、焔に焼かれ、朽ちていった。
「余は不死鳥、ガルドニクスである。効果で破壊されれば余は蘇る。その程度で余の首を撥ねよう等、片腹痛い」
敵の前でも、上品な笑みを浮かべ、余裕の表情が読み取れた。
―――不死鳥、だと?……だから、か。あの余裕、堂々とした…態度は!!
急に、ポセイドラは怒りを覚えた。馬鹿な自分への自虐から、だろうか。
「……面白い、そうでなくては…な!!」
ポセイドラが海上へと飛び、ガルドニクスへ戦闘を仕掛けた。
「魔法、『炎王炎環』!」
焔とともに、ガルドニクスがいなくなったかと思った時、新たに焔の中から『ネフティスの鳳凰神』が現れた。
ネフティスの鳳凰神は、ポセイドラを見定めたかと思うと、呟く様にこういった。
「自らを破壊し、私(わたくし)を冥界より呼び覚ます。彼は貴方より優秀で、可憐なのですよ」
ネフティスの鳳凰神は「フフ…」と笑いながら、ポセイドラに言った。
「!!……黙れ!禽(とり)如きが!」
ポセイドラは明らかに逆上していた。おそらく『優秀』という言葉が原因なのだろう。
「禽…ねぇ。彼も禽なのだけど。彼と私だと、接し方が違うんだね、君」
「黙れといっているのだ!貴様!!」
ネフティスは、何が面白いのか、ポセイドラを態々逆上させようとしている。
「……まぁ、そういうところに、彼は……」
そういったかと思うと、何かを考えるかの如く眼を瞑った。
「戦場で眼を瞑るなど!殺せといっているのと同じだ!死ね!」
逆上の件もあってか、一片のプライドも感じさせず、その爪でネフティスの頸(くび)を掻き斬ろうとした。
だが、その攻撃は無情にも『聖なるバリア―ミラー・フォース―』の発動のためとなってしまった。
「……丁度いいので、貴方には生きてもらいましょう」
「何!?」
ポセイドラの攻撃はミラー・フォースにより、ポセイドラの後方に居た水精鱗達に降りかかってしまった。
「し…しまったあああ!!」
……海皇側は、もう少数しか残っていなかった。
「……貴方の所為なのですよ。海皇」
ネフティスは哀れむかのように言った。
「そん…な…。俺の…俺の…所為で…!!」
ポセイドラは、もはや戦闘意欲すら無くなっていた。
そんなとき、だった。
「ポセイドラよ」
「!?」
「我もお前には、少々貸しがあったな」
「……何のようだ、シーラカンス」
「手を貸そうと言っているのだ」
「……手を貸すほどの力があるなら、代わりにやるがいい。我は、もう…」
「弱気だな。そこまで味方を殺してしまったことに罪悪感でも何でもあるなら、まだいいだろう」
「何を…」
「この海を、守るのがお前の『正義』なのだろう?」
「!!」
「ならば、もう一度…前を向け!海皇!」
ポセイドラの眼には光が宿っていた。
これが最後の闘いになってほしい、ポセイドラは思った。
……しかし、やつ等は何をしようというのだ?
先ほどから何体もの炎王の使い達が破壊されているというのに…。
次の瞬間、奴が現れた。
「魔法発動――『ブラック・ホール』」
「!!!?」
何者かの声が聞こえた瞬間、海面には大きな黒い玉が現れた。
その玉からなんともいえない力を、ポセイドラは感じた。
「まずい…!全員、退却命令を出せ!」
ポセイドラは仲間の水精鱗(マーメイル)のメガロに言った。
だが、それも遅く、多くの海皇や水精鱗たちが黒い玉へ吸い込まれ、破壊された。
「く……貴様は…!?」
ポセイドラは、ブラック・ホールを発動した奴へ向きかえった。
すると、そこに居たのは……眼が覚めるような蒼い瞳をした、赤と青の翼(はね)に身を包んだ『炎王神獣 ガルドニクス』が、堂々とした姿で、ポセイドラを見下ろしていた。
「……余はガルドニクス。炎王隊の総統なり。主(ぬし)が『海皇龍 ポセイドラ』で違お無いな?」
口調も堂々としていた。まるで、死ぬことが怖くなさそうな口調、そして表情だった。
……何故かはわからないが、ポセイドラは、その堂々とした姿に『綺麗』だと思ってしまった。
「!…そのとおりである。我がポセイドラじゃ。炎王よ…その首、貰い受けようか…!」
「好かろう。来い、海皇!!」
そう炎王が言い終わる前に、海皇は天にも届くほどの咆哮を上げた。
咆哮が止む頃には、海皇の前には、3体の『海皇のものたち』がいた。
「突撃兵、狙撃兵、そして長槍兵よ!奴の首を捕れ!」
「御衣!」
その掛け声とともに、3体の海皇兵はガルドニクスに襲い掛かった。
「魔法発動!『アクア・ジェット』!」
ポセイドラの発動した魔法カードの効果で、突撃兵にアクア・ジェットが装着され、突撃兵の速度が上がった。
「その首!貰い受ける!」
ザクッ
突撃兵が、炎王の首を掻き斬った。
炎王の首は、海面にボチャン、と落ち、海底に沈んでいった。破壊されたのだ。
「やった…か?」
ポセイドラは、あっさり炎王がやられたことに、少し警戒を持っていた。
<……マダダ!>
何処からか、低い、うねりのある声が聞こえた。
「!!」
次の瞬間、火山がボンッと噴火し、その中からあるはずの無いものが現れた。
「炎王………!!」
そう、噴火とともに、炎王がその姿を現したのだ。
――焔(ほのお)に身を纏った炎王が。
……破壊系魔法『死者への手向け』の残骸が、炎王の居たところにあった。
いつの間にか、海底にあったはずの首も、海面で浮かんでいた身体もなくなっていた。
そして、現れた炎王が、海皇兵達を焼き払った。
「ギャアアアァァァ!!!」
無残にも海皇兵たちは、焔に焼かれ、朽ちていった。
「余は不死鳥、ガルドニクスである。効果で破壊されれば余は蘇る。その程度で余の首を撥ねよう等、片腹痛い」
敵の前でも、上品な笑みを浮かべ、余裕の表情が読み取れた。
―――不死鳥、だと?……だから、か。あの余裕、堂々とした…態度は!!
急に、ポセイドラは怒りを覚えた。馬鹿な自分への自虐から、だろうか。
「……面白い、そうでなくては…な!!」
ポセイドラが海上へと飛び、ガルドニクスへ戦闘を仕掛けた。
「魔法、『炎王炎環』!」
焔とともに、ガルドニクスがいなくなったかと思った時、新たに焔の中から『ネフティスの鳳凰神』が現れた。
ネフティスの鳳凰神は、ポセイドラを見定めたかと思うと、呟く様にこういった。
「自らを破壊し、私(わたくし)を冥界より呼び覚ます。彼は貴方より優秀で、可憐なのですよ」
ネフティスの鳳凰神は「フフ…」と笑いながら、ポセイドラに言った。
「!!……黙れ!禽(とり)如きが!」
ポセイドラは明らかに逆上していた。おそらく『優秀』という言葉が原因なのだろう。
「禽…ねぇ。彼も禽なのだけど。彼と私だと、接し方が違うんだね、君」
「黙れといっているのだ!貴様!!」
ネフティスは、何が面白いのか、ポセイドラを態々逆上させようとしている。
「……まぁ、そういうところに、彼は……」
そういったかと思うと、何かを考えるかの如く眼を瞑った。
「戦場で眼を瞑るなど!殺せといっているのと同じだ!死ね!」
逆上の件もあってか、一片のプライドも感じさせず、その爪でネフティスの頸(くび)を掻き斬ろうとした。
だが、その攻撃は無情にも『聖なるバリア―ミラー・フォース―』の発動のためとなってしまった。
「……丁度いいので、貴方には生きてもらいましょう」
「何!?」
ポセイドラの攻撃はミラー・フォースにより、ポセイドラの後方に居た水精鱗達に降りかかってしまった。
「し…しまったあああ!!」
……海皇側は、もう少数しか残っていなかった。
「……貴方の所為なのですよ。海皇」
ネフティスは哀れむかのように言った。
「そん…な…。俺の…俺の…所為で…!!」
ポセイドラは、もはや戦闘意欲すら無くなっていた。
そんなとき、だった。
「ポセイドラよ」
「!?」
「我もお前には、少々貸しがあったな」
「……何のようだ、シーラカンス」
「手を貸そうと言っているのだ」
「……手を貸すほどの力があるなら、代わりにやるがいい。我は、もう…」
「弱気だな。そこまで味方を殺してしまったことに罪悪感でも何でもあるなら、まだいいだろう」
「何を…」
「この海を、守るのがお前の『正義』なのだろう?」
「!!」
「ならば、もう一度…前を向け!海皇!」
ポセイドラの眼には光が宿っていた。
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