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第6話 光と闇の姫君!! 作:いちごT
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前回のあらすじ!
デュエルアカデミアに入学して約1ヶ月、平和なデュエルライフを満喫していた『遊飛』『ちよ』『景介』『一果』。しかし景介のことを好きな女の子『須藤香夜』がちよが景介を狙っていると勘違いし、夜の森に呼び出しデュエルを持ちかけた! デュエル中にその場に駆けつけた一果だったが……
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一果「………はい?」
香夜「あら聞こえなかった?これは景介くんへの愛を…」
一果「いや聞こえたよ! 言ってる意味が分かんないんだよ!」
香夜「んもう!理解力のない人ね! 景介くんを奪い合う者同士、デュエルに負けた方が景介くんから手を引くの!」
一果(奪い合うって…やっぱりその手の勘違いか。それにしてもデュエルで決着なんて案外まともと言えなくもない…かな?)
一果「そ、そうか。ちよっちはこのデュエル…続ける?」
一果は事情を把握するとちよの方に向き直り問いかける。
ちよ「う、うん。もう始めちゃったしうちは続けてもいい…かな。」
香夜「当たり前よ! この勝負、逃げることは許されないわ!」
一果「……分かった。一応アタシもちよっちの友達としてこのデュエル、見届けさせてもらうよ?」
香夜「もう来ちゃったし仕方ないわね。そこで見ていなさい! さあちよさん?ターンは終了なの?」
ちよ「うん、うちはターン終了。」
香夜「私のターン! ドロー!『華麗なる潜入工作員』召喚。」
・華麗なる潜入工作員 攻1300守1200
香夜「『華麗なる潜入工作員』でバルーンに、続けて『ソードストーカー』で白い方に攻撃よ!!」
エージェント風のモンスターが風船にナイフを投擲、破裂させるが爆音に驚き守備表示となる。そして悪魔剣士が剣を振り下ろし、ピケルは消滅してしまう。
ちよ「ううっ!?」
ちよ LP4800→LP4000
香夜「ふふん! ターンエンドよ。」
●ちよ LP4000 手札1枚
モンスター1 『黒魔導師クラン』
魔法、罠1 セット×1
●香夜 LP4000 手札3枚
モンスター2 『復讐のソードストーカー』『華麗なる潜入工作員』
魔法、罠0
ちよ「うちのターン、ドロー。『クラン』の効果を発動、相手のモンスターの数×300のダメージ!」
香夜「そのくらい痛くもかゆくもないわ。」
香夜 LP4000→LP3400
ちよ「えっと……『クラン』を守備表示にしてターン終了。」
香夜「打つ手がないようね?私のターン!ドロー! ふふ、『デス・ストーカー』を召喚するわ。」
・デス・ストーカー 攻900守800
香夜「『華麗なる潜入工作員』を攻撃表示に変更。バトルよ!『デス・ストーカー』で黒いのに攻撃!」
サソリの特徴を持つ悪魔が小さな黒魔導師をハサミで掴み、尾を突き刺す。
ちよ「『クラン』……ッ!?」
香夜「さあ覚悟しなさい!『ソードストーカー』と『潜入工作員』で直接攻撃よ!」
2振りの刃がちよに向かって飛んでくる。
ちよ「きゃあっ!?」
ちよ LP4000→LP2000→LP700
香夜「これであなたのライフは風前のともし火ね。これが私とあなたの景介くんへの愛の差よ!おーっほっほっほっほ!!」
一果「最初からこっちにその気はないんだよなあ……」
ちよ「あ…はは…」
勝ちを目前に調子付く香夜にちよと一果は苦笑いを隠せないが当の香夜には聞こえていないようだ。
香夜「次の私のターンで決着ね!ターンエンド。」
●ちよ LP700 手札2枚
モンスター 0
魔法、罠 1 セット×1
●香夜 LP3400 手札3枚
モンスター3 『復讐のソードストーカー』『華麗なる潜入工作員』『デス・ストーカー』
魔法、罠0
一果「ちよっち! ファイトだよ!」
ちよ「う、うん。ドロー……魔法カード『強者の施し』。自分の場にモンスターがいなくてライフが負けてる時に発動できる。」
ちよ「相手のモンスター1体につき1枚ドローする。うちは3枚ドロー!」
002「さ、3枚も…」
003「でもこのカードは確か…」
一果「発動ターンはモンスターを召喚できないしこれ以外のカードの効果も発動出来ない……」
ちよ「うちはカードを1枚伏せてターン終了。」
香夜「私のターンね! ドロー。」
香夜(ドローカードは『禁じられた聖槍』……これさえあれば何をされてもモンスターを効果から守ることができる。)
勝ちを確信しにんまりと笑みを浮かべる香夜を見てちよと一果にも緊張が走る。
香夜「バトル!『ソードストーカー』でとどめよ! これで景介くんは私のものね!!!」
一果「ちよっち!」
ちよ「罠カード発動!」
ギンッ!!
金属音と共に悪魔剣士の剣が止まる。そこにはオーラに包まれた小さな黒魔導師が両手をかざし歯を食いしばって立っていた。
ちよ「罠カード『ピンポイントガード』。墓地のレベル4以下のモンスター『クラン』を守備表示で特殊召喚したよ。『クラン』はこのターンは戦闘と効果で破壊されない…」
香夜(こっちに何かしないなら『禁じられた聖槍』も意味がないじゃない!)
003「そう来たか〜。どんまいだよ!香夜ちゃん。」
香夜「そうね…こんなの時間稼ぎよ。 カードを1枚伏せて……念のため『デス・ストーカー』『華麗なる潜入工作員』を守備表示でターンエンドよ。」
●ちよ LP700 手札3枚
モンスター1 『白魔導士ピケル』
魔法、罠1 伏せカード
●香夜 LP3400 手札4枚
モンスター3 『復讐のソードストーカー』『華麗なる潜入工作員』『デス・ストーカー』
魔法、罠1 伏せカード
ちよ「うちのターン、ドロー。『クラン』の効果で相手のモンスターの数×300のダメージ。」
香夜「ふん、悪あがきね。」
香夜 LP3400→LP2500
ちよ「永続魔法『魔術師の右手』発動。えっと…魔法使い族のモンスターがいる時、1ターンに1回相手の魔法を無効にできるよ。」
香夜(なにそれ!? それじゃ伏せた『禁じられた聖槍』が使えないじゃない……)
ちよ「さらに魔法カード『死者蘇生』。墓地の『ピケル』を特殊召喚!」
ちよの場に再び白と黒の幼き魔導師が並び立つ。
ちよ「フィールドに『ピケル』『クラン』が表側表示でいる時、二人を手札に戻すことでこの子を特殊召喚する。」
場の2人の魔導師は手のひらを天にかざしそれぞれ白、黒のエネルギーの塊を生み出す。そして2つの光が1つに交わりその中から長い杖を携え右が白、左が黒のドレスを纏った美しい少女が現れた。
ちよ「『光と闇の姫君(ライトアンドダークプリンセス)!!!』」
・光と闇の姫君 攻2200守1000
一果「おー!!」
002「わぁ……!」
003「可愛い〜!!」
香夜「ちょっと!どっちの味方なのよ!!」
ちよ「お願いね、『光と闇の姫君』。」
モンスターと意思疎通しているかのように語りかけるちよ。香夜はギャラリーがモンスターに見とれていることに不満の様子だがすぐにちよに向き直る。
香夜「まさかそんなモンスターがいるなんて……」
ちよ「『光と闇の姫君』の効果を発動。1ターンに1度、フィールド上の全てのモンスターの数×400ポイント…相手にダメージを与え自分は回復する。『フェイバージャッジメント!』」
両手で杖を前方に突き出して生み出された白と黒のエネルギーの塊が天に向かって浮き上がり黒いほうは香夜に、白い方はちよへと降り注ぐ。
香夜「ッ……!!」
香夜 LP2500→900
ちよ LP700→2300
一果「いいぞー!ちよっちー!!」
ちよ「えへへ……ありがとう。」
ちよは声援に照れるが香夜はそれにイラつき唇を噛み締めている。
ちよ「バトルだよ! 『光と闇の姫君』で『復讐のソードストーカー』に攻撃。『ツインハートショット!!』」
先ほどと似たような黒と白のエネルギーを杖の先端に発生させ、悪魔剣士めがけて発射する。エネルギーは螺旋
回転しながら飛んでいき命中し凄まじい爆発が起こる。
香夜「んあぁっ!!」
香夜 LP900→LP700
ちよ「うちはこれでターンを終了だよ。」
003「香夜ちゃんしっかり! ほら応援応援!」
002「ふぇっ!? あ、えっと…が、頑張ってくださぁぃ……」
香夜「分かってるわよ!」
香夜(このままモンスターを残してたら効果を使われて負け。魔法は1回無効。でも手札にはモンスターしかいない……ドローにかけるしかないわね…)
香夜「ふう……私のターン!!ドロー!!!」
深呼吸ののち激しくドローを行う香夜。そのドローカードを恐る恐る横目で見た途端その口角がゆっくりと上がる。
香夜「ふふ……まだ神は私の愛を見放しはしなかったようね! 『デス・ストーカー』をリリースし手札から『手錠龍』召喚!」
・手錠龍 攻1800守1800
口と尾が手錠のように変形している奇妙な姿をした龍が現れる。
一果「なんだ?アドバンスの割に攻撃力低いなあ。それになんか虫みたいでキモ……」
香夜「何言ってるの!? 可愛いじゃない!!」
一果「え゛?あ……うん。」
香夜はものすごい剣幕で手錠龍を貶した一果を責め、圧倒して頷かせる。
香夜「これだからセンスのない人は……」
一果「(何これ?アタシがおかしいの?)」
003「(大丈夫、香夜ちゃんちょっと独特だから気にしないで?)」
一果「(はは…)」
理不尽だと言わんばかりに呟く一果の肩にサイドテールの003番が手を置いて励ます。
香夜「私は手札から魔法カード『リロード』発動!」
ちよ「…………」
香夜「…………」
ちよ「…………」
香夜「…………」
ちよ「………あ、あの…ドローは?」
香夜「え?『魔術師の右手』で無効にしないの?」
ちよ「へ?あ、うん。しないけど…」
香夜「なんでしないのよ!?」
ちよ「えっとえっと…モンスター出してから手札入れ替える魔法カード使ったからそのモンスターを強くしたりするなら伏せてあるカードでやるのかなって。それが魔法だったらそれを無効にしたほうがいいのかなって……そんな感じなんだけど……」
香夜「……流石私の恋のライバルね。このハイレベルなおとり作戦を見抜くなんてやるじゃない!」
一果「もう色々突っ込みどころありすぎだろ……」
単純な戦略に引っかからなかったちよをライバルとして褒める香夜だがそれを見る一果は相当呆れている。
香夜(なんにしてもこのままじゃ次のターンで負けちゃう。景介くんのためにも……このドローにかけるしかないっ!)
香夜「手札3枚をデッキに戻してシャッフル。3枚ドロー!」
香夜「………!! 私はカードを2枚伏せてターンエンド。」
●ちよ LP2300 手札3
モンスター1 『光と闇の姫君』
魔法、罠2 『魔術師の右手』、伏せカード×1
●香夜 LP700 手札1
モンスター2 『華麗なる潜入工作員』、『手錠龍』
魔法、罠2 伏せカード×3
ちよ「うちのターン、ドロー。」
一果「よし!このターンで決めちゃえ!」
ちよ「うん。『光と闇の姫君』の効果はつど…」
香夜「リバースカードオープン!! 『はさみ撃ち!』」
香夜「私のモンスター2体を破壊し、あなたのモンスター……『光と闇の姫君』を破壊するわ!」
香夜の場のモンスター2体は『光闇の姫君』を左右から襲いにかかり、衝突した瞬間激しい爆発が起こる。
香夜「どーお? これで振り出しよ。」
腰に手を当て、得意げな香夜。しかしその表情はすぐさま驚きへと変わる。立ち込める煙が徐々に晴れ、その中心には白と黒の幼い魔導師2人に守られた『光と闇の姫君』が立っていたからだ。
香夜「なっ…!? なんで……」
ちよ「『光と闇の姫君』は破壊される時に手札の『ピケル』『クラン』を墓地に送ることで1回だけ破壊を無効に出来るよ。」
香夜「そんな効果まであるなんて……」
003「でも香夜ちゃんのモンスターがいなくなったから…」
一果「効果ダメージでケリはつかない……」
ちよ「改めて効果を発動。モンスターの数×400回復して相手にはダメージを与える!」
ちよ LP2300→LP2700
香夜「くっ……」
香夜 LP700→LP300
香夜のライフポイントは残りわずか。攻撃を通せば勝てる場面だが2枚の伏せカードがそれを躊躇わせる。
ちよ「………バトル、『光と闇の姫君』で直接攻撃!」
香夜「いやあああ!!!………なあんちゃって!」
2つのエネルギーを宿した杖を振りかざし放とうとした瞬間。突如としてその少女を無数の鎖が襲い、絡みつく。振り上げた手も縛られ攻撃も止められてしまう。
・光と闇の姫君 攻2200→攻1500
ちよ「えっ!?」
香夜「『闇の呪縛』。モンスターの攻撃を封じ、攻撃力も700下げるカードよ。とどめにならなくて残念ね?」
ちよ「うん。ちょっとまずいかも……このターンで決めたかったんだけどな。ターン終了。」
香夜「へらへらしてる余裕があるのかしら?わたしのターン、ドロー!」
妨害されたにも関わらず笑顔を見せるちよに困惑しイラつきながらも香夜は強気な態度をとる。
香夜「……ふふふ……あはははは!!……やはりどこまでも私の愛の方が勝るようね!!」
ドローカードを見て高笑いする香夜を目の当たりにちよの表情は少しだけ険しくなる。
香夜「『ジュッテ・ロード』召喚っ!」
・ジュッテ・ロード 攻1600守1200
十手を携えた岡っ引きの姿をしたモンスター。
香夜「このモンスターの召喚時、手札からジュッテの名前を持つモンスターを特殊召喚できるわ!来なさい!『ジュッテ・ナイト』」
・ジュッテ・ナイト 攻700守900
提灯を背負い十手を持った丸メガネのモンスター。
香夜「さあ行くわよ!レベル4『ジュッテ・ロード』にレベル2チューナーモンスター『ジュッテ・ナイト』をチューニング!!」
ちよ「えっ!?」
一果「チューナー!?」
香夜「そうよ! さあ来なさい!無垢な思いを胸に秘め、彼の心を捕まえて!!シンクロ召喚! レベル6『ゴヨウ・プレデター!!!』」
・ゴヨウ・プレデター 攻2400守1200
さながら鬼か悪魔のような面をつけ、十手を振りかざす大男のようなモンスターが出現しちよを睨む。鋭い牙や爪はまるで獣のようだ。
ちよ「あわわ……」
まるでかばうかのように鎖に縛られたはずの魔導師の少女は怯えるちよの前に立ちはだかる。
003「いいぞー!香夜ちゃーん!!」
002「香夜さん…凄いです。」
一果「まさかシンクロを使うなんて思わなかったよ。それにしても……」
香夜「それにしても?」
一果「……無垢な思いとか微塵も持ってなさそうなモンスターだな。」
香夜「うるさいわね! センス無いんだから黙ってなさい!!」
一果「はいはい悪かったよ……」
香夜「まったくもう! じゃあ改めて行くわよ! 『ゴヨウ・プレデター』で『光と闇の姫君』に攻撃!」
十手の柄についた紐を掴みブンブン回転させ、その勢いで十手を『光と闇の姫君』に命中させる。
ちよ「あああっ!!」
ちよ LP2700→LP1800
香夜「この瞬間『ゴヨウ・プレデター』の効果発動! 戦闘で破壊したモンスターを私の場に特殊召喚するわ!!」
ちよの墓地に向かって紐付き十手を投げ『光と闇の姫君』を縛り上げながら引き摺り出す。無理やり相手の場に召喚された少女の顔は苦痛に歪んでいる。
香夜「でもこの効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は半分になるわ。ま、それで十分だけどね。」
・光と闇の姫君 攻2200→攻1100
香夜「これであなたのフィールドはずっと伏せられてる役に立たないカード1枚だけ。行きなさい!えっと……ああ!もうなんでもいいわ!ダイレクトアタックよ!!」
杖の先から勝手にエネルギーが放出されちよに命中してしまい『光と闇の姫君』はそれを悲しい顔で見つめる。
ちよ「大丈夫……大丈夫だよ…」
ちよ LP1800→LP700
003「香夜ちゃんすごーい! 大逆転じゃん!!」
香夜「大丈夫? 大丈夫じゃないわよ?このターンで終わりなんだから。」
一果「……『光と闇の姫君』の効果か…」
香夜「そう、バトルフェイズを終えたらあの子のモンスターによってあの子は負ける。私の愛が上だと証明される。さあ……そろそろメインフェイズに移……」
先ほどの攻撃であたりを覆っていた煙が晴れた中、香夜はちよのフィールドを見て怪訝な表情を浮かべる。そこには1枚のカードが表向きで発動していた。
ちよ「……罠カード『交差する心』。」
香夜「『交差する心』?」
ちよ「相手の場の元々の持ち主が自分のモンスターの攻撃のダメージステップが終わった時、そのコントロールを戻す。」
002「……!?」
003「えーっ!?」
一果「ちよっちぃ〜!!」
香夜「あ……そんな……」
『光と闇の姫君』の拘束が解かれ、ふわりと宙を舞ってちよの元へと戻る。お互いにアイコンタクトを取り、マスターと自分を引き離した『ゴヨウ・プレデター』を睨みつける。
ちよ「おかえり。」
香夜「うそ……どうすれば…あ……」
焦りながら自分の手札や相手の場を何度も見比べる香夜。しかし返しの手をまったく思いつかずゆっくりその手を下ろす。
香夜「ターン……エンド…」
002「香夜さん……」
ちよ「うちのターン、ドロー。……『光と闇の姫君』効果発動。『フェイバージャッジメント』」
香夜 LP300→LP0
すっかり陽も落ちた森の中、ソリッドビジョンが消える。そこには呆然と膝をつく香夜がいた。
香夜「………私……負けっ……負けちゃっ……ヒッ……グスッ……景介く……」
ちよ「あ、あの……」
呼吸も上手くできずポロポロと流れる涙を両手でぬぐい続ける香夜に歩み寄ろうとするちよ。しかしそれを遮ったのは一果だった。
ちよ「一果ちゃん…?」
一果「あんた…香夜つったな。」
香夜「なに……よ…」
一果「あんたは恋敵をいじめるでもなくデュエルでケリをつけるって形をとった。正々堂々勝負することを選んだ。」
突然自分を褒め始める目の前の少女を香夜は涙目で見上げる。
一果「それに負けを悟ったときも逃げずにちゃんとターンエンドした。……デュエルに持ってく手段はともかくあんたは根は立派なやつだよ。そんなあんたが泣くほど好きなら諦めんな!!」
香夜「……ふぇ!?」
香夜は一果の励ましを受けハッとしたように顔を上げる。
一果「それに今さらだけどちよっちは景介のことをそういう目で全く見てないよ。だから安心して堂々と告白しろ!!」
香夜「……え?……うそ…」
003「あ〜やっぱりか〜」
ちよ「えっ!?」
003「そうじゃないかとは思ってたんだよね。観察してる時から恋してるって感じしなかったし。」
一果「あのなあ……それを先に言えばこんなことにはならなかったろ…」
あっけらかんと勘違いに気づいていたことの暴露に一果は呆れる。
003「ごめんごめん。でも香夜ちゃんこう見えて繊細だからさ、勝って自身になればいいかなって。」
003「もう遅いしそろそろ帰るよ。今日はホントにごめんね。」
ちよ「あ、うん。気をつけて…」
003「あはは。ちよちゃんってホントいい子だね〜。ありがと! じゃあ行こ?香夜ちゃん。」
002「しっ、失礼します!」
未だに呆けている香夜の手を取り歩き出し、もう一人は深く頭を下げてそれを追っていく。
一果「人騒がせな奴らだったなぁ…」
ちよ「あはは……でもデュエルは楽しかったよ。強かったし、また…出来たらいいな。」
一果「ほーんと……いい子だなあちよっちは!!」
ちよ「きゃっ!?」
一果は背後からちよに抱きつき、そのちよは素っ頓狂な声を上げる。
一果「さ、アタシらも帰ろう!」
ー翌朝ー
遊飛「ふわ〜あ…」
ちよ「伴くん眠そうだね。」
遊飛「昨日遅くまで景介とデュエルしててよ。」
景介「無理やり付き合わされたんだけどね……」
一果「アタシらが大変だった時にお気楽だねえ…ん?」
ちよ「あ……」
校舎に向かって歩く4人の前に昨日の少女、須藤香夜が立っていた。その手には可愛らしい放送の包みを持っている。香夜はこちらに気づくと小走りで駆け寄ってくる。
一果「景介ぇ。覚悟しとけよ?」
景介「ん?どういうこと?わっ!?」
告白しに来たのだと察した一果は景介の背中を押す。しかし駆け寄ってきた香夜は景介の脇をすり抜け一果の前に立ち小包を差し出す。
香夜「あ、あの…これ!」
一果「へ?アタシ?」
香夜「分かったの。一果さんに励まされた時、私がついていくべきは誰かってことを……」
一果「はあ……」
香夜「一果さんは私のことを分かってくれる。導いてくれる。今日から一果さんは私の心のお姉様…」
香夜は頬を染めながら体をくねらせて一果に擦り寄る。
一果「はあ!? 何言って…」
香夜「どこまでもついて行くわ、お姉様♡」
一果「ひいぃ!? 誰かなんとかしてくれよ!!」
遊飛「んなこと言われても……」
景介「何がなんだか……」
ちよ「ど、どうしたら……」
一果「……あ、はやくじゅぎょーいかなきゃー……」ダッ
香夜「ああっ! 待ってお姉様〜!!」
わざとらしいセリフとともに一気にダッシュする一果を追う香夜。
一果「なんでこうなるんだ〜!!」
続く。
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次回予告
遊飛「今日もデュエルの調子は快調だぜ! 次はどんな奴と戦おうか……え?成績が悪すぎ? デュエルして勝たないと毎日補習!? そりゃないぜ〜。それで相手は…暑苦しい奴だなあ……」
遊飛「次回! 『熱血、ライバル登場!!』デュエルスタンバイ!!」
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ポケモン楽しすぎてめっちゃ遅れてしまいました…反省。
前回のあらすじ!
デュエルアカデミアに入学して約1ヶ月、平和なデュエルライフを満喫していた『遊飛』『ちよ』『景介』『一果』。しかし景介のことを好きな女の子『須藤香夜』がちよが景介を狙っていると勘違いし、夜の森に呼び出しデュエルを持ちかけた! デュエル中にその場に駆けつけた一果だったが……
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一果「………はい?」
香夜「あら聞こえなかった?これは景介くんへの愛を…」
一果「いや聞こえたよ! 言ってる意味が分かんないんだよ!」
香夜「んもう!理解力のない人ね! 景介くんを奪い合う者同士、デュエルに負けた方が景介くんから手を引くの!」
一果(奪い合うって…やっぱりその手の勘違いか。それにしてもデュエルで決着なんて案外まともと言えなくもない…かな?)
一果「そ、そうか。ちよっちはこのデュエル…続ける?」
一果は事情を把握するとちよの方に向き直り問いかける。
ちよ「う、うん。もう始めちゃったしうちは続けてもいい…かな。」
香夜「当たり前よ! この勝負、逃げることは許されないわ!」
一果「……分かった。一応アタシもちよっちの友達としてこのデュエル、見届けさせてもらうよ?」
香夜「もう来ちゃったし仕方ないわね。そこで見ていなさい! さあちよさん?ターンは終了なの?」
ちよ「うん、うちはターン終了。」
香夜「私のターン! ドロー!『華麗なる潜入工作員』召喚。」
・華麗なる潜入工作員 攻1300守1200
香夜「『華麗なる潜入工作員』でバルーンに、続けて『ソードストーカー』で白い方に攻撃よ!!」
エージェント風のモンスターが風船にナイフを投擲、破裂させるが爆音に驚き守備表示となる。そして悪魔剣士が剣を振り下ろし、ピケルは消滅してしまう。
ちよ「ううっ!?」
ちよ LP4800→LP4000
香夜「ふふん! ターンエンドよ。」
●ちよ LP4000 手札1枚
モンスター1 『黒魔導師クラン』
魔法、罠1 セット×1
●香夜 LP4000 手札3枚
モンスター2 『復讐のソードストーカー』『華麗なる潜入工作員』
魔法、罠0
ちよ「うちのターン、ドロー。『クラン』の効果を発動、相手のモンスターの数×300のダメージ!」
香夜「そのくらい痛くもかゆくもないわ。」
香夜 LP4000→LP3400
ちよ「えっと……『クラン』を守備表示にしてターン終了。」
香夜「打つ手がないようね?私のターン!ドロー! ふふ、『デス・ストーカー』を召喚するわ。」
・デス・ストーカー 攻900守800
香夜「『華麗なる潜入工作員』を攻撃表示に変更。バトルよ!『デス・ストーカー』で黒いのに攻撃!」
サソリの特徴を持つ悪魔が小さな黒魔導師をハサミで掴み、尾を突き刺す。
ちよ「『クラン』……ッ!?」
香夜「さあ覚悟しなさい!『ソードストーカー』と『潜入工作員』で直接攻撃よ!」
2振りの刃がちよに向かって飛んでくる。
ちよ「きゃあっ!?」
ちよ LP4000→LP2000→LP700
香夜「これであなたのライフは風前のともし火ね。これが私とあなたの景介くんへの愛の差よ!おーっほっほっほっほ!!」
一果「最初からこっちにその気はないんだよなあ……」
ちよ「あ…はは…」
勝ちを目前に調子付く香夜にちよと一果は苦笑いを隠せないが当の香夜には聞こえていないようだ。
香夜「次の私のターンで決着ね!ターンエンド。」
●ちよ LP700 手札2枚
モンスター 0
魔法、罠 1 セット×1
●香夜 LP3400 手札3枚
モンスター3 『復讐のソードストーカー』『華麗なる潜入工作員』『デス・ストーカー』
魔法、罠0
一果「ちよっち! ファイトだよ!」
ちよ「う、うん。ドロー……魔法カード『強者の施し』。自分の場にモンスターがいなくてライフが負けてる時に発動できる。」
ちよ「相手のモンスター1体につき1枚ドローする。うちは3枚ドロー!」
002「さ、3枚も…」
003「でもこのカードは確か…」
一果「発動ターンはモンスターを召喚できないしこれ以外のカードの効果も発動出来ない……」
ちよ「うちはカードを1枚伏せてターン終了。」
香夜「私のターンね! ドロー。」
香夜(ドローカードは『禁じられた聖槍』……これさえあれば何をされてもモンスターを効果から守ることができる。)
勝ちを確信しにんまりと笑みを浮かべる香夜を見てちよと一果にも緊張が走る。
香夜「バトル!『ソードストーカー』でとどめよ! これで景介くんは私のものね!!!」
一果「ちよっち!」
ちよ「罠カード発動!」
ギンッ!!
金属音と共に悪魔剣士の剣が止まる。そこにはオーラに包まれた小さな黒魔導師が両手をかざし歯を食いしばって立っていた。
ちよ「罠カード『ピンポイントガード』。墓地のレベル4以下のモンスター『クラン』を守備表示で特殊召喚したよ。『クラン』はこのターンは戦闘と効果で破壊されない…」
香夜(こっちに何かしないなら『禁じられた聖槍』も意味がないじゃない!)
003「そう来たか〜。どんまいだよ!香夜ちゃん。」
香夜「そうね…こんなの時間稼ぎよ。 カードを1枚伏せて……念のため『デス・ストーカー』『華麗なる潜入工作員』を守備表示でターンエンドよ。」
●ちよ LP700 手札3枚
モンスター1 『白魔導士ピケル』
魔法、罠1 伏せカード
●香夜 LP3400 手札4枚
モンスター3 『復讐のソードストーカー』『華麗なる潜入工作員』『デス・ストーカー』
魔法、罠1 伏せカード
ちよ「うちのターン、ドロー。『クラン』の効果で相手のモンスターの数×300のダメージ。」
香夜「ふん、悪あがきね。」
香夜 LP3400→LP2500
ちよ「永続魔法『魔術師の右手』発動。えっと…魔法使い族のモンスターがいる時、1ターンに1回相手の魔法を無効にできるよ。」
香夜(なにそれ!? それじゃ伏せた『禁じられた聖槍』が使えないじゃない……)
ちよ「さらに魔法カード『死者蘇生』。墓地の『ピケル』を特殊召喚!」
ちよの場に再び白と黒の幼き魔導師が並び立つ。
ちよ「フィールドに『ピケル』『クラン』が表側表示でいる時、二人を手札に戻すことでこの子を特殊召喚する。」
場の2人の魔導師は手のひらを天にかざしそれぞれ白、黒のエネルギーの塊を生み出す。そして2つの光が1つに交わりその中から長い杖を携え右が白、左が黒のドレスを纏った美しい少女が現れた。
ちよ「『光と闇の姫君(ライトアンドダークプリンセス)!!!』」
・光と闇の姫君 攻2200守1000
一果「おー!!」
002「わぁ……!」
003「可愛い〜!!」
香夜「ちょっと!どっちの味方なのよ!!」
ちよ「お願いね、『光と闇の姫君』。」
モンスターと意思疎通しているかのように語りかけるちよ。香夜はギャラリーがモンスターに見とれていることに不満の様子だがすぐにちよに向き直る。
香夜「まさかそんなモンスターがいるなんて……」
ちよ「『光と闇の姫君』の効果を発動。1ターンに1度、フィールド上の全てのモンスターの数×400ポイント…相手にダメージを与え自分は回復する。『フェイバージャッジメント!』」
両手で杖を前方に突き出して生み出された白と黒のエネルギーの塊が天に向かって浮き上がり黒いほうは香夜に、白い方はちよへと降り注ぐ。
香夜「ッ……!!」
香夜 LP2500→900
ちよ LP700→2300
一果「いいぞー!ちよっちー!!」
ちよ「えへへ……ありがとう。」
ちよは声援に照れるが香夜はそれにイラつき唇を噛み締めている。
ちよ「バトルだよ! 『光と闇の姫君』で『復讐のソードストーカー』に攻撃。『ツインハートショット!!』」
先ほどと似たような黒と白のエネルギーを杖の先端に発生させ、悪魔剣士めがけて発射する。エネルギーは螺旋
回転しながら飛んでいき命中し凄まじい爆発が起こる。
香夜「んあぁっ!!」
香夜 LP900→LP700
ちよ「うちはこれでターンを終了だよ。」
003「香夜ちゃんしっかり! ほら応援応援!」
002「ふぇっ!? あ、えっと…が、頑張ってくださぁぃ……」
香夜「分かってるわよ!」
香夜(このままモンスターを残してたら効果を使われて負け。魔法は1回無効。でも手札にはモンスターしかいない……ドローにかけるしかないわね…)
香夜「ふう……私のターン!!ドロー!!!」
深呼吸ののち激しくドローを行う香夜。そのドローカードを恐る恐る横目で見た途端その口角がゆっくりと上がる。
香夜「ふふ……まだ神は私の愛を見放しはしなかったようね! 『デス・ストーカー』をリリースし手札から『手錠龍』召喚!」
・手錠龍 攻1800守1800
口と尾が手錠のように変形している奇妙な姿をした龍が現れる。
一果「なんだ?アドバンスの割に攻撃力低いなあ。それになんか虫みたいでキモ……」
香夜「何言ってるの!? 可愛いじゃない!!」
一果「え゛?あ……うん。」
香夜はものすごい剣幕で手錠龍を貶した一果を責め、圧倒して頷かせる。
香夜「これだからセンスのない人は……」
一果「(何これ?アタシがおかしいの?)」
003「(大丈夫、香夜ちゃんちょっと独特だから気にしないで?)」
一果「(はは…)」
理不尽だと言わんばかりに呟く一果の肩にサイドテールの003番が手を置いて励ます。
香夜「私は手札から魔法カード『リロード』発動!」
ちよ「…………」
香夜「…………」
ちよ「…………」
香夜「…………」
ちよ「………あ、あの…ドローは?」
香夜「え?『魔術師の右手』で無効にしないの?」
ちよ「へ?あ、うん。しないけど…」
香夜「なんでしないのよ!?」
ちよ「えっとえっと…モンスター出してから手札入れ替える魔法カード使ったからそのモンスターを強くしたりするなら伏せてあるカードでやるのかなって。それが魔法だったらそれを無効にしたほうがいいのかなって……そんな感じなんだけど……」
香夜「……流石私の恋のライバルね。このハイレベルなおとり作戦を見抜くなんてやるじゃない!」
一果「もう色々突っ込みどころありすぎだろ……」
単純な戦略に引っかからなかったちよをライバルとして褒める香夜だがそれを見る一果は相当呆れている。
香夜(なんにしてもこのままじゃ次のターンで負けちゃう。景介くんのためにも……このドローにかけるしかないっ!)
香夜「手札3枚をデッキに戻してシャッフル。3枚ドロー!」
香夜「………!! 私はカードを2枚伏せてターンエンド。」
●ちよ LP2300 手札3
モンスター1 『光と闇の姫君』
魔法、罠2 『魔術師の右手』、伏せカード×1
●香夜 LP700 手札1
モンスター2 『華麗なる潜入工作員』、『手錠龍』
魔法、罠2 伏せカード×3
ちよ「うちのターン、ドロー。」
一果「よし!このターンで決めちゃえ!」
ちよ「うん。『光と闇の姫君』の効果はつど…」
香夜「リバースカードオープン!! 『はさみ撃ち!』」
香夜「私のモンスター2体を破壊し、あなたのモンスター……『光と闇の姫君』を破壊するわ!」
香夜の場のモンスター2体は『光闇の姫君』を左右から襲いにかかり、衝突した瞬間激しい爆発が起こる。
香夜「どーお? これで振り出しよ。」
腰に手を当て、得意げな香夜。しかしその表情はすぐさま驚きへと変わる。立ち込める煙が徐々に晴れ、その中心には白と黒の幼い魔導師2人に守られた『光と闇の姫君』が立っていたからだ。
香夜「なっ…!? なんで……」
ちよ「『光と闇の姫君』は破壊される時に手札の『ピケル』『クラン』を墓地に送ることで1回だけ破壊を無効に出来るよ。」
香夜「そんな効果まであるなんて……」
003「でも香夜ちゃんのモンスターがいなくなったから…」
一果「効果ダメージでケリはつかない……」
ちよ「改めて効果を発動。モンスターの数×400回復して相手にはダメージを与える!」
ちよ LP2300→LP2700
香夜「くっ……」
香夜 LP700→LP300
香夜のライフポイントは残りわずか。攻撃を通せば勝てる場面だが2枚の伏せカードがそれを躊躇わせる。
ちよ「………バトル、『光と闇の姫君』で直接攻撃!」
香夜「いやあああ!!!………なあんちゃって!」
2つのエネルギーを宿した杖を振りかざし放とうとした瞬間。突如としてその少女を無数の鎖が襲い、絡みつく。振り上げた手も縛られ攻撃も止められてしまう。
・光と闇の姫君 攻2200→攻1500
ちよ「えっ!?」
香夜「『闇の呪縛』。モンスターの攻撃を封じ、攻撃力も700下げるカードよ。とどめにならなくて残念ね?」
ちよ「うん。ちょっとまずいかも……このターンで決めたかったんだけどな。ターン終了。」
香夜「へらへらしてる余裕があるのかしら?わたしのターン、ドロー!」
妨害されたにも関わらず笑顔を見せるちよに困惑しイラつきながらも香夜は強気な態度をとる。
香夜「……ふふふ……あはははは!!……やはりどこまでも私の愛の方が勝るようね!!」
ドローカードを見て高笑いする香夜を目の当たりにちよの表情は少しだけ険しくなる。
香夜「『ジュッテ・ロード』召喚っ!」
・ジュッテ・ロード 攻1600守1200
十手を携えた岡っ引きの姿をしたモンスター。
香夜「このモンスターの召喚時、手札からジュッテの名前を持つモンスターを特殊召喚できるわ!来なさい!『ジュッテ・ナイト』」
・ジュッテ・ナイト 攻700守900
提灯を背負い十手を持った丸メガネのモンスター。
香夜「さあ行くわよ!レベル4『ジュッテ・ロード』にレベル2チューナーモンスター『ジュッテ・ナイト』をチューニング!!」
ちよ「えっ!?」
一果「チューナー!?」
香夜「そうよ! さあ来なさい!無垢な思いを胸に秘め、彼の心を捕まえて!!シンクロ召喚! レベル6『ゴヨウ・プレデター!!!』」
・ゴヨウ・プレデター 攻2400守1200
さながら鬼か悪魔のような面をつけ、十手を振りかざす大男のようなモンスターが出現しちよを睨む。鋭い牙や爪はまるで獣のようだ。
ちよ「あわわ……」
まるでかばうかのように鎖に縛られたはずの魔導師の少女は怯えるちよの前に立ちはだかる。
003「いいぞー!香夜ちゃーん!!」
002「香夜さん…凄いです。」
一果「まさかシンクロを使うなんて思わなかったよ。それにしても……」
香夜「それにしても?」
一果「……無垢な思いとか微塵も持ってなさそうなモンスターだな。」
香夜「うるさいわね! センス無いんだから黙ってなさい!!」
一果「はいはい悪かったよ……」
香夜「まったくもう! じゃあ改めて行くわよ! 『ゴヨウ・プレデター』で『光と闇の姫君』に攻撃!」
十手の柄についた紐を掴みブンブン回転させ、その勢いで十手を『光と闇の姫君』に命中させる。
ちよ「あああっ!!」
ちよ LP2700→LP1800
香夜「この瞬間『ゴヨウ・プレデター』の効果発動! 戦闘で破壊したモンスターを私の場に特殊召喚するわ!!」
ちよの墓地に向かって紐付き十手を投げ『光と闇の姫君』を縛り上げながら引き摺り出す。無理やり相手の場に召喚された少女の顔は苦痛に歪んでいる。
香夜「でもこの効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は半分になるわ。ま、それで十分だけどね。」
・光と闇の姫君 攻2200→攻1100
香夜「これであなたのフィールドはずっと伏せられてる役に立たないカード1枚だけ。行きなさい!えっと……ああ!もうなんでもいいわ!ダイレクトアタックよ!!」
杖の先から勝手にエネルギーが放出されちよに命中してしまい『光と闇の姫君』はそれを悲しい顔で見つめる。
ちよ「大丈夫……大丈夫だよ…」
ちよ LP1800→LP700
003「香夜ちゃんすごーい! 大逆転じゃん!!」
香夜「大丈夫? 大丈夫じゃないわよ?このターンで終わりなんだから。」
一果「……『光と闇の姫君』の効果か…」
香夜「そう、バトルフェイズを終えたらあの子のモンスターによってあの子は負ける。私の愛が上だと証明される。さあ……そろそろメインフェイズに移……」
先ほどの攻撃であたりを覆っていた煙が晴れた中、香夜はちよのフィールドを見て怪訝な表情を浮かべる。そこには1枚のカードが表向きで発動していた。
ちよ「……罠カード『交差する心』。」
香夜「『交差する心』?」
ちよ「相手の場の元々の持ち主が自分のモンスターの攻撃のダメージステップが終わった時、そのコントロールを戻す。」
002「……!?」
003「えーっ!?」
一果「ちよっちぃ〜!!」
香夜「あ……そんな……」
『光と闇の姫君』の拘束が解かれ、ふわりと宙を舞ってちよの元へと戻る。お互いにアイコンタクトを取り、マスターと自分を引き離した『ゴヨウ・プレデター』を睨みつける。
ちよ「おかえり。」
香夜「うそ……どうすれば…あ……」
焦りながら自分の手札や相手の場を何度も見比べる香夜。しかし返しの手をまったく思いつかずゆっくりその手を下ろす。
香夜「ターン……エンド…」
002「香夜さん……」
ちよ「うちのターン、ドロー。……『光と闇の姫君』効果発動。『フェイバージャッジメント』」
香夜 LP300→LP0
すっかり陽も落ちた森の中、ソリッドビジョンが消える。そこには呆然と膝をつく香夜がいた。
香夜「………私……負けっ……負けちゃっ……ヒッ……グスッ……景介く……」
ちよ「あ、あの……」
呼吸も上手くできずポロポロと流れる涙を両手でぬぐい続ける香夜に歩み寄ろうとするちよ。しかしそれを遮ったのは一果だった。
ちよ「一果ちゃん…?」
一果「あんた…香夜つったな。」
香夜「なに……よ…」
一果「あんたは恋敵をいじめるでもなくデュエルでケリをつけるって形をとった。正々堂々勝負することを選んだ。」
突然自分を褒め始める目の前の少女を香夜は涙目で見上げる。
一果「それに負けを悟ったときも逃げずにちゃんとターンエンドした。……デュエルに持ってく手段はともかくあんたは根は立派なやつだよ。そんなあんたが泣くほど好きなら諦めんな!!」
香夜「……ふぇ!?」
香夜は一果の励ましを受けハッとしたように顔を上げる。
一果「それに今さらだけどちよっちは景介のことをそういう目で全く見てないよ。だから安心して堂々と告白しろ!!」
香夜「……え?……うそ…」
003「あ〜やっぱりか〜」
ちよ「えっ!?」
003「そうじゃないかとは思ってたんだよね。観察してる時から恋してるって感じしなかったし。」
一果「あのなあ……それを先に言えばこんなことにはならなかったろ…」
あっけらかんと勘違いに気づいていたことの暴露に一果は呆れる。
003「ごめんごめん。でも香夜ちゃんこう見えて繊細だからさ、勝って自身になればいいかなって。」
003「もう遅いしそろそろ帰るよ。今日はホントにごめんね。」
ちよ「あ、うん。気をつけて…」
003「あはは。ちよちゃんってホントいい子だね〜。ありがと! じゃあ行こ?香夜ちゃん。」
002「しっ、失礼します!」
未だに呆けている香夜の手を取り歩き出し、もう一人は深く頭を下げてそれを追っていく。
一果「人騒がせな奴らだったなぁ…」
ちよ「あはは……でもデュエルは楽しかったよ。強かったし、また…出来たらいいな。」
一果「ほーんと……いい子だなあちよっちは!!」
ちよ「きゃっ!?」
一果は背後からちよに抱きつき、そのちよは素っ頓狂な声を上げる。
一果「さ、アタシらも帰ろう!」
ー翌朝ー
遊飛「ふわ〜あ…」
ちよ「伴くん眠そうだね。」
遊飛「昨日遅くまで景介とデュエルしててよ。」
景介「無理やり付き合わされたんだけどね……」
一果「アタシらが大変だった時にお気楽だねえ…ん?」
ちよ「あ……」
校舎に向かって歩く4人の前に昨日の少女、須藤香夜が立っていた。その手には可愛らしい放送の包みを持っている。香夜はこちらに気づくと小走りで駆け寄ってくる。
一果「景介ぇ。覚悟しとけよ?」
景介「ん?どういうこと?わっ!?」
告白しに来たのだと察した一果は景介の背中を押す。しかし駆け寄ってきた香夜は景介の脇をすり抜け一果の前に立ち小包を差し出す。
香夜「あ、あの…これ!」
一果「へ?アタシ?」
香夜「分かったの。一果さんに励まされた時、私がついていくべきは誰かってことを……」
一果「はあ……」
香夜「一果さんは私のことを分かってくれる。導いてくれる。今日から一果さんは私の心のお姉様…」
香夜は頬を染めながら体をくねらせて一果に擦り寄る。
一果「はあ!? 何言って…」
香夜「どこまでもついて行くわ、お姉様♡」
一果「ひいぃ!? 誰かなんとかしてくれよ!!」
遊飛「んなこと言われても……」
景介「何がなんだか……」
ちよ「ど、どうしたら……」
一果「……あ、はやくじゅぎょーいかなきゃー……」ダッ
香夜「ああっ! 待ってお姉様〜!!」
わざとらしいセリフとともに一気にダッシュする一果を追う香夜。
一果「なんでこうなるんだ〜!!」
続く。
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次回予告
遊飛「今日もデュエルの調子は快調だぜ! 次はどんな奴と戦おうか……え?成績が悪すぎ? デュエルして勝たないと毎日補習!? そりゃないぜ〜。それで相手は…暑苦しい奴だなあ……」
遊飛「次回! 『熱血、ライバル登場!!』デュエルスタンバイ!!」
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ポケモン楽しすぎてめっちゃ遅れてしまいました…反省。
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Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
最近アニメに出た魔術師の右手にアニオリのジュッテロード。こういうのが入り乱れてると非常に面白いです!
強者の施しも創作系では良い感じのドローソースですね。いつか使わせていただきたいなぁ……。 (2016-12-02 01:44)
オリジナルの光と闇の姫君はなかなかカワ強いですね。 (2016-12-02 02:29)
恐るべし……とても良い褒め言葉です笑
魔術師の〜はとても使いたくなったカードなので急遽投入しちゃいました。面白い、使いたいと言っていただけて嬉しいです!いやもう是非使ってください!! (2016-12-02 20:07)
この世界はエクシーズまでがカリキュラムに入っています。(アニメのLDSのような感じです)しかしペンデュラムは私自身の理解が及ばないため残念なことに出ないのです。
『光と闇の姫君』はピケクラの融合とはいかずとも力を合わせたカードはあって良いだろうという思いで生まれました。お褒めに預かり光栄です笑 (2016-12-02 20:11)
使いやすそうと言っていただけて嬉しいです。香夜さん惚れっぽいのでふとしたきっかけで心変わりしちゃうんですね〜笑
改めて王女の試練と魔法の国の王女2人を見るとハイリスクローリターンすぎて笑いました。せめて耐性や元の2人を戻す効果をつけてほしいですね。 (2016-12-03 12:42)