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第8話:麟出陣!機械竜の進撃 作:青き眼の凡人
「さっきの試合、すごかったな!」
「ああ、普通は返せないぜ?あんな状況!」
「素晴らしい試合でしたわね。」
「ああ。さすがは名家アリストクラシー。人物眼に優れた主人がいるようだ。」
観客からゴードンのデュエルを褒め称える声が上がる。そこには一時的にだが、貴人と闇人の垣根は存在しなかった。
「いやー、一度はどうなるかと思いましたが、無事に終わってよかったですね、チェックさん!」
「そうですね。このまま一回戦が無事に終わればいいですねー。」
「おっと、たった今連絡が入りました!両チームの二番手が決まったようです!」
「うわわ…緊張するなあ…あたいそういえばこんな大勢が見てる中でデュエルしたことなかったよぉ…」
「まず入場してきたのはチームダークロードの才刄 麟!」
「…だいぶ緊張してるみたいですねー。右手と右足を一緒に出してますよ。」
「あわわわ…!」
「麟ー!気にすんな!デュエルに集中すればいいんだ!」
「麟ちゃーん!落ち着いてねー!転ばないようにねー!」
「お前が言える立場ではないと思うぞアマンダ…麟、大丈夫だ。緊張することはない!自分のデュエルを貫け!」
「麟。頑張ってね。ルーシャスも応援してます!」
《はい。私も微力ながら応援させていただきます。》
控えていたチームダークロードのメンバーがエールを送る。
「みんな…うん!頑張ってくるわ!」
その言葉は麟の背中を後押しするのに十分だった。
「おや?歩き方が普通になりましたね?」
「意外に早く緊張を克服しましたね〜。私の経験上、緊張を乗り越えた決闘者は強いですよ。」
「続いて入場するのは、ロイヤルフォースの、二番手!メディチ家の御曹司、ティーク!」
「こちらは過去に1回出場経験があるようです。」
「キミ、初出場らしいね?経験者のボクとの差、思い知らせてあげるよ!」
「ハン!一回だけのくせに偉そうに!」
「う、うるさい!一回だけであろうと経験者は経験者だ!デュエルモード!」
「はあ…相手のチームにはこんなのしかいないの?うちのお嬢様を見習ってほしいわね。デュエルモード!」
「さあ、お互いの準備も整ったところで!デュエル開始イイ!」
「「デュエル!」」
ティーク
LP4000 手札5枚 デッキ35枚
麟
LP4000 手札5枚 デッキ35枚
先攻はティークに決まった。
「ボクのターン!ボクは手札からフィールド魔法『歯車街』発動!この効果は…と言いたいとこだが、すぐさま『古代の機械射出機』発動!『歯車街』を破壊!」
「自分で自分のカードを破壊?何考えてんの?」
「これだからシロートは困る。カタパルトとタウンの効果!まずは破壊されたタウンの効果でデッキから『古代の機械飛竜』を特殊召喚!」
「このカードの効果で!『古代の機械箱』を手札に加える!」
「今手札に加えたボックスの効果発動!『古代の機械騎士』を手札に加える!」
「…まだカタパルトの処理をしてないな?カタパルトの効果!デッキから『古代の機械猟犬』を特殊召喚!」
二枚のカードからどんどん展開していくティーク。彼の展開はまだ止まらない。
「ハウンドドッグの効果!手札・フィールド上から『アンティーク・ギア』融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する!」
「ボクはフィールドの『古代の機械猟犬』と『古代の機械飛竜』と手札の『古代の機械箱』と『古代の機械騎士』を墓地に送り、融合!」
「駆動せよ!混沌を招く機械の巨人!」
融合召喚!
「『古代の機械混沌巨人』!」
スタジアムの二階観客席にまで届きそうなモンスターが姿を現した。
古代の機械混沌巨人
ATK4500
「ここでティーク!4500のモンスターを融合召喚だ!」
「あのモンスターは『古代の機械』を4体も消費するモンスターですが、『古代の機械飛竜』と『古代の機械箱』を活用して消費を抑えていますね。プレイングに無駄がありません。」
「このカードがモンスターゾーンにいる限り、このカードは魔法・罠カードの効果を受けないし、キミはバトルフェイズ中モンスターの効果を発動出来ない!」
「さらに永続魔法、『古代の機械城門(アンティーク・ギア・キャッスルゲート)』を発動!このカードが存在する限り、自分フィールドの『アンティーク・ギア』モンスターは戦闘では破壊されない!」
古代の機械城門(オリカ)
永続魔法
(1)このカードが自分フィールド上に存在する限り、自分フィールドの『アンティーク・ギア』モンスターは戦闘では破壊されない。
(2)自分のスタンバイフェイズに発動する。自分フィールドのカードを一枚破壊する。または、破壊せずにこのカードを墓地に送る。
「さあ、魔法・罠耐性を持ち、戦闘破壊出来ない攻撃力4500のモンスター!絶望的だね?ターンエンド。」
「そんなモンスター一体召喚しただけでいい気にならないでちょうだい!」
「フッ、早くカードを引いたらどうだい?」
「ええわかったわ!あたいのターン!ドロー!」
「あたいは手札から『サイバネティック・ドロー・テクノロジー』発動!自分の手札の『サイバー』モンスターを墓地に送り、デッキからカードを二枚ドローすることが出来るわ!あたいは手札の『サイバー・ドラゴン・ツヴァイ』を墓地に送り、二枚ドロー!」
サイバネティック・ドロー・テクノロジー(オリカ)
通常魔法
(1)手札の『サイバー』モンスター一体を墓地に送り発動できる。デッキからカードを二枚ドローする。
(…よし!このカードを使えば!)
「『プロト・サイバー・ドラゴン』召喚!このカードはフィールド上に存在する限り『サイバー・ドラゴン』として扱うわ!」
「今度はこっちの番よ!『パワー・ボンド』発動!『サイバー・ドラゴン』扱いの『プロト・サイバー・ドラゴン』と、手札の『サイバー・ドラゴン』と、『融合呪印生物ー光』を『サイバー・ドラゴン』扱いにして、融合!」
「機械の竜達よ、究極の姿となって、あたいに力を貸して!」
融合召喚!
「出番よ!機械究極竜!『サイバー・エンド・ドラゴン』!」
サイバー・エンド・ドラゴン
ATK4000→8000
一つの胴体に三つの首を生やした機械の竜が出現した。凶暴そうに見えるのは攻撃力が上がっていることを意味しているのだろうか。
「なっ…しょ、正気かい!?キミ!確かに攻撃力は高いが、エンドフェイズ時に『パワー・ボンド』の効果で4000ダメージを受けるんだぞ!?」
ティークの言うことはもっともだ。古代の機械混沌巨人の攻撃力は4500。対してサイバー・エンドの攻撃力は8000。つまりこのまま攻撃してもティークは3500のダメージを受けるが、500のライフが残る。それだけでは『パワー・ボンド』の効果によってサイバー・エンドの元々の攻撃力分のダメージ、つまり4000ダメージを受けて麟は敗北してしまう。まだ麟の手札は2枚残っているが…
「それでも構わないわ!バトル!『サイバー・エンド・ドラゴン』で『古代の機械混沌巨人』を攻撃!」
「エターナル・エヴォリューション・バースト!」
麟の命令に従い、機械竜は三つの首をもたげ、口内にエネルギーを溜め、それをビームにして発射する。攻撃力8000は伊達ではなく、その衝撃がスタジアム全体に広がる。
「ぐううっ!!だが、『古代の機械城門』の効果により、『古代の機械混沌巨人』は戦闘では破壊されない!」
ティーク
LP4000→500
「す、すげえ衝撃だったな今の…」
「ああ、あんなのまともに喰らいたくねえ…」
「かなり強力な攻撃でしたが、惜しい!このターンのエンドフェイズ、麟は4000ダメージを受けて敗北してしまいます!」
「…いや、それはどうでしょう?」
「ど、どういう意味ですか?チェックさん?」
「考えてみてください。彼女の手札なら『サイバー・ツイン・ドラゴン』を融合召喚してライフの消費を抑えながら『古代の機械混沌巨人』の攻撃力を上回ることも出来たはずです。しかし、彼女は『サイバー・エンド・ドラゴン』を選択しました。そして飛車鳥さん、あなた忘れてませんか?」
「な、何をですか?」
「バトルフェイズの後にはメインフェイズ2があるってことを!」
「メインフェイズ2!あたいは手札から『ハネワタ』の効果を発動!このターンのエンドフェイズ時まで、自分が受ける効果ダメージを0にする!」
突如綿毛の塊にデフォルメされた目を付け、天使のような羽を生やしたモンスターが出現し、麟の頭上に光の鱗粉のようなものを振りまいた。
「あたいはこれで、ターンエンド!」
エンドフェイズ、突如『サイバー・エンド・ドラゴン』から暴発した電流が麟に襲いかかろうとするが、光の鱗粉がそれを弾き返した。『パワー・ボンド』のデメリットを無効化したことを表す演出である。
「うまく出来たようだな…麟。」
「すごいです〜!アルフレッドさん、あんな回避方法があったんですね〜!」
「ああ、『パワー・ボンド』のデメリット効果は『ライフを払う』ではなくダメージだ。故にさっきの『ハネワタ』や、『レインボー・ライフ』などで回避できる。」
「すげえ!うまく回避しやがった!」
「いいぞー!ダークロードー!」
「よく訓練されているようですわね。」
「ああ。あれはひょっとするとプロになれる素質があるかもしれん。見にきた甲斐があった。」
「す、すごい!まさかチェックさん、こうなるのをわかってたんですか!?」
「ええ。過去に似たようなケースに遭遇したことがありましてね。その時は『レインボー・ライフ』を使われましたから大変でしたよ。」
「この戦法の厄介な所は二つあります。まず一つ目は『パワー・ボンド』で上がった攻撃力は元に戻らず、そのままなんです。つまり、あそこにいる『サイバー・エンド・ドラゴン』もそのまま8000です。戦闘ではまず破壊出来ません。」
「そして二つ目。『パワー・ボンド』のデメリット効果は発動したターンのエンドフェイズ時。つまり次のターンからはもうダメージを気にする必要はないんです。ノーコストで高い攻撃力のモンスターを維持できるわけですねー。」
「これを破るにはどうすればいいでしょうか?」
「やっぱりカードの効果による除去ですね、『パワー・ボンド』は耐性までは付与しませんので。ただ、次のティーク選手のターンでそんなカードが来ればいいのですが。」
チェックの言うことは的中していた。
(ま、まずいぞ…『古代の機械巨人』と『テラ・フォーミング』ではどうしようもないぞ!)
(とにかくこのドローに賭けるしかない!強力なカード、強力なカード、強力カードォ〜!!)
「ボクのターン、ドロー!………!」
ティークの願いはある意味叶ったのかもしれない。なぜなら引いたカードは…
(リミッター解除……!!確かに強力だが、この状況では意味が無い!)
リミッター解除は確かに強力なカードだ。だが何故意味が無いのか?ここで『古代の機械混沌巨人』の効果を確認しておこう。
『古代の機械混沌巨人』の効果で注目すべき所はたった一つ。『このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは魔法・罠カードの効果を受けず、相手はバトルフェイズ中にモンスターの効果を発動できない。』の部分だ。この『魔法・罠の効果を受けない』というのが非常に重要である。
『奈落の落とし穴』などによって除去出来ないといった利点もあるが不便な点もある。それは、魔法・罠によるサポートが見込め無いのだ。今回の『リミッター解除』がそれにあたる。さらに手札にあるのは特殊召喚出来ず、アドバンス召喚のためのリリースも用意出来ていない『古代の機械巨人』と、『テラ・フォーミング』。つまりティークはこの状況において全く役に立たないカードを引いてしまったのだ。デッキは時に残酷である。
「スタンバイフェイズ時、『古代の機械城門』の効果を発動…このカードを墓地に送る…そしてターンエンドだ…」
先程の威勢はどこへいったのやら。結局何も出来ずにターンを終了した。
「あたいのターン!ドロー!」
一方麟は元気満々でデッキからカードを引いた。
「さあ、止めよ!『サイバー・エンド・ドラゴン』で、『古代の機械混沌巨人』に攻撃!」
「エターナル・エヴォリューション・バースト!」
「何故だ…」
『サイバー・エンド・ドラゴン』が攻撃態勢に入り、パワーを充填する。
「何故だ…」
ティークのぼやきは機械竜に聞かれることはなかった。機械竜は只、主人の命令を守り、攻撃を行う。
「何故なんだぁ〜!!?」
LP500→0
「勝者!チームダークロードの麟ッ!!」
「いい試合でしたね〜。」
「それでは三番手は準備をしてくれっ!チームダークロードは次の試合に勝てば二回戦進出が決定するぞっ!」
---次回予告。
アルフレッド「お嬢様が三番手ですか。」
アマンダ「一生懸命応援します〜!」
麟「あれっ?なんだかお嬢様、様子がおかしくない?」
ゴードン「そういやそうだな…何かあったのか?」
次回、巧妙なる罠
ユーリ「魔法カードが…発動出来ない…?」
「ああ、普通は返せないぜ?あんな状況!」
「素晴らしい試合でしたわね。」
「ああ。さすがは名家アリストクラシー。人物眼に優れた主人がいるようだ。」
観客からゴードンのデュエルを褒め称える声が上がる。そこには一時的にだが、貴人と闇人の垣根は存在しなかった。
「いやー、一度はどうなるかと思いましたが、無事に終わってよかったですね、チェックさん!」
「そうですね。このまま一回戦が無事に終わればいいですねー。」
「おっと、たった今連絡が入りました!両チームの二番手が決まったようです!」
「うわわ…緊張するなあ…あたいそういえばこんな大勢が見てる中でデュエルしたことなかったよぉ…」
「まず入場してきたのはチームダークロードの才刄 麟!」
「…だいぶ緊張してるみたいですねー。右手と右足を一緒に出してますよ。」
「あわわわ…!」
「麟ー!気にすんな!デュエルに集中すればいいんだ!」
「麟ちゃーん!落ち着いてねー!転ばないようにねー!」
「お前が言える立場ではないと思うぞアマンダ…麟、大丈夫だ。緊張することはない!自分のデュエルを貫け!」
「麟。頑張ってね。ルーシャスも応援してます!」
《はい。私も微力ながら応援させていただきます。》
控えていたチームダークロードのメンバーがエールを送る。
「みんな…うん!頑張ってくるわ!」
その言葉は麟の背中を後押しするのに十分だった。
「おや?歩き方が普通になりましたね?」
「意外に早く緊張を克服しましたね〜。私の経験上、緊張を乗り越えた決闘者は強いですよ。」
「続いて入場するのは、ロイヤルフォースの、二番手!メディチ家の御曹司、ティーク!」
「こちらは過去に1回出場経験があるようです。」
「キミ、初出場らしいね?経験者のボクとの差、思い知らせてあげるよ!」
「ハン!一回だけのくせに偉そうに!」
「う、うるさい!一回だけであろうと経験者は経験者だ!デュエルモード!」
「はあ…相手のチームにはこんなのしかいないの?うちのお嬢様を見習ってほしいわね。デュエルモード!」
「さあ、お互いの準備も整ったところで!デュエル開始イイ!」
「「デュエル!」」
ティーク
LP4000 手札5枚 デッキ35枚
麟
LP4000 手札5枚 デッキ35枚
先攻はティークに決まった。
「ボクのターン!ボクは手札からフィールド魔法『歯車街』発動!この効果は…と言いたいとこだが、すぐさま『古代の機械射出機』発動!『歯車街』を破壊!」
「自分で自分のカードを破壊?何考えてんの?」
「これだからシロートは困る。カタパルトとタウンの効果!まずは破壊されたタウンの効果でデッキから『古代の機械飛竜』を特殊召喚!」
「このカードの効果で!『古代の機械箱』を手札に加える!」
「今手札に加えたボックスの効果発動!『古代の機械騎士』を手札に加える!」
「…まだカタパルトの処理をしてないな?カタパルトの効果!デッキから『古代の機械猟犬』を特殊召喚!」
二枚のカードからどんどん展開していくティーク。彼の展開はまだ止まらない。
「ハウンドドッグの効果!手札・フィールド上から『アンティーク・ギア』融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する!」
「ボクはフィールドの『古代の機械猟犬』と『古代の機械飛竜』と手札の『古代の機械箱』と『古代の機械騎士』を墓地に送り、融合!」
「駆動せよ!混沌を招く機械の巨人!」
融合召喚!
「『古代の機械混沌巨人』!」
スタジアムの二階観客席にまで届きそうなモンスターが姿を現した。
古代の機械混沌巨人
ATK4500
「ここでティーク!4500のモンスターを融合召喚だ!」
「あのモンスターは『古代の機械』を4体も消費するモンスターですが、『古代の機械飛竜』と『古代の機械箱』を活用して消費を抑えていますね。プレイングに無駄がありません。」
「このカードがモンスターゾーンにいる限り、このカードは魔法・罠カードの効果を受けないし、キミはバトルフェイズ中モンスターの効果を発動出来ない!」
「さらに永続魔法、『古代の機械城門(アンティーク・ギア・キャッスルゲート)』を発動!このカードが存在する限り、自分フィールドの『アンティーク・ギア』モンスターは戦闘では破壊されない!」
古代の機械城門(オリカ)
永続魔法
(1)このカードが自分フィールド上に存在する限り、自分フィールドの『アンティーク・ギア』モンスターは戦闘では破壊されない。
(2)自分のスタンバイフェイズに発動する。自分フィールドのカードを一枚破壊する。または、破壊せずにこのカードを墓地に送る。
「さあ、魔法・罠耐性を持ち、戦闘破壊出来ない攻撃力4500のモンスター!絶望的だね?ターンエンド。」
「そんなモンスター一体召喚しただけでいい気にならないでちょうだい!」
「フッ、早くカードを引いたらどうだい?」
「ええわかったわ!あたいのターン!ドロー!」
「あたいは手札から『サイバネティック・ドロー・テクノロジー』発動!自分の手札の『サイバー』モンスターを墓地に送り、デッキからカードを二枚ドローすることが出来るわ!あたいは手札の『サイバー・ドラゴン・ツヴァイ』を墓地に送り、二枚ドロー!」
サイバネティック・ドロー・テクノロジー(オリカ)
通常魔法
(1)手札の『サイバー』モンスター一体を墓地に送り発動できる。デッキからカードを二枚ドローする。
(…よし!このカードを使えば!)
「『プロト・サイバー・ドラゴン』召喚!このカードはフィールド上に存在する限り『サイバー・ドラゴン』として扱うわ!」
「今度はこっちの番よ!『パワー・ボンド』発動!『サイバー・ドラゴン』扱いの『プロト・サイバー・ドラゴン』と、手札の『サイバー・ドラゴン』と、『融合呪印生物ー光』を『サイバー・ドラゴン』扱いにして、融合!」
「機械の竜達よ、究極の姿となって、あたいに力を貸して!」
融合召喚!
「出番よ!機械究極竜!『サイバー・エンド・ドラゴン』!」
サイバー・エンド・ドラゴン
ATK4000→8000
一つの胴体に三つの首を生やした機械の竜が出現した。凶暴そうに見えるのは攻撃力が上がっていることを意味しているのだろうか。
「なっ…しょ、正気かい!?キミ!確かに攻撃力は高いが、エンドフェイズ時に『パワー・ボンド』の効果で4000ダメージを受けるんだぞ!?」
ティークの言うことはもっともだ。古代の機械混沌巨人の攻撃力は4500。対してサイバー・エンドの攻撃力は8000。つまりこのまま攻撃してもティークは3500のダメージを受けるが、500のライフが残る。それだけでは『パワー・ボンド』の効果によってサイバー・エンドの元々の攻撃力分のダメージ、つまり4000ダメージを受けて麟は敗北してしまう。まだ麟の手札は2枚残っているが…
「それでも構わないわ!バトル!『サイバー・エンド・ドラゴン』で『古代の機械混沌巨人』を攻撃!」
「エターナル・エヴォリューション・バースト!」
麟の命令に従い、機械竜は三つの首をもたげ、口内にエネルギーを溜め、それをビームにして発射する。攻撃力8000は伊達ではなく、その衝撃がスタジアム全体に広がる。
「ぐううっ!!だが、『古代の機械城門』の効果により、『古代の機械混沌巨人』は戦闘では破壊されない!」
ティーク
LP4000→500
「す、すげえ衝撃だったな今の…」
「ああ、あんなのまともに喰らいたくねえ…」
「かなり強力な攻撃でしたが、惜しい!このターンのエンドフェイズ、麟は4000ダメージを受けて敗北してしまいます!」
「…いや、それはどうでしょう?」
「ど、どういう意味ですか?チェックさん?」
「考えてみてください。彼女の手札なら『サイバー・ツイン・ドラゴン』を融合召喚してライフの消費を抑えながら『古代の機械混沌巨人』の攻撃力を上回ることも出来たはずです。しかし、彼女は『サイバー・エンド・ドラゴン』を選択しました。そして飛車鳥さん、あなた忘れてませんか?」
「な、何をですか?」
「バトルフェイズの後にはメインフェイズ2があるってことを!」
「メインフェイズ2!あたいは手札から『ハネワタ』の効果を発動!このターンのエンドフェイズ時まで、自分が受ける効果ダメージを0にする!」
突如綿毛の塊にデフォルメされた目を付け、天使のような羽を生やしたモンスターが出現し、麟の頭上に光の鱗粉のようなものを振りまいた。
「あたいはこれで、ターンエンド!」
エンドフェイズ、突如『サイバー・エンド・ドラゴン』から暴発した電流が麟に襲いかかろうとするが、光の鱗粉がそれを弾き返した。『パワー・ボンド』のデメリットを無効化したことを表す演出である。
「うまく出来たようだな…麟。」
「すごいです〜!アルフレッドさん、あんな回避方法があったんですね〜!」
「ああ、『パワー・ボンド』のデメリット効果は『ライフを払う』ではなくダメージだ。故にさっきの『ハネワタ』や、『レインボー・ライフ』などで回避できる。」
「すげえ!うまく回避しやがった!」
「いいぞー!ダークロードー!」
「よく訓練されているようですわね。」
「ああ。あれはひょっとするとプロになれる素質があるかもしれん。見にきた甲斐があった。」
「す、すごい!まさかチェックさん、こうなるのをわかってたんですか!?」
「ええ。過去に似たようなケースに遭遇したことがありましてね。その時は『レインボー・ライフ』を使われましたから大変でしたよ。」
「この戦法の厄介な所は二つあります。まず一つ目は『パワー・ボンド』で上がった攻撃力は元に戻らず、そのままなんです。つまり、あそこにいる『サイバー・エンド・ドラゴン』もそのまま8000です。戦闘ではまず破壊出来ません。」
「そして二つ目。『パワー・ボンド』のデメリット効果は発動したターンのエンドフェイズ時。つまり次のターンからはもうダメージを気にする必要はないんです。ノーコストで高い攻撃力のモンスターを維持できるわけですねー。」
「これを破るにはどうすればいいでしょうか?」
「やっぱりカードの効果による除去ですね、『パワー・ボンド』は耐性までは付与しませんので。ただ、次のティーク選手のターンでそんなカードが来ればいいのですが。」
チェックの言うことは的中していた。
(ま、まずいぞ…『古代の機械巨人』と『テラ・フォーミング』ではどうしようもないぞ!)
(とにかくこのドローに賭けるしかない!強力なカード、強力なカード、強力カードォ〜!!)
「ボクのターン、ドロー!………!」
ティークの願いはある意味叶ったのかもしれない。なぜなら引いたカードは…
(リミッター解除……!!確かに強力だが、この状況では意味が無い!)
リミッター解除は確かに強力なカードだ。だが何故意味が無いのか?ここで『古代の機械混沌巨人』の効果を確認しておこう。
『古代の機械混沌巨人』の効果で注目すべき所はたった一つ。『このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは魔法・罠カードの効果を受けず、相手はバトルフェイズ中にモンスターの効果を発動できない。』の部分だ。この『魔法・罠の効果を受けない』というのが非常に重要である。
『奈落の落とし穴』などによって除去出来ないといった利点もあるが不便な点もある。それは、魔法・罠によるサポートが見込め無いのだ。今回の『リミッター解除』がそれにあたる。さらに手札にあるのは特殊召喚出来ず、アドバンス召喚のためのリリースも用意出来ていない『古代の機械巨人』と、『テラ・フォーミング』。つまりティークはこの状況において全く役に立たないカードを引いてしまったのだ。デッキは時に残酷である。
「スタンバイフェイズ時、『古代の機械城門』の効果を発動…このカードを墓地に送る…そしてターンエンドだ…」
先程の威勢はどこへいったのやら。結局何も出来ずにターンを終了した。
「あたいのターン!ドロー!」
一方麟は元気満々でデッキからカードを引いた。
「さあ、止めよ!『サイバー・エンド・ドラゴン』で、『古代の機械混沌巨人』に攻撃!」
「エターナル・エヴォリューション・バースト!」
「何故だ…」
『サイバー・エンド・ドラゴン』が攻撃態勢に入り、パワーを充填する。
「何故だ…」
ティークのぼやきは機械竜に聞かれることはなかった。機械竜は只、主人の命令を守り、攻撃を行う。
「何故なんだぁ〜!!?」
LP500→0
「勝者!チームダークロードの麟ッ!!」
「いい試合でしたね〜。」
「それでは三番手は準備をしてくれっ!チームダークロードは次の試合に勝てば二回戦進出が決定するぞっ!」
---次回予告。
アルフレッド「お嬢様が三番手ですか。」
アマンダ「一生懸命応援します〜!」
麟「あれっ?なんだかお嬢様、様子がおかしくない?」
ゴードン「そういやそうだな…何かあったのか?」
次回、巧妙なる罠
ユーリ「魔法カードが…発動出来ない…?」
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イイネ | タイトル | 閲覧数 | コメ数 | 投稿日 | 操作 | |
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26 | 第4話:勝負は一瞬!鴉と紫毒、決着の時 | 511 | 2 | 2016-11-22 | - | |
51 | 第5話:魔法陣、起動 | 481 | 0 | 2016-11-24 | - | |
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34 | 第7話:デュエリスト・ゼロ | 538 | 2 | 2016-11-27 | - | |
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56 | 第21話:ACT2に抗え | 374 | 4 | 2017-01-30 | - | |
62 | 番外編:闇人と貴人の由来 | 431 | 2 | 2017-02-02 | - | |
101 | 第22話:闘神 | 601 | 3 | 2017-02-09 | - | |
111 | 第23話:魔王再臨 | 609 | 3 | 2017-02-13 | - | |
48 | 第24話:魔王を止めろ | 413 | 1 | 2017-02-17 | - | |
60 | もういい。 | 483 | 0 | 2017-02-18 | - |
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- 04/18 22:56 評価 10点 《盃満ちる燦幻荘》「いくら後手特化のデッキとは言え大分やって…
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- 04/18 16:05 評価 4点 《豪腕特急トロッコロッコ》「X召喚時の素材に使うとそのXの打点を…
- 04/18 15:45 評価 10点 《R-ACEタービュランス》「単純にカードが4枚増えるのもそう…
- 04/18 15:44 評価 7点 《召喚獣コキュートス》「《召喚獣》の《水属性》担当。 対象破壊…
- 04/18 15:43 評価 10点 《R-ACEハイドラント》「効果が優秀でサポートが豊富なのは…
- 04/18 15:37 評価 9点 《R-ACEヘッドクオーター》「少ない魔法罠の採用枚数でタービ…
- 04/18 15:32 評価 9点 《EXTINGUISH!》「耐性にこそ引っかかりやすいけど除去…
- 04/18 15:16 評価 7点 《暴走召喚師アレイスター》「《召喚師アレイスター》がリンクモン…
- 04/18 14:58 評価 5点 《エヴォルダー・テリアス》「あまりにもしょうもないデメリット効…
Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
パワボンのデメリットをうまく回避した所が成長を感じられて、とても素晴らしかったです!私的には、一時休戦もおすすめです!
ティークはまだ、混沌巨人がフォートレスドラゴンに喰われなくて、良かったですね!(ゲス顔)
次回予告からして、ユーリのデュエルディスクには何か細工がされてそうですね。これは、リアリストの予感?
次回もまた、楽しみにしてます! (2016-11-28 23:21)
コメントありがとうございます。
表サイバーの見どころは『パワー・ボンド』や『リミッター解除』などによる高火力だと個人的に思ってます。
とか言っておきながらキメフォの存在を忘れる始末。まだまだ修行が足りなかったようですね。これは熊を一頭伏せる修行しなきゃ…。
ユーリのデュエルディスクに細工がされているのかそれとも…?ヒントは漫画版GXです。
次回も頑張ります!
(2016-11-29 11:49)
前回の大会編をやるに当たっての苦悩、ボクはただでさえ描写に話数を使う書き方しかできないのですごく共感しました。
中身については、もう少し誰が言った発言なのか分かりやすくしていただけると嬉しいかなと思います。
上からの意見だと不快に思われたらすいません。いち読者としての要望だと思って下さい。
麟のようにデュエルを通して成長していくキャラは大好きです。ボクは挫折しちゃいましたが笑
これからも楽しい物語を紡いでいって下さい。
楽しみにしています。 (2016-11-29 18:33)
コメントありがとうございます。
描写に時間を使うのも全然ありだと思います。小説の書き方は千差万別、いろいろあるから素晴らしいと私は思います。
誰がセリフを言っているのか分かるように、ですか…次からは気をつけてみますが、もしかしたら全然変わってないかもしれません。その時はどうか「あ、こいつはこの程度のこともできないんだな」と鼻で笑ってやってください。
これからも麟及びダークロードの皆の活躍にご期待ください。そのためにまず私の小説レベルを上げなきゃいけませんね。 (2016-11-29 20:49)
あれ!?から揚げさんへのコメントに『さん』が抜けてる!?
本当に申し訳ないです。 (2016-11-29 20:52)
青き眼さんのお書きになられる小説には、いつも楽しませていただいております!
文章も心理描写などが丁寧に表現されていまして、とても高い技量を感じました!
なので青き眼さんは、自身のお書きになられる小説に自信を持たれた方が良いと思います!
上から目線に感じられる文面でしたら、申し訳ないです。
話は変わりますが、アマンダがどのような経緯でユーリ達の所に来たのか、どのように採寸したのか、とても気になります! (2016-11-29 21:40)