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第4話 波乱のエキシビション! 作:いちごT
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前回までのあらすじ!
デュエルアカデミアの新入生の『伴 遊飛』はアカデミア島に向かう船で『ちよ』と『景介』の見守る中オベリスクブルーの『海里 優』とのデュエルに勝利する。そしていよいよアカデミア島に着こうとしていた。
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久城「全員、船内に荷物は忘れていないな!?」
船着き場に並ぶ多くの編入生と教師数名。メガホンを使用していないのにアカデミア講師、久城甚平の声がやたらと響く。
久城「ではまずそれぞれの寮に向かってもらう。そこで荷物を置いて制服に着替え、所定の時間になったら寮の先生の指示に従い大講義室に来ることになる。」
久城「ではオシリスレッドの生徒は私について来たまえ!」
先導切って歩き出す久城。その後をぞろぞろとついて行く生徒の中に伴遊飛、ちよ、大場景介はいた。
遊飛「いよいよって感じだな!ワクワクするぜ!」
ちよ「うん。でもうちはワクワクより緊張してきたよ…」
景介「僕もだよ…遊飛くんのポジティブさが羨ましいね。」
遊飛「なんだなんだ弱気だなぁ……にしても森や川しか見えねーぞ。」
景介「アカデミア島は大きいからね。いろんな施設があるらしいけどほとんどは自然で覆われてるんだよ。」
遊飛「そっかあ……なあ景介!夜になったら森に探検行こうぜ!」
景介「ええ……」
遊飛「なんだよその露骨に嫌そうな顔は…」
景介「だって夜中にこんな森の中入ったら絶対迷うって…遊飛くんが一緒だとなおさらね。」
遊飛「なおさらってなんだ!なおさらって!」
ちよ「確かに伴くんは後先考えなさそうだもんね。」
ちよ(じゃなかったらあそこで助けになんて来れないよ…)
遊飛「ちよまでそんなことを……」
景介「はは、オベリスクブルーを挑発するくらいだからね。なんにせよ今日はやめとこうよ。」
遊飛「ちぇっ、分かったよ。」
それから十数分の後、森を抜けたところに2階建ての木造アパートが見えてきた。増築を重ねたのかところどころ壁がつぎはぎのようになっている。
久城「ついたぞ。オシリスレッド男子寮だ。」
景介「………噂には聞いてたけど…」
遊飛「これはひでーな。」
他の男子たちからも数々のブーイングが飛ぶ。
久城「文句を言うな! 中は外見ほど悪くはない。」
遊飛「外見ほど?」
久城「ゴホン! …とにかく、割り当てられた部屋には制服やPDA等必要なものが用意されているからな! 部屋割りはネームプレートを見るように! 」
久城「それでは女子寮に向かう。」
遊飛「じゃあまた後でな、ちよ。」
ちよ「う、うん。また後で。」
遊飛は女子の列の最後尾につくちよと言葉を交わして寮に向かう。
景介「ここが僕らの部屋か、同室で良かったね。」
遊飛「ああ! 2人部屋って聞いたときは驚いたけどまさか景介と一緒とはなぁ。」
景介「これも運命ってやつだね。」
遊飛「男同士でその言葉のチョイスはどうかと思うぜ…」
良い笑顔で意味深なことを言う景介に遊飛は戸惑いながら部屋に入る。室内のハンガーにかかった制服やと机の上の教材やPDAが目につく。
遊飛「確かに…外見ほどでもないって感じだな。うん、悪くない。」
景介「男2人なら十分広いしね。とりあえず着替えておこうか。」
2人は雑談しながら白ベースに赤のラインが入った制服に着替える。先に着替え終わった遊飛は置いてあった携帯端末を手に取る。
遊飛「これ…PDAだっけ? 何に使うんだ?」
景介「え?遊飛くん入学案内見てないの?」
遊飛「ちよと同じこと言うなよ…」
景介「はあ、それは生徒手帳。後は講義の時間や内容の確認メールも送られてきたり生徒同士で連絡取り合ったり…とにかくアカデミアの生徒には必要なんだよ。」
遊飛「ふうん。最近の生徒手帳は凄えな。」
景介「能天気というかなんというか…だからあの人にデュエルしようなんて言えるんだろうねぇ。」
景介は思わせぶりにため息をつく。
遊飛「あの人?」
景介「船のデュエルスペースでブルーの生徒に説教かました女の子だよ。」
遊飛「ああ、あの子か…どういうこと?」
景介「やっぱり知らなかったか。あの人、遠丹 愛華(とおに あいか)だよ。元ジュニアチャンピオンの…僕らの世代のスーパーヒロインさ。」
景介「まさか編入組だとは思わなかったけどね。そんな人に軽々しくデュエルしようなんて恐れ知らずというか…」
遊飛「マジで!? そんな強い奴だったのかあ……….」
遊飛「ちくしょー! デュエルしたかったぜ!!」
景介は目をパチクリさせながら、悔しがる遊飛を見る。
景介「(……能天気と大物は紙一重ってことかなあ。)」
遊飛「ん?何か言った? 」
景介「いや、別に…」
ピピッピピッ……ピピッピピッ……
2人のPDAが同時に鳴り出す。
景介「おっと時間かな……うん、久城先生からだ。もう大講義室に行くから外で待ってろって。」
遊飛「んじゃ、行くとするか!」
寮の前で待つ男子生徒たちの元に制服に着替えた女子生徒を引き連れた久城がやってくる。男子が長袖なのに対し女子はノースリーブにミニスカートである。
久城「男子も揃っているな? では大講義室に向かう。」
遊飛「へーい。」
久城「んん!?」
遊飛「はい!」
久城「よかろう。 では行くぞ。」
すたすた歩き出す久城。遊飛はその後に続く生徒たちの中にちよを発見し、景介とともに歩み寄る。
遊飛「ちよ!」
ちよ「あ、伴くん! 大場くんも。」
???「なになに? ちよっちの友達?」
ちよに声をかけた矢先、ちよが他の女子に声をかけられる。見ると背の高いポニーテールの快活そうな少女がいた。
ちよ「う、うん。朝に仲良くなった伴くんと大場くんだよ。こちらは…」
???「アタシは工藤 一果(くどう いちか)! ちよっちと同じ部屋なんだっ! 」
遊飛「俺は伴遊飛だ!」
景介「大場景介。よろしくね。」
一果「うん!よろしく!」
すると一果はちよの耳元まで顔を下げてなにやらこそこそ話し出す。
一果「(ちよっちはさ、どっちの方がタイプなの?)」
ちよ「(え!? ええっ!?)」
一果「(あの2人のどっちか…気になってんじゃないの〜?)」
ちよ「そっ!そんなんじゃ!!」
突然の大声に久城とその場にいた生徒たちが一斉にちよの方を振り返る。
ちよ「あ、えと…」
久城「過度な私語は慎むように!!」
ちよ「す、すみません。」
ゴホンと咳払いをして久城は再び前を向く。
一果「ごめんね、ちよっち。」
ちよ「もう…」
申し訳なさそうに手を合わせる一果とぷいっとそっぽを向くちよを野郎2人は傍目に見ていた。
遊飛「なんだったんだ…あれ。」
景介「さあ? きっと女子には色々あるんだよ。」
遊飛「そういうもんかね〜。」
遊飛「ところでさあ。」
景介「うん。」
遊飛「女子のあの制服…どう思う?」
景介「…………ヤバイね。」
遊飛「ああ……」
景介「うん……」
ー大講義室ー
正面に大きなモニター。大学の講義室のように机と椅子がセットになりずらっと並んでいる。ここではランクが関係ないらしく遊飛ら4人は真ん中あたりに陣取っている。
遊飛「始まるのおっそいなあ。」
ちよ「た、多分もうすぐ始まるんじゃないかなぁ。」
突然前方の大きなモニターがプッとつき、異形の者が映し出された。そしてその異形がハイテンションで喋り出す。
『シニョールエ〜〜ンシニョーラ!!! デュエルアカデミーアへの入学、おめでとうナノーネ!!』
遊飛「………え?」
一果「………は?」
ちよ・景介「…………」
モニターには金髪でおかっぱ、一度見たら忘れられないようなインパクトのある顔をした外国人男性が映っていた。ほどなくして生徒全体からどよめきが起こる。
『私は校長のクロノス・デ・メディチ! 映えあるデュエルアカデミアの門をくぐり抜けたみなさんーを誇りに思うノーネ!!』
一果「なんだありゃ……」
景介「はは…どぎついねぇ。」
そんな感想もモニターのクロノス校長には伝わらず、彼は構わず話を続けていた。
『……というわけで、有意義な学園生活を送って欲しいーノ!』
遊飛「やっと終わったか…」
『かた苦しい話はここまでーにして、今から入学祝いのエキシビションデュエルをするノーネ!!』
遊飛「おおっ! マジでか!!」
ちよ「へぇ…楽しみだね。」
遊飛「ああ! でも誰とデュエルしようか迷うぜ!!」
ちよ「え…」
景介「はぁ……やるのは僕らじゃなくてデュエルを見せてくれるってことでしょ。」
遊飛「そうなのか!? 」
一果「ハハハハッ! 遊飛だっけ? あんた面白いね!!」
遊飛「そ、そんなに笑うことないだろ…」
教師の指示に従いアカデミアで最も大きなデュエルコートに移動し、客席に座る。そこには先に座っている生徒たちもおり新一年生全員が集まっているようだ。
ちよ「でも誰がデュエルするのかな…」
景介「普通に考えたら先生とかプロとかじゃないかなあ。」
遊飛「プロかあ……なあなあ!みんなはプロだったら誰が来て欲しいんだ?」
景介「僕は万丈目プロが良いな。ここの卒業生だし。」
一果「アタシはダンゼン孔雀舞! ってもう引退してるけどさ。」
景介「引退してる人の方が呼びやすいかもよ? そういう遊飛くんはどうなんだい?」
遊飛「うーん…迷うなぁデュエルキング武藤遊戯や海馬瀬人!…は無理そうだし………やっぱ遊城十代!」
一果「遊城十代って今は活動してないんじゃなかったか?」
遊飛「え!? そうだっけ?」
景介「どっちにしろ遊城プロも人気を考えると呼ぶのは難しいんじゃないかな。 ちよさんは誰に来て欲しい?」
ちよ「へっ? あ、うちは……」
ヴンッ
ちよが口ごもった瞬間、会場の照明が全て落ちた。そしてデュエルコートの真ん中にスポットライトがあたり、そこにはマイクを持ったクロノス校長が立っていた。
クロノス「長らくお待たせしたノーネ! これからデュエルアカデミア入学祝い、エキシビションデュエルを行うノーネ!!!」
一果「ついに始まったな!」
遊飛「誰が来るのか楽しみだぜ!」
景介「別にプロが来ると決まったわけじゃないけどね。」
クロノス「それでは選手の入場ナノーネ! まずは現役プロデュエリストにしてーデュエルアカデミアーの卒業生…」
デュエルコートの片方の入り口にライトが当たり、そこから人が歩いて来る。筋骨隆々な褐色の腕を振り、頭のバンダナの下から見えるドレッドヘアを揺らしている。
クロノス「ティラノ剣山!! ナノーネ♪」
剣山はコートに立つと客席に礼をする。そしてクロノスの方へ向き直る。
剣山「クロノス先生! お久しぶりドン!元気そうで何よりザウルス!!」
クロノス「あなたも相変わらずで何よりですーノ。」
遊飛「………なんか凄いのが出て来たなぁ。」
景介「たしかその名の通り恐竜族デッキを使う人だね。あとは例の遊城プロの一番弟子らしいよ。」
一果「ってことはかなり強いんじゃないか? なんとかザウルス〜ってのは変だけど。」
クロノス「続きましてーは、オベリスクブルーの現在No.1デュエリスト……シニョール!海馬〜継馬!!」
先ほどとは反対側が照らされ、オベリスクブルーの制服を着た黒髪の少年がコートに歩いてくる。
「…………え?海馬?」
「今そういったよな…?」
「いやあの人は確か…」
クロノス「シニョール海馬はあの伝説のデュエリストにして海馬コーポレーション社長の海馬瀬人の甥っ子であーり、すでにプロとしてーの、契約以来が殺到しているアカデミアのエースナノーネ!!」
遊飛「そんな奴がいたのか!?」
一果「ああ…知らなかったぜ…」
景介「雑誌で何度か特集があった気がするけどまさかプロ相手に出るとは思わなかったな…それにしても若い頃の海馬さんにそっくりだ。」
クロノス「両選手ーが出揃ったところで、早速デュエルを始めるーノ。デュエル…開始ナノーネ!!!」
「うおおおぉぉぉぉ!!!」
生徒たちの歓声が響く中、デュエルが始まる。
デュエル!!!
ティラノ剣山 LP4000
VS
海馬継馬 LP4000
剣山「よろしくドン! 先行は譲るザウルス。」
継馬「…モンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンド。」
継馬は剣山の言葉に全く反応せずターンを進める。
一果「なんだあの人、挨拶しないどころか先行譲ってもらったお礼も言わないでさ。」
景介「全くだね。礼儀がなってないよ。」
剣山「俺のターン! ドロー!」
剣山(海馬継馬、噂は聞いてるザウルス……だがあの海馬瀬人の親戚だからってその態度は良くないドン。プロのデュエリストとして根性叩き直してやるザウルス!!)
剣山「俺は手札から魔法カード『化石調査』を発ドン! デッキからレベル6以下の恐竜さん『俊足のギラザウルス』を手札に加えるザウルス。」
剣山「そしてそのまま特殊召喚するドン! 」
・俊足のギラザウルス 攻1400守400
場に小さいが足の発達した肉食恐竜があらわれる。
剣山「この恐竜さんは手札から特殊召喚出来る! 特殊召喚した時相手は墓地からモンスターを復活させられるザウルスが今は関係ないドン!」
剣山「さらに魔法カード『大進化薬』発ドン! 場の『ギラザウルス』をリリースすることで3ターンの間レベル5以上の恐竜族モンスターのリリースを無くすザウルス。」
剣山「俺はまだ通常召喚してないザウルス…大進化薬の効果で手札からレベル10の『超重力恐獣(グラビティーティラノ)』をリリース無しで召喚するドン!!」
・超重力恐獣 攻3500守2900
鎧のよう浮き出た皮膚を持つ馬鹿でかいティラノサウルスのようなモンスターが出現、耳をつんざく咆哮を放つ。
遊飛「すげえええ!!!」
景介「1ターンでこんな大型モンスターを出すなんて……流石にプロだね。」
継馬「…………」
剣山「『超重力恐獣』がいる時、俺の場に他のモンスターは存在できないザウルス…だが『超重力恐獣』は相手カードの効果を受けない。さらにバトルする守備モンスターの守備力は0になって貫通ダメージを与えるドン!!」
遊飛「なんだそれ!? めっちゃ強えな!!」
剣山「バトルザウルス! 『超重力恐獣』でその裏側モンスターに攻撃するドン! 『グラビトンスイング!!』」
裏側のカードに向かって叩きつけるように尾を振り下ろす。そしてその中から現れた道化師のようなモンスターが見事に潰される。
剣山「効果によって守備力は0! 攻撃力3500がそのままダメージになるザウルス!!」
海馬継馬 LP4000→LP500
剣山(思い知ったドン? ああいう態度をとるからこうなるザウルス!!)
一果「2ターン目でもうライフ500にしちゃったよ! もう勝ったも同然だねこりゃ。」
遊飛「そうか?」
一果「え?」
遊飛「ライフと手札が尽きない限り負けじゃない…何があるか分からないのがデュエルだぜ。」
一果「…確かに……ね。」
継馬「……闇道化師のペーテンの効果、墓地に送られた時に除外することでデッキからペーテンを特殊召喚する。守備表示。」
大ダメージを気にもせず淡々と効果の説明をする継馬。場にたった今破壊されたモンスターと同じモンスターが現れる。
剣山「壁モンスタードン? 『超重力恐獣』の前では意味ないザウルス。カードを2枚伏せてターンエンドン!」
継馬「エンド時に伏せカード発動『ツインツイスター』。手札の『グローアップバルブ』を捨て、今伏せた2枚を破壊する。」
発生した二つの竜巻が剣山の場に伏せられた2枚のカードに向かっていきそれを破壊する。
剣山「ぐっ! 」
●ティラノ剣山 LP4000 手札1
モンスター1 『超重力恐獣』
魔法、罠0
●海馬継馬 LP4000 手札1
モンスター1 『闇道化師のペーテン』
魔法、罠1
継馬「ドロー。デッキの上から1枚墓地に送り、墓地の『グローアップバルブ』を特殊召喚。」
・グローアップバルブ 攻100守100
球根の上に花が咲いた一つ目のモンスターが現れる。
継馬「2体のモンスターをリリース。手札より『隻眼の穢龍(スカーアイズダーティドラゴン)』をアドバンス召喚。」
・隻眼の穢龍 攻2400守2000
場には大きな龍が現れる。しかし片目は潰れ羽根はボロボロ、全身には傷を負い色もくすんでしまっている。
「おい、あれって…」
「ああ、似てる…というより…」
遊飛「ブルーアイズ…だよな?」
景介「うん……かなり傷や汚れがあるけど…あの伝説のブルーアイズホワイトドラゴンにしか見えないね…」
青眼の白龍、ブルーアイズホワイトドラゴン。世界に3枚のみ現存し、海馬瀬人ただ一人が所持する伝説のドラゴン族モンスターである。たった今現れたドラゴンがそれに酷似していることに会場の誰もが困惑していた。
剣山「傷だらけのブルーアイズドン?だが攻撃力は2400…『超重力恐獣』には遠く及ばないザウルス!」
継馬「『隻眼の穢龍』の効果…自分のライフが相手より少ない場合、手札を1枚捨てることでその差の数値分……攻撃力を上げる。」
・隻眼の穢龍 攻2400→攻5900
剣山「攻撃力5900ドン!?」
継馬「バトル、モンスターに攻撃『報復のリベンジャーストリーム!!』」
龍の口でどす黒いエネルギーの塊が生成、放出され『超重力恐獣』はそれに飲み込まれ消滅する。
剣山「がああっ!?」
剣山LP4000→LP1600
剣山「まだザウルス! デュエルは最後まで分からないドン!! 次のターンで…」
継馬「トラップ発動、『デスパレードバトル』。攻撃力を1000下げることで2回目の攻撃を行う。」
・隻眼の穢龍 攻5900→攻4900
剣山「なっ!?」
継馬「2回目の攻撃、『報復のリベンジャーストリーム!』」
再び龍の口から黒い光流が放たれ、剣山を直撃する。
剣山「ぐああああっ!!?」
剣山LP1600→LP0
剣山「そんな……あり得ないドン…」
わずか1ターンの出来事に会場の全員が呆気にとられた。ソリッドビジョンが消え、呆然と立ち尽くす剣山と顔色ひとつ変えずに黙ってカードをしまう継馬をただただ見ていた。そしてその沈黙を破ったのはクロノス校長であった。
クロノス「しょ、勝者! シニョール海馬ナノーネ!!」
「プロに勝ったぞォォォォ!!」
「あの人すげええぇぇぇ!!!」
クロノス(いくらあのシニョール海馬といえーどプロをあっさり破るとーは、思わなかったノーネ…)
一果「マジかよ…」
景介「まさかプロに勝つなんて…」
遊飛「あいつめっちゃ強いじゃん! デュエルしてー!!」
景介「遊飛くんはそればっかだね…」
ー 夜 オシリスレッド男子寮 ー
エキシビションも終わり、これからの学園生活の説明もそこそこに遊飛たちは寮に戻っていた。
遊飛「しかし凄かったなぁ。あんな奴がゴロゴロいるなんてここってサイコーだぜ!」
景介「あの人オベリスクブルーのトップなんでしょ?そんなレベルがゴロゴロはしてないと思うけど。」
遊飛「……まあなんにせよこれから楽しいデュエルライフの始まりだな!」
景介「まあね。ところでエキシビションくらいからちよさんずっと元気無かったけど何かあったっけ?」
遊飛「確かに全然喋ってなかったな。でも女子は色々あるってお前も言ってただろ?気にしなくていいんじゃねーの。」
景介「………え?」
遊飛「何が『え?』なんだ?」
景介「いや遊飛くんが気付いてるとは思わなかったからさ。そういうのめっちゃ鈍感そうだし…」
遊飛「どういう意味だ。」
ーオシリスレッド 女子寮ー
女子寮の一室、ちよは床に並べたカードを一枚一枚確認して箱にしまっていた。そして最後の一枚を見つめ呟く。
ちよ「ごめんね……」
そのカードをしまったところで部屋のドアが勢いよく開く。
一果「はあ〜いい風呂だった! あれ?ちよっち何してんの?」
ちよ「あ、えっと…カードの整理を…」
一果「ふーん…ちよっちも早いとこお風呂行きなよ?」
ちよ「う、うん。」
遊飛らのアカデミア1日目の夜は更けてゆく。
続く
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次回予告
景介「ついに始まったデュエルアカデミアでの学園生活。でも授業も楽じゃないね。え?謎の影が暗躍してるって? 狙いは……ちよさん!?」
景介「次回!『標的、その名はちよ!!』。デュエルスタンバイ!」
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全国の剣山ファンの皆様まことに申し訳ございません。
前回までのあらすじ!
デュエルアカデミアの新入生の『伴 遊飛』はアカデミア島に向かう船で『ちよ』と『景介』の見守る中オベリスクブルーの『海里 優』とのデュエルに勝利する。そしていよいよアカデミア島に着こうとしていた。
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久城「全員、船内に荷物は忘れていないな!?」
船着き場に並ぶ多くの編入生と教師数名。メガホンを使用していないのにアカデミア講師、久城甚平の声がやたらと響く。
久城「ではまずそれぞれの寮に向かってもらう。そこで荷物を置いて制服に着替え、所定の時間になったら寮の先生の指示に従い大講義室に来ることになる。」
久城「ではオシリスレッドの生徒は私について来たまえ!」
先導切って歩き出す久城。その後をぞろぞろとついて行く生徒の中に伴遊飛、ちよ、大場景介はいた。
遊飛「いよいよって感じだな!ワクワクするぜ!」
ちよ「うん。でもうちはワクワクより緊張してきたよ…」
景介「僕もだよ…遊飛くんのポジティブさが羨ましいね。」
遊飛「なんだなんだ弱気だなぁ……にしても森や川しか見えねーぞ。」
景介「アカデミア島は大きいからね。いろんな施設があるらしいけどほとんどは自然で覆われてるんだよ。」
遊飛「そっかあ……なあ景介!夜になったら森に探検行こうぜ!」
景介「ええ……」
遊飛「なんだよその露骨に嫌そうな顔は…」
景介「だって夜中にこんな森の中入ったら絶対迷うって…遊飛くんが一緒だとなおさらね。」
遊飛「なおさらってなんだ!なおさらって!」
ちよ「確かに伴くんは後先考えなさそうだもんね。」
ちよ(じゃなかったらあそこで助けになんて来れないよ…)
遊飛「ちよまでそんなことを……」
景介「はは、オベリスクブルーを挑発するくらいだからね。なんにせよ今日はやめとこうよ。」
遊飛「ちぇっ、分かったよ。」
それから十数分の後、森を抜けたところに2階建ての木造アパートが見えてきた。増築を重ねたのかところどころ壁がつぎはぎのようになっている。
久城「ついたぞ。オシリスレッド男子寮だ。」
景介「………噂には聞いてたけど…」
遊飛「これはひでーな。」
他の男子たちからも数々のブーイングが飛ぶ。
久城「文句を言うな! 中は外見ほど悪くはない。」
遊飛「外見ほど?」
久城「ゴホン! …とにかく、割り当てられた部屋には制服やPDA等必要なものが用意されているからな! 部屋割りはネームプレートを見るように! 」
久城「それでは女子寮に向かう。」
遊飛「じゃあまた後でな、ちよ。」
ちよ「う、うん。また後で。」
遊飛は女子の列の最後尾につくちよと言葉を交わして寮に向かう。
景介「ここが僕らの部屋か、同室で良かったね。」
遊飛「ああ! 2人部屋って聞いたときは驚いたけどまさか景介と一緒とはなぁ。」
景介「これも運命ってやつだね。」
遊飛「男同士でその言葉のチョイスはどうかと思うぜ…」
良い笑顔で意味深なことを言う景介に遊飛は戸惑いながら部屋に入る。室内のハンガーにかかった制服やと机の上の教材やPDAが目につく。
遊飛「確かに…外見ほどでもないって感じだな。うん、悪くない。」
景介「男2人なら十分広いしね。とりあえず着替えておこうか。」
2人は雑談しながら白ベースに赤のラインが入った制服に着替える。先に着替え終わった遊飛は置いてあった携帯端末を手に取る。
遊飛「これ…PDAだっけ? 何に使うんだ?」
景介「え?遊飛くん入学案内見てないの?」
遊飛「ちよと同じこと言うなよ…」
景介「はあ、それは生徒手帳。後は講義の時間や内容の確認メールも送られてきたり生徒同士で連絡取り合ったり…とにかくアカデミアの生徒には必要なんだよ。」
遊飛「ふうん。最近の生徒手帳は凄えな。」
景介「能天気というかなんというか…だからあの人にデュエルしようなんて言えるんだろうねぇ。」
景介は思わせぶりにため息をつく。
遊飛「あの人?」
景介「船のデュエルスペースでブルーの生徒に説教かました女の子だよ。」
遊飛「ああ、あの子か…どういうこと?」
景介「やっぱり知らなかったか。あの人、遠丹 愛華(とおに あいか)だよ。元ジュニアチャンピオンの…僕らの世代のスーパーヒロインさ。」
景介「まさか編入組だとは思わなかったけどね。そんな人に軽々しくデュエルしようなんて恐れ知らずというか…」
遊飛「マジで!? そんな強い奴だったのかあ……….」
遊飛「ちくしょー! デュエルしたかったぜ!!」
景介は目をパチクリさせながら、悔しがる遊飛を見る。
景介「(……能天気と大物は紙一重ってことかなあ。)」
遊飛「ん?何か言った? 」
景介「いや、別に…」
ピピッピピッ……ピピッピピッ……
2人のPDAが同時に鳴り出す。
景介「おっと時間かな……うん、久城先生からだ。もう大講義室に行くから外で待ってろって。」
遊飛「んじゃ、行くとするか!」
寮の前で待つ男子生徒たちの元に制服に着替えた女子生徒を引き連れた久城がやってくる。男子が長袖なのに対し女子はノースリーブにミニスカートである。
久城「男子も揃っているな? では大講義室に向かう。」
遊飛「へーい。」
久城「んん!?」
遊飛「はい!」
久城「よかろう。 では行くぞ。」
すたすた歩き出す久城。遊飛はその後に続く生徒たちの中にちよを発見し、景介とともに歩み寄る。
遊飛「ちよ!」
ちよ「あ、伴くん! 大場くんも。」
???「なになに? ちよっちの友達?」
ちよに声をかけた矢先、ちよが他の女子に声をかけられる。見ると背の高いポニーテールの快活そうな少女がいた。
ちよ「う、うん。朝に仲良くなった伴くんと大場くんだよ。こちらは…」
???「アタシは工藤 一果(くどう いちか)! ちよっちと同じ部屋なんだっ! 」
遊飛「俺は伴遊飛だ!」
景介「大場景介。よろしくね。」
一果「うん!よろしく!」
すると一果はちよの耳元まで顔を下げてなにやらこそこそ話し出す。
一果「(ちよっちはさ、どっちの方がタイプなの?)」
ちよ「(え!? ええっ!?)」
一果「(あの2人のどっちか…気になってんじゃないの〜?)」
ちよ「そっ!そんなんじゃ!!」
突然の大声に久城とその場にいた生徒たちが一斉にちよの方を振り返る。
ちよ「あ、えと…」
久城「過度な私語は慎むように!!」
ちよ「す、すみません。」
ゴホンと咳払いをして久城は再び前を向く。
一果「ごめんね、ちよっち。」
ちよ「もう…」
申し訳なさそうに手を合わせる一果とぷいっとそっぽを向くちよを野郎2人は傍目に見ていた。
遊飛「なんだったんだ…あれ。」
景介「さあ? きっと女子には色々あるんだよ。」
遊飛「そういうもんかね〜。」
遊飛「ところでさあ。」
景介「うん。」
遊飛「女子のあの制服…どう思う?」
景介「…………ヤバイね。」
遊飛「ああ……」
景介「うん……」
ー大講義室ー
正面に大きなモニター。大学の講義室のように机と椅子がセットになりずらっと並んでいる。ここではランクが関係ないらしく遊飛ら4人は真ん中あたりに陣取っている。
遊飛「始まるのおっそいなあ。」
ちよ「た、多分もうすぐ始まるんじゃないかなぁ。」
突然前方の大きなモニターがプッとつき、異形の者が映し出された。そしてその異形がハイテンションで喋り出す。
『シニョールエ〜〜ンシニョーラ!!! デュエルアカデミーアへの入学、おめでとうナノーネ!!』
遊飛「………え?」
一果「………は?」
ちよ・景介「…………」
モニターには金髪でおかっぱ、一度見たら忘れられないようなインパクトのある顔をした外国人男性が映っていた。ほどなくして生徒全体からどよめきが起こる。
『私は校長のクロノス・デ・メディチ! 映えあるデュエルアカデミアの門をくぐり抜けたみなさんーを誇りに思うノーネ!!』
一果「なんだありゃ……」
景介「はは…どぎついねぇ。」
そんな感想もモニターのクロノス校長には伝わらず、彼は構わず話を続けていた。
『……というわけで、有意義な学園生活を送って欲しいーノ!』
遊飛「やっと終わったか…」
『かた苦しい話はここまでーにして、今から入学祝いのエキシビションデュエルをするノーネ!!』
遊飛「おおっ! マジでか!!」
ちよ「へぇ…楽しみだね。」
遊飛「ああ! でも誰とデュエルしようか迷うぜ!!」
ちよ「え…」
景介「はぁ……やるのは僕らじゃなくてデュエルを見せてくれるってことでしょ。」
遊飛「そうなのか!? 」
一果「ハハハハッ! 遊飛だっけ? あんた面白いね!!」
遊飛「そ、そんなに笑うことないだろ…」
教師の指示に従いアカデミアで最も大きなデュエルコートに移動し、客席に座る。そこには先に座っている生徒たちもおり新一年生全員が集まっているようだ。
ちよ「でも誰がデュエルするのかな…」
景介「普通に考えたら先生とかプロとかじゃないかなあ。」
遊飛「プロかあ……なあなあ!みんなはプロだったら誰が来て欲しいんだ?」
景介「僕は万丈目プロが良いな。ここの卒業生だし。」
一果「アタシはダンゼン孔雀舞! ってもう引退してるけどさ。」
景介「引退してる人の方が呼びやすいかもよ? そういう遊飛くんはどうなんだい?」
遊飛「うーん…迷うなぁデュエルキング武藤遊戯や海馬瀬人!…は無理そうだし………やっぱ遊城十代!」
一果「遊城十代って今は活動してないんじゃなかったか?」
遊飛「え!? そうだっけ?」
景介「どっちにしろ遊城プロも人気を考えると呼ぶのは難しいんじゃないかな。 ちよさんは誰に来て欲しい?」
ちよ「へっ? あ、うちは……」
ヴンッ
ちよが口ごもった瞬間、会場の照明が全て落ちた。そしてデュエルコートの真ん中にスポットライトがあたり、そこにはマイクを持ったクロノス校長が立っていた。
クロノス「長らくお待たせしたノーネ! これからデュエルアカデミア入学祝い、エキシビションデュエルを行うノーネ!!!」
一果「ついに始まったな!」
遊飛「誰が来るのか楽しみだぜ!」
景介「別にプロが来ると決まったわけじゃないけどね。」
クロノス「それでは選手の入場ナノーネ! まずは現役プロデュエリストにしてーデュエルアカデミアーの卒業生…」
デュエルコートの片方の入り口にライトが当たり、そこから人が歩いて来る。筋骨隆々な褐色の腕を振り、頭のバンダナの下から見えるドレッドヘアを揺らしている。
クロノス「ティラノ剣山!! ナノーネ♪」
剣山はコートに立つと客席に礼をする。そしてクロノスの方へ向き直る。
剣山「クロノス先生! お久しぶりドン!元気そうで何よりザウルス!!」
クロノス「あなたも相変わらずで何よりですーノ。」
遊飛「………なんか凄いのが出て来たなぁ。」
景介「たしかその名の通り恐竜族デッキを使う人だね。あとは例の遊城プロの一番弟子らしいよ。」
一果「ってことはかなり強いんじゃないか? なんとかザウルス〜ってのは変だけど。」
クロノス「続きましてーは、オベリスクブルーの現在No.1デュエリスト……シニョール!海馬〜継馬!!」
先ほどとは反対側が照らされ、オベリスクブルーの制服を着た黒髪の少年がコートに歩いてくる。
「…………え?海馬?」
「今そういったよな…?」
「いやあの人は確か…」
クロノス「シニョール海馬はあの伝説のデュエリストにして海馬コーポレーション社長の海馬瀬人の甥っ子であーり、すでにプロとしてーの、契約以来が殺到しているアカデミアのエースナノーネ!!」
遊飛「そんな奴がいたのか!?」
一果「ああ…知らなかったぜ…」
景介「雑誌で何度か特集があった気がするけどまさかプロ相手に出るとは思わなかったな…それにしても若い頃の海馬さんにそっくりだ。」
クロノス「両選手ーが出揃ったところで、早速デュエルを始めるーノ。デュエル…開始ナノーネ!!!」
「うおおおぉぉぉぉ!!!」
生徒たちの歓声が響く中、デュエルが始まる。
デュエル!!!
ティラノ剣山 LP4000
VS
海馬継馬 LP4000
剣山「よろしくドン! 先行は譲るザウルス。」
継馬「…モンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンド。」
継馬は剣山の言葉に全く反応せずターンを進める。
一果「なんだあの人、挨拶しないどころか先行譲ってもらったお礼も言わないでさ。」
景介「全くだね。礼儀がなってないよ。」
剣山「俺のターン! ドロー!」
剣山(海馬継馬、噂は聞いてるザウルス……だがあの海馬瀬人の親戚だからってその態度は良くないドン。プロのデュエリストとして根性叩き直してやるザウルス!!)
剣山「俺は手札から魔法カード『化石調査』を発ドン! デッキからレベル6以下の恐竜さん『俊足のギラザウルス』を手札に加えるザウルス。」
剣山「そしてそのまま特殊召喚するドン! 」
・俊足のギラザウルス 攻1400守400
場に小さいが足の発達した肉食恐竜があらわれる。
剣山「この恐竜さんは手札から特殊召喚出来る! 特殊召喚した時相手は墓地からモンスターを復活させられるザウルスが今は関係ないドン!」
剣山「さらに魔法カード『大進化薬』発ドン! 場の『ギラザウルス』をリリースすることで3ターンの間レベル5以上の恐竜族モンスターのリリースを無くすザウルス。」
剣山「俺はまだ通常召喚してないザウルス…大進化薬の効果で手札からレベル10の『超重力恐獣(グラビティーティラノ)』をリリース無しで召喚するドン!!」
・超重力恐獣 攻3500守2900
鎧のよう浮き出た皮膚を持つ馬鹿でかいティラノサウルスのようなモンスターが出現、耳をつんざく咆哮を放つ。
遊飛「すげえええ!!!」
景介「1ターンでこんな大型モンスターを出すなんて……流石にプロだね。」
継馬「…………」
剣山「『超重力恐獣』がいる時、俺の場に他のモンスターは存在できないザウルス…だが『超重力恐獣』は相手カードの効果を受けない。さらにバトルする守備モンスターの守備力は0になって貫通ダメージを与えるドン!!」
遊飛「なんだそれ!? めっちゃ強えな!!」
剣山「バトルザウルス! 『超重力恐獣』でその裏側モンスターに攻撃するドン! 『グラビトンスイング!!』」
裏側のカードに向かって叩きつけるように尾を振り下ろす。そしてその中から現れた道化師のようなモンスターが見事に潰される。
剣山「効果によって守備力は0! 攻撃力3500がそのままダメージになるザウルス!!」
海馬継馬 LP4000→LP500
剣山(思い知ったドン? ああいう態度をとるからこうなるザウルス!!)
一果「2ターン目でもうライフ500にしちゃったよ! もう勝ったも同然だねこりゃ。」
遊飛「そうか?」
一果「え?」
遊飛「ライフと手札が尽きない限り負けじゃない…何があるか分からないのがデュエルだぜ。」
一果「…確かに……ね。」
継馬「……闇道化師のペーテンの効果、墓地に送られた時に除外することでデッキからペーテンを特殊召喚する。守備表示。」
大ダメージを気にもせず淡々と効果の説明をする継馬。場にたった今破壊されたモンスターと同じモンスターが現れる。
剣山「壁モンスタードン? 『超重力恐獣』の前では意味ないザウルス。カードを2枚伏せてターンエンドン!」
継馬「エンド時に伏せカード発動『ツインツイスター』。手札の『グローアップバルブ』を捨て、今伏せた2枚を破壊する。」
発生した二つの竜巻が剣山の場に伏せられた2枚のカードに向かっていきそれを破壊する。
剣山「ぐっ! 」
●ティラノ剣山 LP4000 手札1
モンスター1 『超重力恐獣』
魔法、罠0
●海馬継馬 LP4000 手札1
モンスター1 『闇道化師のペーテン』
魔法、罠1
継馬「ドロー。デッキの上から1枚墓地に送り、墓地の『グローアップバルブ』を特殊召喚。」
・グローアップバルブ 攻100守100
球根の上に花が咲いた一つ目のモンスターが現れる。
継馬「2体のモンスターをリリース。手札より『隻眼の穢龍(スカーアイズダーティドラゴン)』をアドバンス召喚。」
・隻眼の穢龍 攻2400守2000
場には大きな龍が現れる。しかし片目は潰れ羽根はボロボロ、全身には傷を負い色もくすんでしまっている。
「おい、あれって…」
「ああ、似てる…というより…」
遊飛「ブルーアイズ…だよな?」
景介「うん……かなり傷や汚れがあるけど…あの伝説のブルーアイズホワイトドラゴンにしか見えないね…」
青眼の白龍、ブルーアイズホワイトドラゴン。世界に3枚のみ現存し、海馬瀬人ただ一人が所持する伝説のドラゴン族モンスターである。たった今現れたドラゴンがそれに酷似していることに会場の誰もが困惑していた。
剣山「傷だらけのブルーアイズドン?だが攻撃力は2400…『超重力恐獣』には遠く及ばないザウルス!」
継馬「『隻眼の穢龍』の効果…自分のライフが相手より少ない場合、手札を1枚捨てることでその差の数値分……攻撃力を上げる。」
・隻眼の穢龍 攻2400→攻5900
剣山「攻撃力5900ドン!?」
継馬「バトル、モンスターに攻撃『報復のリベンジャーストリーム!!』」
龍の口でどす黒いエネルギーの塊が生成、放出され『超重力恐獣』はそれに飲み込まれ消滅する。
剣山「がああっ!?」
剣山LP4000→LP1600
剣山「まだザウルス! デュエルは最後まで分からないドン!! 次のターンで…」
継馬「トラップ発動、『デスパレードバトル』。攻撃力を1000下げることで2回目の攻撃を行う。」
・隻眼の穢龍 攻5900→攻4900
剣山「なっ!?」
継馬「2回目の攻撃、『報復のリベンジャーストリーム!』」
再び龍の口から黒い光流が放たれ、剣山を直撃する。
剣山「ぐああああっ!!?」
剣山LP1600→LP0
剣山「そんな……あり得ないドン…」
わずか1ターンの出来事に会場の全員が呆気にとられた。ソリッドビジョンが消え、呆然と立ち尽くす剣山と顔色ひとつ変えずに黙ってカードをしまう継馬をただただ見ていた。そしてその沈黙を破ったのはクロノス校長であった。
クロノス「しょ、勝者! シニョール海馬ナノーネ!!」
「プロに勝ったぞォォォォ!!」
「あの人すげええぇぇぇ!!!」
クロノス(いくらあのシニョール海馬といえーどプロをあっさり破るとーは、思わなかったノーネ…)
一果「マジかよ…」
景介「まさかプロに勝つなんて…」
遊飛「あいつめっちゃ強いじゃん! デュエルしてー!!」
景介「遊飛くんはそればっかだね…」
ー 夜 オシリスレッド男子寮 ー
エキシビションも終わり、これからの学園生活の説明もそこそこに遊飛たちは寮に戻っていた。
遊飛「しかし凄かったなぁ。あんな奴がゴロゴロいるなんてここってサイコーだぜ!」
景介「あの人オベリスクブルーのトップなんでしょ?そんなレベルがゴロゴロはしてないと思うけど。」
遊飛「……まあなんにせよこれから楽しいデュエルライフの始まりだな!」
景介「まあね。ところでエキシビションくらいからちよさんずっと元気無かったけど何かあったっけ?」
遊飛「確かに全然喋ってなかったな。でも女子は色々あるってお前も言ってただろ?気にしなくていいんじゃねーの。」
景介「………え?」
遊飛「何が『え?』なんだ?」
景介「いや遊飛くんが気付いてるとは思わなかったからさ。そういうのめっちゃ鈍感そうだし…」
遊飛「どういう意味だ。」
ーオシリスレッド 女子寮ー
女子寮の一室、ちよは床に並べたカードを一枚一枚確認して箱にしまっていた。そして最後の一枚を見つめ呟く。
ちよ「ごめんね……」
そのカードをしまったところで部屋のドアが勢いよく開く。
一果「はあ〜いい風呂だった! あれ?ちよっち何してんの?」
ちよ「あ、えっと…カードの整理を…」
一果「ふーん…ちよっちも早いとこお風呂行きなよ?」
ちよ「う、うん。」
遊飛らのアカデミア1日目の夜は更けてゆく。
続く
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次回予告
景介「ついに始まったデュエルアカデミアでの学園生活。でも授業も楽じゃないね。え?謎の影が暗躍してるって? 狙いは……ちよさん!?」
景介「次回!『標的、その名はちよ!!』。デュエルスタンバイ!」
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海馬の甥って事はモクバの息子なのか……!?
早速何かが暗躍する模様。ちよちゃんはデュエルするのかしら。
(2016-11-13 23:10)
コメントありがとうございます。簡単に特殊召喚できるやつを考えたらゾンキャリとこいつが思いついたので使わせてもらいました。
一応モクバの息子です。社長とのなんやかんやもそのうち描かれます(おそらくきっと)
ちよちゃんのデュエルはお楽しみですね。 (2016-11-13 23:45)
遊飛「男同士でその言葉のチョイスはどうかと思うぜ…」
たぶん大丈夫。本編でも男の子同士が「僕(俺)と1つになれ」と求め合っているのだから。それと遊戯王の女子制服のハレンチさは恒例かと。脇とかミニスカとか恥ずかしくないのか?だがそれが良い。
それにしても剣山がプロとして出てきたり海馬の甥っ子が出てきたり時系列としては十数年後のGXですかね。
次回の暗躍している影…ちよちゃんでハァハァしちゃう変態ストーカーだな!?(勘違い) (2016-11-14 08:14)
コメントありがとうございます。本編のぶっ飛び具合には言葉も出ないことがありますよね笑。アカデミアの女子の制服、そこらの高校も見習うべきだと思います!
はい!時系列的にはGXから20年前後経過してる感じですね。キャラを借りるのはズルい気もするのですがお許しを……
暗躍する影の正体はお楽しみ。 (2016-11-14 23:23)