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遊☆戯☆王V☆S(ファイブスター)/Episode51:託された未来 作:カズ

~現在の状況~
YUMI→LP:2200 手札:1 デッキ:29 Mゾーン:1 M・Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0

VS

SETSUNA→LP:8500 手札:1 デッキ:26 Mゾーン:2 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:2



 現在8ターン目のバトルフェイズ。雪菜が召喚した遊仁の切り札『スターダスト・ドラゴン The Genesis』の効果を使い、遊弥に3000ダメージが入ろうとしていた。しかし遊弥は、いや、「遊弥ではない別の誰か」はそう易々と負けるような人間ではなかった。

「俺は墓地の罠カード『スターダスト・オーバードライブ』を除外して効果発動!墓地から『スターダスト・ブレイズ・ドラゴン』を特殊召喚し、このターン受けるダメージを0にする!そしてこのターン、この効果で特殊召喚されたモンスターは破壊されない!!」
「……私はこれでターンエンド。あんた、本当に遊弥なの?」
SETSUNA→LP:8500 手札:1 デッキ:26 Mゾーン:2 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:2



*TURN09
 間一髪で凌いだ遊弥だったが、手札にはヴァルキリーの効果で加えた『ビート・シンクロン』が1枚あるだけ。しかもスターダストGenesisの効果でペンデュラム召喚を完全に封じられてしまった。八方塞がりというべきこの状況を、遊弥はどうするのか。

「ファイナルタァァァーーン!!チューナーモンスター『ビート・シンクロン』を召喚!」

 遊弥の瞳の中で、漆黒の炎がより一層激しく燃え上がった。するとどうしたことだろうか、デュエルディスクを装着していないにもかかわらず、遊弥のモンスターが実体化して現れたのだ。この現象を見た雪菜は、「ある確信」を得た。

(やっぱり、遊弥が持っている力は……)






「俺は!レベル9の『スターダスト・ブレイズ・ドラゴン』に、レベル1の『ビート・シンクロン』をチューニング!!悠久に燃え盛る灼熱の竜よ、時空の狭間を超越し、秩序乱れし天地を遍く薙ぎ払え!!シンクロ召喚!!出でよ、レベル10!災厄の力秘めし竜!!『無限煉獄竜プルガトリウム・スターダスト』!!!」


 遊弥が新たに創り上げた「スターダスト」シンクロモンスター。全てを闇に変えてしまう無限暗黒竜とは違い、紅く燃え上がる業火で全てを焼き尽くす無限煉獄竜。しかし、暗黒竜と同様に元々の攻撃力と守備力は0。


「さあ、裁きの時だ!無限煉獄竜がシンクロ召喚に成功したことで、フィールドと墓地の、このカード以外のカードを全てデッキに戻し、戻したカードの中にモンスターカードがあれば、そのモンスターのレベル・ランク・グレードの合計×200、このカードの攻撃力をアップする!!」


 この効果で戻された遊弥のモンスターは、フィールドにいたレベル8の『封印竜 ソニック・スター』、墓地からはレベル9の『スターダスト・ブレイズ・ドラゴン』『スターダスト・ドラゴン Clear Diamond』、レベル5の『ブレイブ・シンクロン』、ランク4の『リトルスター・ドラゴン』、レベル4の『スターダスト・ナイト』『スターダスト・オーロライーグル』、そしてレベル1の『ビート・シンクロン』の合計8体。
雪菜の戻されたモンスターはレベル8の『スターダスト・ドラゴン The Genesis』、レベル9の『スターダスト・ストーム・ドラゴン』、墓地からはレベル9の『スターダスト・ドラゴン Clear Diamond』、レベル6の『スターダスト・フェイト・フォルトゥーナ』『スターダスト・エンジェル』、ランク6の『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』、ランク4の『リトルスター・ドラゴン』、レベル4の『スターダスト・マジシャン』『スターダスト・オーロライーグル』、レベル3の『スターダスト・ディシーブフォックス』にレベル2の『増殖するG』の合計11体。遊弥と合計して、全部で19体のモンスターがデッキとエクストラデッキに戻された。そして、それら全てのレベルまたはランクの合計は……。

(8+9+9+5+4+4+4+1+8+9+9+6+6+6+4+4+4+3+2)×200=105×200=21000


 無限暗黒竜もそうだが、遊弥が生み出してきたモンスターの効果はまるで「デウス・エクス・マキナ」、絶対的な力によってこれまでの過程を無視して一気に決着をつけてしまうのだ。そしてもちろん、無限煉獄竜が攻撃力を増加しただけで終わりだと思ったら大間違い。更なる効果があったのだ。


「そして!この効果で戻されたモンスターカードが18枚以上の場合、無限煉獄竜はこのターン、3回攻撃できる!!」
「攻撃力21000のモンスターが3回も攻撃を……。もう、この攻撃は止められないわね」

 その言葉を聞きたかったと言わんばかりに、遊弥の表情が狂喜に満ちた。雪菜は、これほどまでに遊弥を蝕んでいる力が強力だとは思わなかったが、それでも彼女に出来ることはまだ残っている。


「無限煉獄竜で、ダイレクトアタック!!煉獄の業火で焼き尽くせ!エグゼキュージョン・ソニック!!」


 何もないところからモンスターを実体化させたため、それに伴うリスクは当然大きい。無限煉獄竜を創造した反動もあったのか、煉獄の竜が雪菜に向けて破壊光線を放とうとした瞬間に実体化は終了し、遊弥は床に倒れ伏してしまった。攻撃宣言をしたのはいいものの、デュエルが何らかによって中断された場合、自動的に雪菜の勝利となるが、彼女は机に置いてあった計算機の自分のライフポイントに「-63000」と打ち込み、自ら負けを認めた。















「遊弥……あなたがもう苦しまないように、このペンダントをあげるわ。これさえあれば、もう暴走しないからね」


 遊弥が意識を失っている間に雪菜が彼の首にかけたのは、宇宙に輝く天の川のように真っ青な、六角水晶のペンダントだ。これにどんな効力があるのかは今のところ雪菜しか知らない。が、さっきまでうなされていた遊弥があっという間に静かにぐっすりと眠ったことを見ると、心を落ち着かせることが出来るのだろうか。
 1時間半後、遊弥は飛び跳ねるように目を覚ました。気づいたらもう3時半だ。彼は雪菜とのデュエルがどうなったのかを確認するためにフィールドを見たが、そこには遊弥の知らないモンスター、つまり無限煉獄竜が置かれていた。


(まさか……また、カード創っちまったのかよ。しかもこいつの効果、無限暗黒竜といい勝負のぶっ壊れだな)


〇無限煉獄竜プルガトリウム・スターダスト(Lv10 炎)
ドラゴン族/シンクロ/効果
攻0/守0
炎属性チューナー+「スターダスト・ブレイズ・ドラゴン」
このカードはS召喚でしか特殊召喚できない。このカードのS召喚は無効化されない。①:このカードが「ビート・シンクロン」を素材としてS召喚に成功した場合に発動する。フィールドと墓地の、このカード以外のカードを全てお互いのデッキに戻す。この効果でモンスターを戻した場合、このカードの攻撃力は、戻した全てのモンスターのレベル・ランク・グレードの合計×200アップする。②:このカードの①の効果で戻したモンスターカードが18枚以上の場合、このターンこのカードは1度のバトルフェイズ中に3回攻撃できる。③:このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動する。自分は3000ダメージを受ける。


 紅葉達と出会ってから僅か2ヶ月半で4枚もカードを創ったことで慣れてしまったのか、無限煉獄竜を創造した事実を認識しても特にこれといった驚きはなかった。


「……遊弥、話いいかしら?」
「うん…」


 遊弥は、雪菜と向き合う形で座り、改めてかしこまった。明日以降の決戦に行ってもいいかどうか、最後の話し合いが始まるのだ。これでもし雪菜の了承を得られなければ、遊弥は世界を救うどころか、目標の奏多とも戦えなくなってしまう。


「遊弥。私があれこれ言える立場じゃないけど、貴方には私よりも未来にむけて可能性がある。でも、貴方が隠し持っている力はあまりにも危険すぎる。それは、貴方だけじゃなくて友達にも危害を加えてしまう怖れがあるの」
「分かってる。俺はもう絶対に仲間を傷つけないって決めたんだ。けど…俺の中にいる『何か』が溢れ出たら、俺自身でも制御できないんだ。ホントに……何なんだろうな」

 遊弥は自分が闇に堕ちた時の記憶は殆ど残っていないが、それが原因で紅葉と凛に深い傷を負わせたことは痛いほど理解できた。もう二度と堕ちないと固く誓っていたはずなのに、今日も雪菜にも危害を加えそうになった。

「でも、遊弥はもうその心配はいらないわ。遊弥が我を忘れないように、兄さんのペンダントを付けておいたから。明日から思う存分、世界を救ってきなさい!」
「ってことは…行ってもいいの?」
「モチのロンよ!あんたに託すわ、私達の未来!」
「うん!」


 ちょうどその時、遊弥の携帯にメールが入った。「今日の18時に学園長室に来て」と、紅葉からだ。あと2時間もすれば、この家にいられなくなる。そう思うと、遊弥は突然寂しさに襲われ、雪菜に抱きついた。

(やっぱり、ホントは遊弥も寂しいんだよね。だったらしばらくこうしてあげなきゃ)

 雪菜は、遊弥の気が済むまで彼を優しく抱擁してあげた。こうして甥っ子を抱いたのは8年ぶりだったので、遊弥の成長を感じ取れた。遊弥も、今までずっと触れてきた雪菜の温もりを約1ヶ月も感じられなくなるので思いっきり彼女に抱きついた。いつの間にかリーダー役に回っていた彼は、皆に自分の弱い部分を隠そうと必死に振る舞ってきたつもりだった。しかし、雪菜の前ではそんな強がりも必要なく、ありのままの彼でいることができる。ほとんど両親に甘えられない環境で育っても非行に走らなかったのも、雪菜がいたからだ。



(雪菜さん…14年間、面倒見てくれて、本当にありがとう!)



午後17時。いよいよ遊弥の出発の時だ。

「じゃあ雪菜さん、行ってくるよ」
「その前に、私からの最後のプレゼントよ。受け取りなさい」


 そう言って雪菜が渡したものは、彼女がデュエルで使った『スターダスト・ドラゴン The Genesis』や『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』など、遊弥が持っていないカードばかりだった。そして……。


「チュッ♡」
「せ、雪菜さん?!///」


 遊弥の右頬に、軽いキスを1つ。雪菜も家族として、遊弥のことを愛しているのだ。旅立ちの時にこれくらいはやって当然だろう。そして、全ての準備が整った。


「いってきます!」
「いってらっしゃい!」


 遊弥と雪菜が交わした、決戦前の最後の言葉。他愛ない会話だが、これから先、そんな些細なやりとりも出来なくなるかもしれない。でも、遊弥達はそんな当たり前の日常を取り戻すために、未知の強敵達と戦う日々が待ち受けているのだ。

















 学園長室の重い扉を開けると、もう皆集まっていた。紅葉、凛、花奈、精一、命慈、それに流星学園生徒のトワに尚志にエレン、大空学園生徒の希と彼女の親友達のうらら、カレン、小町、胡桃、さらにジュニアチャンピオンのレインまでいる。遊弥はどういうことなのかを学園長に説明するように要求した。すると、とんでもない答えが返ってきた。


「皆さんは、この戦いに自ら参加したいと立候補してきたのです。最初はお引き取りしてもらうよう頼みましたが、全員の覚悟を聞いた上での判断です」


 確かに遊弥達6人だけで戦うよりも、ここにいる頼もしい15人で力を合わせれば、呪縛竜にも全然負ける気がしない。このベストメンバーで闇に染まった世界を、明るい光が差し込むような未来に塗り替えてやろう。
 そして、それぞれのチーム編成が発表された。これから遊弥達は、世界6カ所で目覚めようとしている呪縛竜の石版のもとへ赴くのだが、全員で同じ場所へ行ったら効率が悪い。そこで3人グループと2人グループをそれぞれ3つずつ作り、それぞれの国で戦うことに決定した。これはレインの発案である。そして、チーム分けはこうなった。


・ロシア(vs古城奏多)→藤堂遊弥、天導レイン、光貞トワ
・ギリシャ(vsソフィア・メルクーリ)→赤城紅葉、伊集院カレン、三上胡桃
・フランス(vsマーガレット・リリー)→黒羽凛、神谷希
・ノルウェー(vs清水ルーナ)→茨木花奈、小野寺小町、春野うらら
・オーストラリア(vsアレックス・マッカーサー)→霧野精一、氷川エレン
・中国(vs宮崎裕人)→霧野命慈、宮崎尚志




 遊弥達以外のデュエルディスクには元来ワープ機能や、オートで発動できるアクションフィールド機能は付属していなかったのだが、学園長に無理言って急速ピッチで作らせた。普通ならば、こういったものを取り付けるのに数日はかかるはずなのだが、予め準備でもしていない限りこんなスピードで、しかも全員分のディスクになんて最早神業である。遊弥は改めて学園長の超ハイスペックぶりを思い知らされたのだった。
 ワープするためには、ディスクに搭載されているワープ機能、通称「W.W.W(ワールド・ワープ・ウェッジ)」を開き、国ごとに表示されている主要都市をタッチすれば5秒でその場所に到着する。アニメみたいに「同じ目的地にワープしたけど着いた場所がバラバラで合流するのに時間がかかりすぎた」、なんて心配は不要だ。



「では皆さん、健闘を祈っています」


 総勢15人のデュエリスト達がそれぞれの国へとワープした。離ればなれになったが、全員の心は繋がっている。
 世界の命運を天秤にかけた究極の戦い、「呪縛竜決戦」が今、始まろうとしていた…!










~お知らせとお詫び~
ss投稿当初の目標だった、総アクセス数1万回突破しました!!私が初めて書いたシリーズをここまでご愛読してくださった皆様、本当にありがとうございます!このシリーズを投稿し始めてからメインである第3章(の手前)に到達するまで1年4ヶ月、長い道のりでした(でも作中ではまだ2ヶ月半しか経ってません)。
コラボ企画とかやりたいと思っていたのですが、「このシリーズをこれ以上gdgdにするわけにはいかない!(血涙)」ということで、この案は次回作に持ち越しです(次回作あるのかと思った皆様、安心してください。タイトルとメインキャラしか決まっておりません)。
次回以降は最後の番外編と、これから登場する予定のオリカをキャラ別に紹介します。奏多以外の呪縛竜使いが使用する新テーマも明らかに?!
それに伴いまして、Episode52の投稿が先延ばしになります。いつも楽しみにしている読者の皆様には迷惑をかけますが、何卒お願い申し上げます。
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