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第8話 電脳世界へ 作:ユフリ
前回までのあらすじ
一ヶ月後の『鳳祭』のチームメイト集めが始まった。
鳳学園で最も弱い土星[サターン]クラスで実力者を見つけようと悪戦苦闘する斎門と隼人。
最初のターゲットの冬河七海はなんと自称・『太陽の神』アポロンが宿った少女だった!
アポロンは過去の因縁から、斎門に決闘を挑む。
アポロンの太陽モンスターに苦戦する斎門であったが、一瞬の隙をついて切り札《響雷魔神-ヴィトルグラッチ》の一撃で辛くも勝利をおさめる。
かくして斎門と七海の因縁は晴れ、3人目のチームメイトが決まったのだった。
そして、最後の四人目のチームメイトは、斎門に何やら心当たりがあるようだが・・・
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斎門「………『電脳世界』って、知っとる?」
隼人「なんじゃそりゃ?」
七海「みんな…しってる……その…瀬戸川くんは入ってきたばっかりだし……しょうがない……」
隼人「そんな有名なもんなのか?」
斎門「有名もへったくれもあるかいな、今度の『鳳祭』で初めて一般公開されるっていうメインイベントやで!全世界から注目されとる!」
隼人「へ~!ハイテクなもんなのか?」
斎門「ビンゴや。その『電脳世界』っつーのは、自分自身を架空フィールドに送り込んでデュエルするっつー…いわば今のソリッドビジョンの進化系やな!」
隼人「なるほどなぁ。……でもそれのどこがすごいんだ?」
斎門「瀬戸川くんは分かっとらへんなぁ~……これは、いずれ全世界で配信予定なんや。そして……『電脳世界』は全世界の人々とデュエルを楽しめる世界初の機関なんやで!」
隼人「へ、へ~?俺にはあんまりすごみがわかんねぇや」
斎門「何言っとるんや!全世界の人とデュエルできるっつーことは、もっと数多くの強敵を巡り会えるっちゅーことやんけ!」
隼人「あ、そっか!それはとんでもなく面白そう!!」
斎門「せやろ~?」
七海(やっぱりこの二人……楽しそう。強い人と戦えるのを純粋に楽しんでる気がするわ。)
斎門「コホン、話を元に戻すで。その『電脳世界』の開発総責任者、つまり一番お偉いさんが、実はこの土星[プルート]クラスにおるんや」
隼人「どっ、ぅえぇぇ~~??」
七海「鳳…翼……」
隼人「鳳翼って・・・あの学園長代理の妹さん!?」
斎門「あぁ。ちなみに、俺はそいつに1度挑んで負けとる」
隼人「ん?……斎門って、土星クラスには2回しか負けたことがなかったんじゃないのか?」
斎門「『電脳世界』での決闘はデュエルディスクには残らへん。その世界そのもののデータとして残るんや。……とにかく、俺はあと一歩のところで負けた。」
隼人「ちょっと聞いていいか?なんで斎門さんはそいつに挑んだんだ?」
斎門「……そんなもん、決まっとるやろ!『電脳世界』を乗っ取ろう思たんや!」
隼人(やっぱこの人、アホだ……)
七海(アホだ……)
斎門「……で、何を考えてなんか知らんけど、その鳳翼はんは、『鳳祭』のチームメイトを探している俺の前にやってきて、3人揃ったら仲間になってあげてもいいよ、と言ってきよったんや」
隼人「そっか!じゃあ、早速そいつのところへ行こうぜ!」
斎門「ちょい待ち~や。ただしや、俺たち3人でそいつを倒す、ってのが条件や。『電脳世界』の多人数戦の動作テストとか言っておったわ」
七海「3人で……倒す……」
斎門「せや。せやから…アポロンの力も借りんとあかん。なので、今日は休んで……3日後に休日がある。その日に挑むことにする。翼はんにも言っとくわ」
七海「わかったわ。……アポロンも…そのころには元気になってると思う……」
隼人「わかったぜ!」
斎門「……っつーことで、解散!」
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~翌日・早朝~
真遊「ふあぁ。おはよ~」
隼人「おっはよー!」
真遊「どうしたん。妙に元気ね」
隼人「『鳳祭』のチームメイト四人が、もうすぐ決まりそうなんだ!みんな強いんだぜ!」
真遊「……ふ~ん。ウチはおいてけぼりなんやね」ジーッ
隼人「あ~っ、ごめんごめん!」
真遊「なんちゃってね!ウチも実は四人グループに入れてもらっとるんやで!…けど、大会で当たったら容赦せぇへんからねっ♪」
出た、真遊お得意の不気味な笑顔だ。こういう時は大体真遊が怒っているのだと、隼人は分かっていた。
隼人「いやホント、ごめんな!」
真遊「……いつまでもごめんごめん言ってたら済むと思ったら大間違いじゃゴルルァァァ!!!」
隼人「ひえええぇぇっ!!!」
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
~その2日後・早朝~
隼人、斎門、七海の3人はとある場所に集まっていた。とある場所……つまり、巨大な施設の前にだ。
斎門「…この先に、開発途中の『電脳世界』が、そして鳳翼が待っとる。……そこで、デュエルに備えて、お前たちに渡しておきたいモンがある」
斎門はそう言うと、黒い柄のカードを1枚ずつ、隼人と七海に渡した。
隼人「これは……」
七海「エク…シーズ……モン…スター………」
斎門「そそ。まぁ、お守りやと思って持っとき、な?」
隼人「おお、斎門さんありがとう!!俺1枚もエクシーズモンスターとか持ってなかったんだよなー!」
アポロン『……フン、こんな黒いカード、デッキに入れるわけが……』
七海「アポロン!斎門さんに失礼でしょ!もうちょっと礼儀正しくしなさい!」
アポロン『くっ……』←恥ずかしくてフェードアウト
七海「もうっ……全くアポロンったら……」
斎門&隼人「あれ………」
七海「……あ………///」
斎門&隼人「………」
斎門&隼人(アポロン相手だと普通にしゃべれるんだーーー!!)
七海「ほ……ほら…中……中入ろ………」
斎門&隼人(元に戻ったーーー!!)
斎門「お、おう……」
隼人「い、今いくぜ!」
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~『電脳世界』受け付け(工事中)~
入った先は真っ暗だったが、3人が中に入るとスポットライトが3人ともう一人に当たった。彼女は以前見た時と同じように、車イスに乗っていた。
翼「ようこそ、『電脳世界』へ。そして斎門さん、お久しぶりですわ」
斎門「……今度は、負けへんで」
翼「気が早いのは大変よろしいことですわ。…しかし、まずは他のお二人様にも『電脳世界』をご体験いただき、それから今回行うチーム戦のルールを説明させて頂きます。それではご案内致しますわ。……小早川!」
『小早川』という名前だとおぼしき長身の老婆執事が、こちらに「着いてこい」と言っているかのように、車椅子を押し始めた。
隼人「『電脳世界』、楽しみだな~」
アポロン『……ボクは暗いところが苦手なんだ。明かりをつけられないか』
小早川「もう着きますよ。…ほれ、見えてきました」
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
~『電脳世界』ログインルーム~
ユーザーが『電脳世界』にログインするための椅子が何百と用意されていた。椅子に座って、頭に専用の機械を被せることでログインできるようだ。
隼人「うわぁ~、めっちゃ広い!」
翼「一ヶ月後の『鳳祭』で初披露となるログインルームですわ。お三方、お好きな椅子にお座りください」
隼人「じゃあ、俺ここな!」
アポロン『フン……』(瀬戸川隼人……子供だな)←キメ顔
斎門「よし、準備できたで」
翼「それでは、真上にあるデータ送信デバイスを頭に装着してくださいませ」
隼人「OK!」
翼「……それでは、参ります」
翼はそう言うと、車椅子の右手すりにある画面に高速で何かのコマンドを入力した。
隼人「うわああぁぁあぁぁぁ………」
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
~『電脳世界』への入り口~
真っ白な部屋だった。辺り一面真っ白な地平線で、なんだか気が狂いそうな景色だ。そこに、天の声のように翼の声が何処からともなく聞こえてきた。
翼『まずはユーザー登録をお願い致しますわ。校内の登録データを参照いたします。校内の登録データというのはデュエルディスクに掲載されておりますわ』
隼人「……なるほどなるほど。土星[プルート]クラス、登録番号573の瀬戸川隼人だ!」
翼『承りました。……登録完了です』
翼がそう言うと同時に、目の前に大きな扉が出現した。
翼『今から始まるのは新たな冒険の物語。全力で楽しんでくださいませ!』
隼人「おっしゃぁ!!」
隼人は気合いを入れて扉を開けた。その先に開けていたのは……
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~テーマパーク『オベリスクランド』~
……隼人の目の前には、溢れかえんばかりの人混み。まるで夏休みの遊園地のように、活気と熱気でごった返していた。
隼人「……もう、こんなに人が!?」
翼「…彼らはNPCですわ」
翼が背後から唐突に話す。
隼人「うわっ!?……なんだその、スヌーピーみたいなやつ」
翼「NPCですわ!……簡単に言うと、この『電脳世界』に住んでいる人々です」
隼人「へ~っ!ずいぶんと賑やかだな~」
斎門「おっ、瀬戸川くんもおったな!」
隼人「お、斎門さんと七海!!……って…あれ?翼さんが三人ッ!?」
隼人と話していた翼の他に、斎門のところに一人、七海のところにもう一人、計三人の鳳翼が今ここに存在しているという事実に隼人は驚きを隠せなかった。
翼「ワタクシはこの『電脳世界』の支配者ゆえ、この世界においては三人まで操作が可能なのですわ!」
そしてさらに驚くべきことに、外の世界では車椅子に座っていた小さな翼が、『電脳世界』では二足で立ち、背はピンと伸びているのだ。
隼人「翼さん、車椅子要らなくなったのか!」
翼「……この『電脳世界』においてはね。この世界は、ワタクシが開発致しましたの。この鳳翼が自由なままに地を蹴り、宙を舞い、空を駆る事ができるように!」
そう言うと、翼は空高く飛んで見せた。
斎門「じゃあワシも……」
ここで調子に乗って真似したくなるのが斎門である。しかし、高くジャンプしたはいいものの、空中では制御できず、そのまま地面に落下した。
斎門「…いてて……」
隼人「だっせぇ~の!」
斎門「なんやとぉ~!?」
アポロン『ハイハイ喧嘩ははやめやめ。……で、肝心の決闘はどこでやるんだい?』
いつまでも本題に入らないのをアポロンが見かねて静止した。
翼「決闘の会場はこの『オベリスクランド』の中心部にあるデュエルフィールドですわ……付いてきてくださいまし」
翼は地面に降りてゆっくりと歩き始めた。
アポロン『……やれやれだ』
NPC①「きゃーっ!!翼様ーっ!」
NPC②「こっち向いてーっ!!」
翼が軽く手を振ると、翼のファンらしきNPCは興奮の絶頂に達した。
アポロン『……今のは?あれもNPCの特性なのか?』
翼「……ワタクシの趣味ですわ。つまり、仕様でしてよ。アナタも『電脳世界』で勝ち続ければ、NPCの憧れの的となるでしょう……」
アポロン『へぇ………ボクは勘弁しとくよ。…それにしても、『電脳世界』には夜がなさそうでいいな。いつまでも陽が差した状態にしておくことも可能なのだろう?』
翼「…それは不可能ですわ。時間軸は外の世界と変わっておりませんわ。外の世界で夜なら、こちらの世界でも夜空の月が昇りますの。……『電脳世界』で時差ボケなんかが起きても困りますので…」
アポロン『そっかぁ……一日中昼だったら、ボクも永遠にフルパワーで活動できたんだが……』
アポロン(とは言っても、七海の体を借りている以上、七海への負担が大きいんだけど。)
翼「……着きましたよ」
いつの間にか、スタジアムの中に入っていたようだ。控え室を越えてスタジアムに入場すると……
観衆「ワアアアァアアァァアァ!!! !!!」
特大スタジアムの周囲360度を取り囲む、数万人の観衆は、ステージにいるたった四人を見つめ、興奮を体と声で表現していた。その興奮は隼人たちを本能的に呼応させ、強い高揚感を全身で感じさせた。
隼人「うわぁ!すげぇ!!」
翼「これも『電脳世界』の魅力ですわ。大迫力の歓声を一手に受けてのデュエル。これほどデュエリストが興奮するものはなくってよ!」
斎門「確かになァ、なんか燃えてきたでぇ!!」
アポロン『人間の叫び声など……やかましいだけだ』←ちょっと興奮してる
翼「……それでは、今回行うデュエルのルールを説明致しますわ。まずは、勝ち負けによるルール。もし貴殿方が勝ちましたら…」
隼人「俺たちのチームに入って『鳳祭』を戦う!」
翼「そうね。…そして、ワタクシが勝った場合は、……なにもしなくていいわ」
斎門「なっ!?」
隼人・七海「えっ!?」
翼「貴殿方には今回のデュエル、是非とも楽しんでいただきたいのです。デュエリストの活き活きとした姿を見るのが『電脳世界』の目的であり、ワタクシの夢でもありますから。……ワタクシを倒してみせなさい!!」
隼人「……おっしゃ、いくぜぇ!!」
斎門「いくでぇ!!」
アポロン『準備オーケー!』
翼&隼人&斎門&アポロン「『決闘(デュエル)!!!』」
TO BE CONTINUED...
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
次回『鳳翼編その2』
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〔人物・オリカ紹介〕
小早川
年齢:67歳
身長:168cm
誕生日:6/2
趣味:翼の写真を見直すこと
→生まれてからずっと翼の世話をしている翼専属の執事。
半場と並び、執事の中でも最年長クラスの一人で、師匠と崇めている新米執事も多く、真遊の担当執事である三嶋もそうである。
一ヶ月後の『鳳祭』のチームメイト集めが始まった。
鳳学園で最も弱い土星[サターン]クラスで実力者を見つけようと悪戦苦闘する斎門と隼人。
最初のターゲットの冬河七海はなんと自称・『太陽の神』アポロンが宿った少女だった!
アポロンは過去の因縁から、斎門に決闘を挑む。
アポロンの太陽モンスターに苦戦する斎門であったが、一瞬の隙をついて切り札《響雷魔神-ヴィトルグラッチ》の一撃で辛くも勝利をおさめる。
かくして斎門と七海の因縁は晴れ、3人目のチームメイトが決まったのだった。
そして、最後の四人目のチームメイトは、斎門に何やら心当たりがあるようだが・・・
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斎門「………『電脳世界』って、知っとる?」
隼人「なんじゃそりゃ?」
七海「みんな…しってる……その…瀬戸川くんは入ってきたばっかりだし……しょうがない……」
隼人「そんな有名なもんなのか?」
斎門「有名もへったくれもあるかいな、今度の『鳳祭』で初めて一般公開されるっていうメインイベントやで!全世界から注目されとる!」
隼人「へ~!ハイテクなもんなのか?」
斎門「ビンゴや。その『電脳世界』っつーのは、自分自身を架空フィールドに送り込んでデュエルするっつー…いわば今のソリッドビジョンの進化系やな!」
隼人「なるほどなぁ。……でもそれのどこがすごいんだ?」
斎門「瀬戸川くんは分かっとらへんなぁ~……これは、いずれ全世界で配信予定なんや。そして……『電脳世界』は全世界の人々とデュエルを楽しめる世界初の機関なんやで!」
隼人「へ、へ~?俺にはあんまりすごみがわかんねぇや」
斎門「何言っとるんや!全世界の人とデュエルできるっつーことは、もっと数多くの強敵を巡り会えるっちゅーことやんけ!」
隼人「あ、そっか!それはとんでもなく面白そう!!」
斎門「せやろ~?」
七海(やっぱりこの二人……楽しそう。強い人と戦えるのを純粋に楽しんでる気がするわ。)
斎門「コホン、話を元に戻すで。その『電脳世界』の開発総責任者、つまり一番お偉いさんが、実はこの土星[プルート]クラスにおるんや」
隼人「どっ、ぅえぇぇ~~??」
七海「鳳…翼……」
隼人「鳳翼って・・・あの学園長代理の妹さん!?」
斎門「あぁ。ちなみに、俺はそいつに1度挑んで負けとる」
隼人「ん?……斎門って、土星クラスには2回しか負けたことがなかったんじゃないのか?」
斎門「『電脳世界』での決闘はデュエルディスクには残らへん。その世界そのもののデータとして残るんや。……とにかく、俺はあと一歩のところで負けた。」
隼人「ちょっと聞いていいか?なんで斎門さんはそいつに挑んだんだ?」
斎門「……そんなもん、決まっとるやろ!『電脳世界』を乗っ取ろう思たんや!」
隼人(やっぱこの人、アホだ……)
七海(アホだ……)
斎門「……で、何を考えてなんか知らんけど、その鳳翼はんは、『鳳祭』のチームメイトを探している俺の前にやってきて、3人揃ったら仲間になってあげてもいいよ、と言ってきよったんや」
隼人「そっか!じゃあ、早速そいつのところへ行こうぜ!」
斎門「ちょい待ち~や。ただしや、俺たち3人でそいつを倒す、ってのが条件や。『電脳世界』の多人数戦の動作テストとか言っておったわ」
七海「3人で……倒す……」
斎門「せや。せやから…アポロンの力も借りんとあかん。なので、今日は休んで……3日後に休日がある。その日に挑むことにする。翼はんにも言っとくわ」
七海「わかったわ。……アポロンも…そのころには元気になってると思う……」
隼人「わかったぜ!」
斎門「……っつーことで、解散!」
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~翌日・早朝~
真遊「ふあぁ。おはよ~」
隼人「おっはよー!」
真遊「どうしたん。妙に元気ね」
隼人「『鳳祭』のチームメイト四人が、もうすぐ決まりそうなんだ!みんな強いんだぜ!」
真遊「……ふ~ん。ウチはおいてけぼりなんやね」ジーッ
隼人「あ~っ、ごめんごめん!」
真遊「なんちゃってね!ウチも実は四人グループに入れてもらっとるんやで!…けど、大会で当たったら容赦せぇへんからねっ♪」
出た、真遊お得意の不気味な笑顔だ。こういう時は大体真遊が怒っているのだと、隼人は分かっていた。
隼人「いやホント、ごめんな!」
真遊「……いつまでもごめんごめん言ってたら済むと思ったら大間違いじゃゴルルァァァ!!!」
隼人「ひえええぇぇっ!!!」
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~その2日後・早朝~
隼人、斎門、七海の3人はとある場所に集まっていた。とある場所……つまり、巨大な施設の前にだ。
斎門「…この先に、開発途中の『電脳世界』が、そして鳳翼が待っとる。……そこで、デュエルに備えて、お前たちに渡しておきたいモンがある」
斎門はそう言うと、黒い柄のカードを1枚ずつ、隼人と七海に渡した。
隼人「これは……」
七海「エク…シーズ……モン…スター………」
斎門「そそ。まぁ、お守りやと思って持っとき、な?」
隼人「おお、斎門さんありがとう!!俺1枚もエクシーズモンスターとか持ってなかったんだよなー!」
アポロン『……フン、こんな黒いカード、デッキに入れるわけが……』
七海「アポロン!斎門さんに失礼でしょ!もうちょっと礼儀正しくしなさい!」
アポロン『くっ……』←恥ずかしくてフェードアウト
七海「もうっ……全くアポロンったら……」
斎門&隼人「あれ………」
七海「……あ………///」
斎門&隼人「………」
斎門&隼人(アポロン相手だと普通にしゃべれるんだーーー!!)
七海「ほ……ほら…中……中入ろ………」
斎門&隼人(元に戻ったーーー!!)
斎門「お、おう……」
隼人「い、今いくぜ!」
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~『電脳世界』受け付け(工事中)~
入った先は真っ暗だったが、3人が中に入るとスポットライトが3人ともう一人に当たった。彼女は以前見た時と同じように、車イスに乗っていた。
翼「ようこそ、『電脳世界』へ。そして斎門さん、お久しぶりですわ」
斎門「……今度は、負けへんで」
翼「気が早いのは大変よろしいことですわ。…しかし、まずは他のお二人様にも『電脳世界』をご体験いただき、それから今回行うチーム戦のルールを説明させて頂きます。それではご案内致しますわ。……小早川!」
『小早川』という名前だとおぼしき長身の老婆執事が、こちらに「着いてこい」と言っているかのように、車椅子を押し始めた。
隼人「『電脳世界』、楽しみだな~」
アポロン『……ボクは暗いところが苦手なんだ。明かりをつけられないか』
小早川「もう着きますよ。…ほれ、見えてきました」
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~『電脳世界』ログインルーム~
ユーザーが『電脳世界』にログインするための椅子が何百と用意されていた。椅子に座って、頭に専用の機械を被せることでログインできるようだ。
隼人「うわぁ~、めっちゃ広い!」
翼「一ヶ月後の『鳳祭』で初披露となるログインルームですわ。お三方、お好きな椅子にお座りください」
隼人「じゃあ、俺ここな!」
アポロン『フン……』(瀬戸川隼人……子供だな)←キメ顔
斎門「よし、準備できたで」
翼「それでは、真上にあるデータ送信デバイスを頭に装着してくださいませ」
隼人「OK!」
翼「……それでは、参ります」
翼はそう言うと、車椅子の右手すりにある画面に高速で何かのコマンドを入力した。
隼人「うわああぁぁあぁぁぁ………」
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~『電脳世界』への入り口~
真っ白な部屋だった。辺り一面真っ白な地平線で、なんだか気が狂いそうな景色だ。そこに、天の声のように翼の声が何処からともなく聞こえてきた。
翼『まずはユーザー登録をお願い致しますわ。校内の登録データを参照いたします。校内の登録データというのはデュエルディスクに掲載されておりますわ』
隼人「……なるほどなるほど。土星[プルート]クラス、登録番号573の瀬戸川隼人だ!」
翼『承りました。……登録完了です』
翼がそう言うと同時に、目の前に大きな扉が出現した。
翼『今から始まるのは新たな冒険の物語。全力で楽しんでくださいませ!』
隼人「おっしゃぁ!!」
隼人は気合いを入れて扉を開けた。その先に開けていたのは……
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~テーマパーク『オベリスクランド』~
……隼人の目の前には、溢れかえんばかりの人混み。まるで夏休みの遊園地のように、活気と熱気でごった返していた。
隼人「……もう、こんなに人が!?」
翼「…彼らはNPCですわ」
翼が背後から唐突に話す。
隼人「うわっ!?……なんだその、スヌーピーみたいなやつ」
翼「NPCですわ!……簡単に言うと、この『電脳世界』に住んでいる人々です」
隼人「へ~っ!ずいぶんと賑やかだな~」
斎門「おっ、瀬戸川くんもおったな!」
隼人「お、斎門さんと七海!!……って…あれ?翼さんが三人ッ!?」
隼人と話していた翼の他に、斎門のところに一人、七海のところにもう一人、計三人の鳳翼が今ここに存在しているという事実に隼人は驚きを隠せなかった。
翼「ワタクシはこの『電脳世界』の支配者ゆえ、この世界においては三人まで操作が可能なのですわ!」
そしてさらに驚くべきことに、外の世界では車椅子に座っていた小さな翼が、『電脳世界』では二足で立ち、背はピンと伸びているのだ。
隼人「翼さん、車椅子要らなくなったのか!」
翼「……この『電脳世界』においてはね。この世界は、ワタクシが開発致しましたの。この鳳翼が自由なままに地を蹴り、宙を舞い、空を駆る事ができるように!」
そう言うと、翼は空高く飛んで見せた。
斎門「じゃあワシも……」
ここで調子に乗って真似したくなるのが斎門である。しかし、高くジャンプしたはいいものの、空中では制御できず、そのまま地面に落下した。
斎門「…いてて……」
隼人「だっせぇ~の!」
斎門「なんやとぉ~!?」
アポロン『ハイハイ喧嘩ははやめやめ。……で、肝心の決闘はどこでやるんだい?』
いつまでも本題に入らないのをアポロンが見かねて静止した。
翼「決闘の会場はこの『オベリスクランド』の中心部にあるデュエルフィールドですわ……付いてきてくださいまし」
翼は地面に降りてゆっくりと歩き始めた。
アポロン『……やれやれだ』
NPC①「きゃーっ!!翼様ーっ!」
NPC②「こっち向いてーっ!!」
翼が軽く手を振ると、翼のファンらしきNPCは興奮の絶頂に達した。
アポロン『……今のは?あれもNPCの特性なのか?』
翼「……ワタクシの趣味ですわ。つまり、仕様でしてよ。アナタも『電脳世界』で勝ち続ければ、NPCの憧れの的となるでしょう……」
アポロン『へぇ………ボクは勘弁しとくよ。…それにしても、『電脳世界』には夜がなさそうでいいな。いつまでも陽が差した状態にしておくことも可能なのだろう?』
翼「…それは不可能ですわ。時間軸は外の世界と変わっておりませんわ。外の世界で夜なら、こちらの世界でも夜空の月が昇りますの。……『電脳世界』で時差ボケなんかが起きても困りますので…」
アポロン『そっかぁ……一日中昼だったら、ボクも永遠にフルパワーで活動できたんだが……』
アポロン(とは言っても、七海の体を借りている以上、七海への負担が大きいんだけど。)
翼「……着きましたよ」
いつの間にか、スタジアムの中に入っていたようだ。控え室を越えてスタジアムに入場すると……
観衆「ワアアアァアアァァアァ!!! !!!」
特大スタジアムの周囲360度を取り囲む、数万人の観衆は、ステージにいるたった四人を見つめ、興奮を体と声で表現していた。その興奮は隼人たちを本能的に呼応させ、強い高揚感を全身で感じさせた。
隼人「うわぁ!すげぇ!!」
翼「これも『電脳世界』の魅力ですわ。大迫力の歓声を一手に受けてのデュエル。これほどデュエリストが興奮するものはなくってよ!」
斎門「確かになァ、なんか燃えてきたでぇ!!」
アポロン『人間の叫び声など……やかましいだけだ』←ちょっと興奮してる
翼「……それでは、今回行うデュエルのルールを説明致しますわ。まずは、勝ち負けによるルール。もし貴殿方が勝ちましたら…」
隼人「俺たちのチームに入って『鳳祭』を戦う!」
翼「そうね。…そして、ワタクシが勝った場合は、……なにもしなくていいわ」
斎門「なっ!?」
隼人・七海「えっ!?」
翼「貴殿方には今回のデュエル、是非とも楽しんでいただきたいのです。デュエリストの活き活きとした姿を見るのが『電脳世界』の目的であり、ワタクシの夢でもありますから。……ワタクシを倒してみせなさい!!」
隼人「……おっしゃ、いくぜぇ!!」
斎門「いくでぇ!!」
アポロン『準備オーケー!』
翼&隼人&斎門&アポロン「『決闘(デュエル)!!!』」
TO BE CONTINUED...
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次回『鳳翼編その2』
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〔人物・オリカ紹介〕
小早川
年齢:67歳
身長:168cm
誕生日:6/2
趣味:翼の写真を見直すこと
→生まれてからずっと翼の世話をしている翼専属の執事。
半場と並び、執事の中でも最年長クラスの一人で、師匠と崇めている新米執事も多く、真遊の担当執事である三嶋もそうである。
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