DRAW:６３ 強襲、煉獄の悪魔　作：人喰い

(63)








《WDCS予選・バトルロワイヤル》

◉大まかなルール

予選の時間は『３時間』。
参加者全員は、予選開始時に反亭アリーナの敷地内のどこかにランダムで転送される。そしてそれと共に反亭アリーナの館内と館外の一帯に散らばる“1〜16の数字が書かれた16種のパスカード”(1枚ずつではなくそれぞれ複数存在)のいずれかを手にし、『セントラルホール』前の受付に戻ってきた決闘者に本戦への出場資格与えられる。セントラルホール内にて予選終了まで待機。



＊決闘の申し込みは、DUEL GEARにより半径1メートル以内の一番近い距離にいる決闘者に申し込みコードを送る事で強制的に決闘となる。


◉決闘条件と勝敗による判定

・パスカードを持っていない決闘者同士
→勝者のDUEL GEARのマップに5分間、“全てのパスカードの位置が表示される”。
敗者は10分間、“決闘の申し込みができない“。

・同数字パスカード持ち決闘者同士(ゴールしていてもしていなくても)
→敗者の持っていたカードは運営によって“会場のどこかに飛ばされる”。

・異なる数字のパスカードを持つ決闘者同士
→勝者は10分間、“他の決闘者からの決闘申し込みを受けない”。敗者のカードは“会場のどこかに飛ばされる”。


＊引き分けの場合
両者のパスカードは会場のどこかに飛ばされ、両者とも10分間決闘を行えない。



◉禁止事項
・参加者及び観客・スタッフへの暴力・暴言
・参加者から直接パスカードを奪い取る行為
・パスカードの破壊
・パスカードの譲渡
・パスカードを2枚以上所持する事


◉持ち込める物
・40〜60枚のメインデッキ
・0〜15枚のエクストラデッキ
・支給されたDUEL GEAR
・支給された決闘盤






〜YAGAMI本社・会議室〜



男「…それで、現在『反帝アリーナ』で行われているWDCSの予選にて行動を起こした『終焉の焔』に関してですが、もう手は打ってあるんですよね、綾小路理事長」


理事長「…ホッホッホ、もちろんですよ阿澄(あすみ)くん。“あの男”を含む海外を代表する決闘者達も反帝アリーナに向かっております」



阿澄「…それは心強いですね、ですが、これではせっかくのWDCS予選が中止という事になってしまいますね……残念です」


橋本「…大会を楽しみにしていた参加者達には悪いが、これも人間界の危機を救うためです。このチャンスを逃さず、絶対に奴らを打ち倒さなくてはならない」



男「…想像以上に精霊を携えた決闘者があつまったおかげでうまく終焉の焔の連中をおびきだせたみたいでよかったですね」


理事長「…ええ、米山(よねやま)くん。私と橋本くんが各地で有望な決闘者に声をかけた甲斐がありました」


米山「ですが事情を知らない決闘者が被害に会う可能性がありますよね」



阿澄「…その件に関しては、YAGAMIの天才メカニックの附田(つくだ)が作成した決闘盤を参加者全員に支給しているのですが、その決闘盤が装着した者へ与えられる衝撃を吸収してくれる仕組みになっています。直接的な危害は決闘盤が肩代わりしてくれるので、決闘者に危害が加わることはほぼ無いと見ていいでしょう」


米山「なるほど」


橋本「…録画機能の妨害は予想外でしたが、どうしましょう？ 運営側から監視ができないのと、観客席側からも不満の声が多数上がってます」


理事長「…確かに向こうからの妨害は予想外でしたが、観客席には終焉の焔との決闘を移す気は元々ありませんでした。闇の決闘を観客席に映してしまうと、余計に観客に不安感を与えてしまうことは明らかです」


橋本「…それもそうですね。ただやはり、こちらから決闘の様子を把握できないというのはなんとも歯痒い」


理事長「何にしても、セントラルホールの観客には決闘盤を支給していないのですから、そこへの被害は一切出さずに、“終焉の焔”の首領および幹部を、大会の参加者全員と後から来る海外代表連合とで協力して倒せるように、我々も全力でサポートしましょう」


全員「はい！」


























遊戯王 Ph.X DRAW:６３
《強襲、煉獄の悪魔》























〜森林エリア〜




結維「……雫ちゃん！ 大丈夫！？ 走れる！？」



雫「…はぁ…っはぁ…っ！ なんとか…っ」



結維（………ったく、イミワカンナイ！ これじゃ予選どころじゃないじゃない…っ！ 運営は何やってんのよ…！）


雫「……でも火群さんの方が、すごく辛そうです…」


雫は、結維におぶさったまま眠りについている火群を心配そうに見て言う。


雫「………決闘で人が傷つくなんて、やっぱりおかしいですよ…っ！」


結維「………っ。
…そうね、その通りよ」


結維はふと視線をそらし、俯きがちに答えた。
闇のゲームによる他者への傷害。
その罪は、火群に対し闇のゲームを仕掛け傷つけたことのある結維自身が一番よくわかっていることだった。
だからこそ結維は今、その重みも知らずにただ娯楽のように闇のゲームで他者を傷つける『終焉の焔』という組織に腹を立てているのだ。



結維「ーーー！！？」



そこで結維は突然足を止めた。
後ろをふらつきながらもついてきていた雫も異変に気付き足を止める。



雫「…ユイさん…っ、これ…っ！」


結維「……ええ、“黒いもや”がかかってる…！ しかも、さっきのより……濃い…っ！！」


雫「はわわ…っ！ もう追いついて来たんですか…！？」



結維「…わからない。でも体力的にも、ここで応戦するしかなさそうね…！」


結維（でももうラヴァル使いの男はパスカードを持っていないから、パスカードを持っている私たちと決闘することはできないはず…）


雫「……っ来ます……！！」


突如、何かを感じ取り身構える雫の5メートルほど前方の空間に、亀裂が発生した。



結維「！！」

雫「はわわ…っ！？」



そして、見るからに禍々しいその亀裂の中から、腰まで届くくらいの黒き長髪を揺らし、黒ローブに身を包んだ一人の男が姿を現す。





男「………」






まさに『漆黒』の二文字が相応しいその男は、地面を踏み締め辺りを見渡すと、




男「不死鳥を寄越せ」





ただそれだけ言って決闘盤を構えた。
その決闘盤すらも吸い込まれるような漆黒に、シルバーのチェーンやらのアクセントが光る特注品のようだった。



結維「……その決闘盤…っ！ あなた大会参加者じゃないのね…っ」


雫（…あの姿……っ、どこかで………っ？)






男「…だったらなんだ？ 決闘ができないとでも言うのか？」



結維「……っその通りよ。…残念ながらあなたと戦うことはできない。この場所では大会参加者以外決闘できないルールだから」



男「なら話は早い。“場所”を変える」



男がそう言うと、辺りの黒い空間が一層濃くなり、更に重苦しい空気が結維たちに襲いかかる。






結維「……っ！？」



雫「…うっ……！？ なん、ですか……これ…？」



結維「…あなた……っ！ 何者……！？」







男「…答える必要は無い。俺が今必要とするのは、デュエルモンスターズの精霊……そこにある不死鳥のカードだけだ。少女等はそこで大人しくしていろ」



ニクス『……ッッ！』



ゆっくりとニクスの方へ歩き出す男の背後の亀裂から、今度はカードの精霊が現れる。
その姿はとてつもなく禍々しく、とても巨大な龍の様な姿をした悪魔だった。

雫「…！！！！」

その悪魔を目の前にして、雫は7年前の惨劇を思い出す。

雫「…そん……な……っ…！」

結維「…雫……っ？」

悪魔は、吸い込まれるような煌黒の翼を羽ばたかせ熱風を起こす。



雫「…っ…！」


ニクス『…！ あのモンスターは……っ！？』


結維（…不死鳥…っ？ いや、よく見ると全然違う…！！）



男「…不死鳥の使い手は寝ている小僧か。
ーーーーそこをどけ、眼鏡の小娘」



男はフードの奥から鋭い眼光を結維に向ける。
だが結維はそれに動じず、ゆっくりと背中の火群を下ろし近くの木にもたれ掛けさせ、



結維「嫌」


と、一言だけ言って決闘盤を構えた。



結維「…償いになるとは思わないけど、私はここで逃げるわけにはいかないの」



男「…あくまで牙を剥くか。“人間界”の愚かな民風情が」



結維（…“人間界”……っ？）



結維「…あと、私は眼鏡の小娘じゃない。私には『桜庭 結維』っていう大切な名前があります」



男「…。そちらから名乗られては、こちらも名乗らないわけにはいかないなーーー」


男はフードを脱ぎ素顔を晒すと、黒き長髪を風になびかせ名を名乗る。


マイン「ーーー俺は『マイン』。『終焉の焔』を率いる者だ」



雫「…っ！！！」


結維「…へぇ、あなたが」



結維「…容赦はしないわ。来て！ ヒュペリオン！！」


結維の呼びかけに反応して、結維の持つ精霊である『マスター・ヒュペリオン』が現れる。


結維「…決闘です。ヒュペリオン」


ヒュペリオン『…御意のままに』



雫（…私には見えないけど、ユイさんも精霊を……っ！？ それにユイさんの雰囲気がさっきまでとまるで違う…）



マイン「…何…！？ 貴様も精霊を…？ ……そうか、不死鳥から発せられた膨大な精霊反応と重なっていてレーダーだけでは気づかなかったのか……クク…」



結維（…なるほど、やつらはレーダーで精霊のおおよその位置がチェックできるのね…。すぐ目の前に現れたのはその所為ってわけ）


ヒュペリオン（…だが、それならもっと早くに我々が襲われていてもおかしくない。おそらく探索範囲の制限がかなり狭いか、レーダーを長時間使う事が出来ない何かしらの理由があるのか、というところだろうか）




マイン「…不死鳥に加え、太陽神まで手に入るとはな…！ くく…っ…！」



思わず口元を手で押さえ、笑みをこぼすマイン。



マイン「……さぁ、始めるぞ」



結維（闇のゲームによる決闘は何も生まない。…それは私が一番分かってる。
こんな無意味な戦い……私が終わらせてやる）




結維【LP:8000】


マイン【LP:8000】






「「決闘！！！」」







決闘の合図とともに吹き出す火柱が、まるで本物であるかのようだ。
結維の目の前のマインは、うっすらと猟奇的な笑みをあげ、煉獄の焔を纏い結維を見つめる。


結維（…あの人が見ているのは私じゃない…。ただ目の前の、『破壊』という行為だけだ…っ！！）




結維「…煉獄の……悪魔め……っ！！」



マイン「…貴様もこの焔で虚無と爆ぜろ」




◉TURN:０１◉












〜セントラルホール前〜




爽香「ーーーちょっとちょっとぉ！ ドロシー選手と斬波選手の決闘が始まってから黒い霧が出てきて決闘の状況が何も見えなくなっちゃったんですけどーっ！」


闇のゲームにより包まれた空間の外で、爽香は一人虚しく叫ぶ。


爽香「…各地でデュエル映像が映らない問題も起きてて観客からの苦情もたくさん来てるのに……一体何が起こってるっていうのよぉ〜…っ！」










ーーー



戒【LP 2400】
場:『神聖騎士王 アルトリウス』[ATK3700]
ORU:2
@『聖剣 ガラティーン』『聖剣 カリバーン』『聖剣 EX-カリバーン』
伏せ:0
手札:3


ドロワ【LP 8000】
場:『陽炎獣 バジリコック』[ATK 3500]
ORU:5
魔法:『陽炎柱』(永続)
伏せ:2
手札:3




◉TURN:０５◉



戒「ーーー『神聖騎士王 アルトリウス』で『陽炎獣 バジリコック』を攻撃！！
……唸れッッ！〝キングダム・クロス・セイバー〟ッッ！！」






『神聖騎士王 アルトリウス』
[ATK 3700]
ーーーVSーーー
[ATK 3500]
『陽炎獣 バジリコック』





騎士王の掲げた双剣は青白い光を灯し、光り輝く。
そして一瞬の間にバジリコックの懐に踏み込み、聖剣の二連撃にてバジリコックを粉砕した。






ドロワ「……くっ…！！」【LP 8000→7800】






戒「俺のターンはこれで終わりだ」



◉TURN:０６◉


ドロワ「…いい気になるなよ……っ！ 僕のターン！！ ドロー！」【手札 4】


ドロワ「…伏せカードオープン！『リビングデッドの呼び声』！！ この効果で、墓地の『陽炎獣 ヒュドラー』復活！」[ATK 2300]



《陽炎獣
ヘイズビースト
ヒュドラー/Hazy Flame Hydra》 †
効果モンスター
星６/炎属性/恐竜族/攻2300/守 200
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手はこのカードをカードの効果の対象にできず、
自分は炎属性以外のモンスターを特殊召喚できない。
また、このカードを素材としたエクシーズモンスターは以下の効果を得る。
●このエクシーズ召喚に成功した時、
自分の墓地から「陽炎獣」と名のついたモンスター１体を選択し、
このカードの下に重ねてエクシーズ素材とする事ができる。




ドロワ「更に場の『陽炎柱』の効果により、『陽炎獣 ぺリュトン』をリリースなしで召喚！」[ATK 1600]



《陽炎獣
ヘイズビースト
ペリュトン/Hazy Flame Peryton》 †
効果モンスター
星６/炎属性/炎族/攻1600/守1700
このカードは「陽炎獣」と名のついたモンスターの効果以外では特殊召喚できない。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手はこのカードをカードの効果の対象にできない。
また、手札の炎属性モンスター１体を墓地へ送り、
このカードをリリースして発動できる。
デッキから「陽炎獣」と名のついたモンスター２体を特殊召喚する。
「陽炎獣 ペリュトン」のこの効果は１ターンに１度しか使用できない。



《陽炎柱
ヘイズピラー
/Hazy Pillar》 †
永続魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、
自分は「陽炎獣」と名のついたモンスターを召喚する場合に
必要なリリースを１体少なくする事ができる。
また、１ターンに１度、
自分フィールド上のエクシーズモンスター１体を選択して発動できる。
自分の手札・フィールド上の「陽炎獣」と名のついたモンスター１体を、
選択したエクシーズモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする。



ドロワ「陽炎獣 ぺリュトンのモンスター効果発動！ 手札の『陽炎獣 サーベラス』を墓地へ送り自身をリリースする事で、デッキから『陽炎獣 ヒュドラー』と『陽炎獣 スピンクス』を特殊召喚！！」




《陽炎獣
ヘイズビースト
スピンクス/Hazy Flame Sphynx》 †
効果モンスター
星６/炎属性/獣戦士族/攻1900/守1900
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手はこのカードをカードの効果の対象にできない。
また、自分のメインフェイズ時、
カードの種類（モンスター・魔法・罠）を宣言して発動できる。
自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、宣言した種類のカードだった場合、
さらに自分の手札・墓地から炎属性モンスター１体を選んで特殊召喚できる。
「陽炎獣 スピンクス」のこの効果は１ターンに１度しか使用できない。




戒「…！ またバジリコックを呼び出す気か…っ？」



ドロワ「…まぁそう焦らないでよ…♪ スピンクスの効果発動！」


ドロワ（ぺリュトンやサーベラスの効果でデッキのモンスターは大分引き抜いたし、罠は元々多くは入れてないから、ここはーーー）


ドロワ「……僕は魔法カードを宣言！」



ドロワは宣言するとともにデッキトップのカードを墓地へ送る。


ドロワ「…墓地へ送られたのは魔法カード『ギャラクシー・サイクロン』！」


戒「…運のいいヤツめ…っ！」



ドロワ「よってスピンクスの効果で墓地の3体目のヒュドラーを復活！！」[ATK 2300]


ドロワ「…そして相手フィールドにモンスターが存在し、自分の場、墓地にモンスターが炎属性しか存在しない場合、手札のこのカードを特殊召喚できる！『陽炎獣 グリプス』！！」



《陽炎獣
ヘイズビースト
グリプス/Hazy Flame Griffin》 †
効果モンスター
星６/炎属性/鳥獣族/攻 200/守2100
相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分のフィールド上・墓地に炎属性以外のモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手はこのカードをカードの効果の対象にできない。



戒「…盤面に5体のモンスター…！！」



ドロワ「…さぁ準備は整った！ いくよ！！ レベル6の陽炎獣 ヒュドラー、スピンクス、グリプスの3体でオーバーレイ！！」



戒「…3体エクシーズ……バジリコックか…！」


戒（…ヒュドラーの効果でORUを一つ増やせるから、召喚時のORUの数は4……だがおそらく、やつの残り1枚の手札は陽炎獣モンスター…。陽炎柱の効果でそれをバジリコックの5つ目のORUとする前提で動いているように見える）



ドロワ「ーーーその揺らぎは何者にも捉えられない！ 今炎と共に現れよ！ エクシーズ召喚！ ランク6
『陽炎獣 バジリコック』！！」[ATK2500]



《陽炎獣
ヘイズビースト
バジリコック/Hazy Flame Basiltrice》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク６/炎属性/炎族/攻2500/守1800
炎属性レベル６モンスター×２体以上（最大５体まで）
１ターンに１度、このカードのエクシーズ素材を１つ取り除いて発動できる。
相手のフィールド上・墓地のモンスター１体を選択してゲームから除外する。
また、このカードが持っているエクシーズ素材の数によって、
このカードは以下の効果を得る。
●３つ以上：このカードの攻撃力・守備力は、
このカードのエクシーズ素材の数×２００ポイントアップする。
●４つ以上：このカードは相手のカードの効果の対象にならない。
●５つ：このカードはカードの効果では破壊されない。




ドロワ「エクシーズ素材となったヒュドラーの効果で墓地の『陽炎獣 サーベラス』をバジリコックのエクシーズ素材とすることができる！ そしてバジリコックの攻撃力・守備力はORUの数x200アップ！」



バジリコック[ATK 2500→3300]


ドロワ「更に永続魔法『陽炎柱』の効果発動！ 手札の『陽炎獣 スピンクス』をバジリコックのエクシーズ素材とする！ これによりバジリコックの攻撃力がまた上昇！」


バジリコック[ATK 3300→3500]


ドロワ「続けて行っちゃうよ！ 2体のヒュドラーでオーバーレイ！！ エクシーズ召喚！ 現れろ、ランク6『エヴォルカイザー・ゾルデ』！」[ATK 2600]



《エヴォルカイザー・ソルデ/Evolzar Solda》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク６/炎属性/ドラゴン族/攻2600/守1000
恐竜族レベル６モンスター×２
エクシーズ素材を持っているこのカードはカードの効果では破壊されない。
相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、
このカードのエクシーズ素材を１つ取り除く事で、そのモンスターを破壊する。



ドロワ「そしてエクシーズ素材となったヒュドラー2体の効果で、墓地のぺリュトンとグリプスをゾルデのエクシーズ素材に！！」



ゾルデ【ORU:4】



戒「……！」



ドロワ「…バトルだ！ バジリコックでアルトリウスを攻撃！！〝ヘイズヒート・バジリスク〟！！」




『陽炎獣 バジリコック』
[ATK 3500]
ーーーVSーーー
[ATK 3700]
『神聖騎士王 アルトリウス』





戒（…こちらの方が攻撃力は上…っ！ ダメージステップで何か仕掛けてくるつもりか…！）



ドロワ「…ここで伏せカードオープン！ 墓地のバジリコックを対象に『エクシーズ・ソウル』発動！！」



《エクシーズ・ソウル/Xyz Soul》 †
通常罠
自分または相手の墓地のエクシーズモンスター１体を選択して発動できる。
自分フィールド上に存在する全てのモンスターの攻撃力は、
エンドフェイズ時まで選択したモンスターのランク×２００ポイントアップする。
その後、選択したモンスターをエクストラデッキに戻す事ができる。




戒「…！」



ドロワ「…倒れた仲間の分まで僕はお前を倒す！！ バジリコックのランクは6、よって僕の場のモンスターの攻撃力はターン終了時まで1200ポイントアップする！」



陽炎獣 バジリコック[ATK 3500→4700]

エヴォルカイザー・ゾルデ[ATK 2600→3800]





戒「…くっ……！！」【LP 2400→1400】



戒「神聖騎士王 アルトリウスの効果発動！！ このカードが場から墓地へ送られた場合、墓地からレベル4以上の『聖騎士』モンスター1体を特殊召喚できる！ 来い！『聖騎士 モルドレッド』！」[DEF 1000]



ドロワ「…ちっ…！ ゾルデの効果はダメージステップでの特殊召喚に対しては発動できない…！ ゾルデで壁モンスターを破壊！」



戒「……っ…！」



ドロワ「…僕はターンを終了するよ。同時に、エクシーズ・ソウルの効果が終了し、僕の場のモンスターの攻撃力は元に戻る」



バジリコック[ATK 4700→3500]


ゾルデ[ATK3800→2600]







◉TURN:０７◉




ドロワ「…しぶといね。でもまさか、これ以上続ける気？」


呆れた口調でドロワは言う。


戒「…当たり前だ。俺の使命は、貴様らのような悪を全て断ち斬ること。ただそれだけだ」


戒の返事は焦りの欠片も見えない。
ただ淡々と、己の意志をドロワにぶつける。


ドロワ「…やっぱ気に食わないよ、お前。…この状況じゃ僕には勝てない。結局、今まで1人で戦ってきたお前なんかに僕たち“終焉の焔”の灯火を消すことなんてできないんだ」



戒「…黙れ、俺はもう逃げたりなどしない。それに俺はーーー」




『キョァァアアアァアア』



戒「……1人で闘っているわけでは……ない！」




ドロワ「…！ カードの……精霊…っ！？」





鳴き叫ぶは雷鳥。
戒を両翼で包み込むように、その姿は確かに戒の背後にあった。





ドロワ「…やっぱりお前も持ってたんだね…♪ しかも雷鳥か…！ 向こうでは不死鳥の回収はもう済んでるだろうし、こっちで雷鳥を手に入れたとなれば、きっとマイン様も褒めてくれる…！」




戒「…不死鳥……っ？ 市瀬火群が負けたのか…！？」


ドロワ「…それは知らないけど、さっき入った通信だとマイン様が直々に不死鳥を回収に向かったみたいだからね」



戒「…マインというのはお前たちのボスか」



ドロワ「…『様』をつける事だね。
…マイン様は僕たちの先導者であり、“精霊界の意思”だよ♪」


戒「…精霊界……っ！？
（また謎が増えたな……。一体この世界でなにが起こっている…）



ドロワ「…けどマイン様、加減ってものを知らないから、今頃カードごと灰にしてないといいけど…」



戒「…！」



戒（…お前はこんなところでくたばるヤツじゃない……そうだろーーー？ 市瀬ーーー）
















To Be Continued…






〜森林エリア〜




火群「………う…ぅ…」















《次回予告》



少年少女は己の夢を掴む為にこの道を歩いてきた。



次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:６４ 崩落の彼方



ーーー崩れゆく理想を前にして、人は、精霊は、なにを思うのか。