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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第8話:不穏の兆し

第8話:不穏の兆し 作:ドクダミ2号

「フライ、いるか?」

翔が声をかける。すぐに返事が返ってくる。

「はい、何ですか?」
「少し話がある。俺の部屋に来てくれ。」
「?」

フライが部屋に行くと、そこには翔だけじゃなく櫻と六花、更にはナナリアもいた。

「これは……一体……?」
「……。座れ………。」

翔に言われ、少しビクビクしながら座るフライ。その目には涙が見える。

「あー、泣かんでいい。別に怒ってない。ただ………あのディスペアーについて少し………な。」

フライの口から、え?と言葉が漏れる。

「ディスペアー……ですか?」
「……お父さん。何で私達が聞きたがってること……分かったの?」
「分かりやすいんだよ、俺と似てな。」

似ている……と言われ、少しムッとする櫻。六花はそこまで気にしてない様子だった。

「……でだ。まず櫻と六花。何で俺にディスペアーの事を聞きに来た?」
「……それは………。」

櫻が説明する。今回の事件で櫻と六花は生徒意外が関係していると読んだ。そこで考えられる可能性を幾つか出し合った。しかしどれも決定的な答えに繋がらないどころか、むしろ答えから離れてる気がした。そんな時、思い出したのが………

「ディスペアーの事……ってことか。」
「うん……。」

なるほどな、とナナリアが声を上げる。翔も悪くはない考えだ、と言う。

「……教えて。ディスペアーは一体………。」
「………わかった、教えてやる。ただし………。」
「ただし……?」
「……この事はあんまり口にしない事だな。いい事は絶対に起きない。」

翔が真剣な表情で言う。よほど重要な事なのだろう。櫻と六花はそのことに承諾した。

「じゃあ教えてやる…。」

ーーー

櫻は今、教室で静かに本を読んでいる。しかし、実際……心の中では色々な考えが浮かんでいた。

(あれが……あれが人のやる事なの!?)

何故櫻がこんな考え事をしてるのか……。それは昨日に遡る。

ーーー

「ディスペアーってのは昔……ナナリアが所属し、俺が戦った1つの組織だ。」
「組織……!?それに今!」
「……うーん。実はあいつらの事って口で説明すんのクッソめんどくさいんだよ。だから……。」

翔はそこで区切ると一息置いて、こう言い放った。

「お前らには直接見てもらうよ。」
「「「………は?」」」

櫻と六花、フライには言ってる意味が分からず、思わず変な反応をしてしまった。

「直接……どういう事?」
「そのままさ。お前らに見てもらうんだよ。正確には俺の記憶を……だけどな。」
「言ってる意味が……!あ、頭が……!」

櫻を頭痛が襲う。それと同時に六花、フライにも頭痛が走る。何が起きてるのか分からない内に、3人はそこに倒れこんだ。

そこで櫻達が見たのは、ディスペアー達による残虐な行為の数々だった。彼らによって多くの人達が傷つき、犠牲になっていく。この光景は櫻と六花には異常な物だった。

ーーー

「……気になるわね。」

ディスペアーの事もだが、櫻はそれ以上にきになっていたことがあった。それは………

「どうやって私達にあの映像……?を見せたのかしら?」

櫻が気にしていたのはそこだった。あの頭痛のあとに見えたという事は、脳に直接見せてきたのだろう。そこまでは分かる。しかし………。

「その方法は……?……ダメ、全然分からない……。」

そうして考えてる内に長い時間が経ってしまった。もう辺りは暗くなっている。……そんな時間になっても櫻は考え続けていた。そんな時……。

「おっやっぱりまだいんじゃーん。」

聞いた事のない男性の声がする。まだいる……と言うのは自分の事だろうか。

「誰……?」

櫻は今置かれてる状況を考える。もう放課後になってからだいぶ経っている。何か用がない限り校内に生徒がいるのはおかしい。じゃあ教員か?それはもっとおかしい。……言葉使いからそれを判断できる。では何者か?それは簡単な事である。

「部外者……ね。」
「部外者なんて酷い事言うなぁ。俺は君を迎えに来たんだよ。」
「失礼ですけど、自分で帰れますので。」

厳しい口調で言い放ち、その場を去ろうとする。しかし男は櫻を逃さないと言うかの如く肩を掴んだ。

「いっ……!」
「別に帰っても良いよ。ただ、君の妹がどうなっても知らないけどね。」
「何ですって………!」

どうやら六花は人質にされているようだ。櫻は諦め、投降した。

「……好きにしなさい。どこに連れてくのか知らないけど。」
「強気で良いねぇ。じゃ遠慮なく。」

男はそういうと、櫻の腹部を勢いよく殴打した。

「カハッ……!」
「少し眠ってもらうよ。助けを呼ばれてはいけないからね。」

ーーー

「大変な事になった……!」

先程の状況を見ていた雷が、小さな声で言う。男を止めようと思っていたが、体が動かなかった。

「どうしよう……でも!」
「雷くん?何してるの?」

どうしようか迷っていると、後ろから凛の声がした。雷は静かにするよう言った後、凛を連れ自分の教室に戻った。そして事の顛末を話した。

「何ですって……!というかそもそも雷くんは何で黙って見てたの!?」
「しょうがないだろ!?異常な光景だったんだ!体が動かなかったんだよ!」
「うっ、確かにそうだよね。ボクも同じ状況だったら動けなかったかも。」

とにかく2人はどうするか考えた結果、「あの人」に協力を求めようという結果になった。

「しょうがないよな……俺たちだけじゃ何もできないし。」
「気は引けるけどね。怒られそう………。」

その男とは……。

ーーー

「んで……俺んとこに?」
「はい……ごめんなさい、何もできなくて………。」

そう、翔のとこだった。櫻と六花は彼の娘である。その2人が連れ去られるのを黙って見ていたのだ。怒られて当たり前である。しかし……

「なるほどな。教えてくれてありがとう。奴らめ………遂に手を出してきたか!」

意外にも翔は怒るどころか、感謝してきた。

「え……怒らないんですか?」
「怒ったってしゃーないだろう。お前らはまだ子供だ。下手に手を出して怪我なんかしたら元も子もないからな。まぁ……罰として少し手伝って貰うが。」

罰として……という言葉に重い何かを感じた2人は、ただ「はい」というだけだった。

ーーー

デュエルフローラ郊外の廃ビル。櫻と六花はそこに捕まっていた。

(参ったわね……助けを呼べないなんて………まさか気絶させられるとは思っていなかったわ。)

あの男の仲間だろうか。2人の男に連れられ、櫻はビル内を歩いていた。

「こいつであってんだろうな?」
「あってるはずさ。まぁ外れてたとしてもその時はその時で楽しむだけさ。」

楽しむ……これがどういう意味か、流石の櫻も分かっていた。

「あってるって何がかしら……?」
「黙ってろ!ほら、そこの部屋だ。」

そう言って2人の男は、1つの部屋に櫻を放り込んだ。

「……痛いわ、投げなくても良いじゃない。」
「お姉ちゃん!?何で!?」

六花の声が聞こえる。辺りを見渡す事もなく、六花の姿は確認できた。

「ごめんなさい……六花が捕まってるって聞いて何もできなかったの……。」
「……ごめん。私の所為だよね?ごめんね……。」

謝っていてもしょうがないと、2人は脱出の方法を考え始めた。

ーーー

時を同じくして、翔達は今とある廃ビルの入り口に立っていた。

「まぁ……多分ここだろ。そういう奴らがアジトにできそうなの、ここぐらいだし。デュエルフローラはセキュリティが厳しいしな。」
「は、はぁ……そうですか……。」
「……で、どうするんですか?何かボクでも手伝える事があれば!」
「そうだなぁ、俺が先陣切って突入するから……櫻と六花を探してくんないか?」

そういうと翔は、扉に背を向け歩き始めた。

「えっ?何を……。」
「強襲するんだ!一気に行くぞ!」

そのまま勢いよく走り出す。そして扉を蹴破った。

「オイゴラァ!!俺の娘をどこにやったぁ!!」

かなりドスの効いた声で翔が叫ぶ。

「な、何だ!?誰だ!?」

相手はかなり驚いてる様子。どうやら強襲は成功の様だ。

「雷!凛!早く櫻達を探してこい!」
「「はい!」」

ーーー

「くっ!廃ビルとはいえやっぱり広いな!」

雷が思わず声に出してしまう。実際このビルは5回ある上、沢山の扉がある。その中の1つに櫻達がいるのだ。気の遠くなる話である。

「……ダメ、やっぱり繋がらないよ!」

携帯から電話をかけてみるも、やはり反応はない。

「やっぱり1つ1つ見ていくしか……ん?」

そんな2人の前に1人の男が現れる。どうやら味方では無さそうだ。

(しまった!見つかった!)
「あー……お前らか、さっきから騒いでんの。うるさいんだけど……ふぁ〜。折角気持ち良く寝てたのにさ〜。……あれ?どこ所属?見たことないけど。」

どうやら、自分達が侵入者だとは気が付いていない様子だ。

(凛ちゃん!ここは1つ、芝居を打って誤魔化そう!)
(そ、そうだね。)

どうにかやり過ごそうとする2人。この男に通用すれば良いのだが………。

「えっと!あの……外の警備をしてます!な!」
「え?う、うん!そうそう!」
「ふーん……こんな若い奴俺以外にいたっけ……?まぁ良いや。」

そう言って男はそのままさっきまでいたと思われる部屋へ入って行った。

「よかった……やり過ごせた……!」
「こんな簡単に行くかな……普通……?」
「あの人、ボケってしてそうだし何より寝起きみたいだったしね!さぁ櫻さんを探そう!」

ーーー

その頃櫻は既に脱出を諦め、どうにか助けを呼べないか試行錯誤していた。

(腕を縛られてる状況で、出来ることは少ない。……大きな声で助けを呼ぶ?いや、無理ね。多分だけど、ここはフローラから離れてるはず。……ポケットに携帯は入ってるけど……取り出せそうにないわね。)

色々と考えてみるがどれも無駄だった。そんな時……

「お姉ちゃん?何か聞こえない?」
「え?……本当ね。何か……叫び声の様なものが……。」

下の階からだろうか、怒号と叫び声の様なものが絶え間無く聞こえてくる。

「喧嘩でもしてるのかな?仲間内とかで。」
「ありえなくはないわね。でも………違うと思うわ。」
「?」

六花は櫻の言う事が分からないという様子だった。するとそこへ………。

「櫻さん!六花さん!どこですか!?」
「「雷くん!?」」

何と雷の声が聞こえてきたのだ。続いて凛の声も聞こえてくる。

「櫻さーん!六花さーん!!いたら返事して下さい!!」

……本来なら嬉しいとこだが今はある問題があった。それは………

「あぁ?何の声だ?まさかこいつらの助けか?」
(まずい!雷くん、凛ちゃん!逃げて!)

櫻たちの見張りについていた男が、声を聞き扉を開ける。

「「あっ」」
「あぁ?」

雷と凛、そして見張りの男が鉢合わせの状態になる。

「……どうもってあぁ!櫻さん、六花さん!」
(バカ!そこで名前呼んだら……!)
「ほほーう、仲間か。」

雷は思わず身構える。しかし……

「……流石に目的無しでガキに手ぇ出す程人間終わってねぇよ。ここはデュエルで決着をつけようや。」
「……わかった!」

今ここに、負けられないデュエルが行われようとしていた!

次回に続く
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