0.5-2話:学園に散る爆炎　作：ドクダミ2号

「あっ！心君！久し振り！」

自分の部屋で愛する人との会話をする少女……。肩まで伸びた緑色のストレートヘアーが特徴的な彼女の名は、早川 凛。チェーンバーンデッキを使用し、数多のデュエルに勝利してきた。そんな彼女だって普通の女の子。恋だってする。

「うん！うん！じゃぁまた明日！うん！」

そうして会話……もとい、通話を終了すると、ベットに横たわり静かに呟き始めた。

「今度のゴールデンウィークに……かぁ……。早く会いたいなぁ………。」

そうして彼女は眠りにつきまた1日、その日に近づいた。



「おはようございます！櫻さん！六花さん！」

憧れの先輩である、櫻と六花に朝の挨拶をする凛。同じ学生デュエリストとしてこの姉妹は本当に尊敬すべき相手なのだ。

「あら、おはよう凛。今日も元気ね。」
「あっ凛ちゃんおはよう！」

一見普通の挨拶だが、何か違和感を感じた凛は思い切って何かあったのかと言う質問をしたが、帰って来たのは曖昧な答えだった。



先ほどの曖昧な答えが気に食わなかったのか、凛は部活がない事をいい事に櫻と六花に張り付いてでも聞き出そうとしていた……が、迷惑だったらどうしようなどの雑念と良心に囚われ、結局後ろから付いて行くと言ういつもの事しかできなかった。

「あれ……？資料室？何故こんな所に？」
「少し気になる事があって……まぁ貴女はそこまで関係ないわ。」

そう言われると、嫌でも聴き出したくなるのが人間の性。

「じゃぁボクも手伝いますよ！」
「「……え？」」



資料室で2人が調べているのはどうやらカードについてらしい。図書室じゃダメなのだろうか？

「少し特別なカードについて知りたくて………。図書室じゃ調べきれないかなと思ってね。」
「へぇ……どんなカードですか？」

凛が尋ねると、櫻がこのカードと言わんばかりにリベリオンマジシャン・ヴァルキュリアを見せてきた。凛も実物を間近で見るのは初めてで、少しの間感動していた。
最初の目的はほぼ達成されたが、どうせならこのカードについて知っておこうと思った凛は一緒に資料を漁る。すると………

「あ！あった！！これ見て！！」

六花が見つけたらしく、資料を見せてくる。

「どれどれ？………最初に使用したデュエリストは遊亜 翔だと言われている。2XXX年に開催されたスタンディングデュエル大会不動杯にてvs不動 遊星とのデュエルが公で使用した初のデュエルである。効果、コスト、打点等のバランスが非常に良く、翔本人によればお気に入りのカードらしい………と。ふーん。」
「えーと、不動杯ってあれですよね。18年前に開催された伝説の大会……。」
「そうね、丁度私達が生まれた年ね。そっか………。」

2人もリベリオンマジシャン・ヴァルキュリアの事を知れて満足したのか、もう良いと言いながら資料室を出て行った。凛は記事を見て感化されたのか、その場でデッキの調整を始めた。

「あれから特に改良してなかったけど………うーん、やっぱり少しぐらい見直してみるかな？」

そう言い、現在のデッキ枚数を数え始める。いつもと変わらない枚数のはず……なのだが。

「ふぇ！？あ、あれ！？何で！？何か1枚多いよ！？ボク追加した覚えなんか………！」

何故か1枚分、デッキが多くなっていたのだ。謎の状態にパニックになるが、一旦心を落ち着かせ、何が入っているのか確認すると………

「これか……。爆炎龍 ブラストクロー？聞いたことないし……それどころか、こんなの持ってなかったよ？」

既に混乱してる頭が更に混乱し始める。今日はもう帰ろう、そう決め早々に家に帰る。そして事の顛末を、愛する人に話し始めるのであった。
次回に続く。