第６４話　はじめまして　作：白金　将

～？？？　昼　森～
ｽﾞｽﾞｽﾞ

女戦士「なんか森の中に出てきちゃったなぁ……」
鎖使い「……あれ、この森ってもしかして」
もけもけ「」ﾓｹｰ?


ｶﾞﾔｶﾞﾔ


女戦士「……！」
女戦士「隠れて！　誰かこっちに来る！」
鎖使い「」ｺｸﾘ
もけもけ「」ﾓｹ

ｶﾞｻｯ

女１「ったく……あのちっこいのはどこにいったんだ」
女２「この森のどこかにいるはずだ、探すぞ！」

女戦士「誰かを探してるみたい……」
鎖使い「遠ざかりましたね……でも、この声、この森、もしかして」

ｶﾞｻｯ

女戦士「……！」
鎖使い「後ろに……！」

？？？「あっ」ﾋﾞｸｯ
女戦士「あれ……」
鎖使い「女の子……？」

？？？「……」ｶﾞｸｶﾞｸ
女戦士「こ、怖がらなくていいよ！　捕まえようとはしてないから」
鎖使い「この様子だと彼女はアマゾネスみたいね……服装は若干違ってるけど」
？？？「……」ｺｸﾘｺｸﾘ

？？？「……ひぐっ」
女戦士「……？」
？？？「えぐっ……ひっ……」ｳﾙｳﾙ
女戦士「あ、泣かないで、ほら、おいで……！」

？？？「うわああああ」ﾌﾞﾜｯ
女戦士「ほいっ」ｷﾞｭ
鎖使い「甘えん坊みたいだね」
女戦士「なんだか……懐かしい」

女１「そこにいるのは誰だ！」
女戦士「ひゃっ！？」

女２「何だ、探してる子もここにいたじゃないか」
女１「我々の里の周りをそう気安くうろつかれると困るんでな」
鎖使い「……あの」

女１「……そこにいるのはアマゾネスか」
鎖使い「はい」
鎖使い「彼女たちは、里に危害を及ぼすような人ではありません」
鎖使い「早急に立ち去るので、見逃してはもらえないでしょうか」
女２「ふむ……」

？？？「」ｼﾞｰ
女戦士（かわいい……）ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
もけもけ「」ﾓｹ

女１「我々もあまり事は荒立てたくない」
女１「行け。ただ、その小娘には用がある」
？？？「……！」ﾋﾞｸｯ
女２「大丈夫だ。傷つけることはない」

？？？「……」ｺｸﾘ
女戦士「あっ」

女１「それじゃあ、帰るぞ」
女２「付いてこい」
？？？「」ｺｸﾘ



射手「……ありがと、なんだし」
射手「」ﾀﾞｯ
女戦士「……！」



女戦士「あれって……昔の、射手ちゃん……」
鎖使い「どうやら時代を少し間違えたみたいですね……」
鎖使い「……女戦士さん？」


女戦士「射手ちゃん……」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ
女戦士「そっか……やっぱり、射手ちゃんがいないと、私、駄目なんだ」
鎖使い「女戦士さん……」
もけもけ「」ﾓｹｪ


女戦士「ごめんね……ちょっと、感極まっちゃった」ｸﾞｽｸﾞｽ
鎖使い「大丈夫ですよ」
鎖使い「大切な人がいるのって、素晴らしいことだと思います」
女戦士「ありがと……」ｸﾞｽﾝ

女戦士「……でも、元の時代に帰る前に、一つだけやることがあるよ」
女戦士「鎖使いさんには言ってなかったかな……」

女戦士「凄く大変なことだけど、それでも、付き合ってくれる？」
鎖使い「……わかったよ」ｺｸﾘ






～夜　里　射手の家～
射手「……」
射手（昔の夢を見てたんだし）

射手（まだ正式に里に入れてもらえていなかった頃……）
射手（弩弓隊の人たちと森で追いかけっこをしていたんだし）


射手（そしたら、そこで二人のお姉さんに出会って……）

射手（……そうだったんだし）
射手（あれは女戦士さんだったんだし）
射手（細かいことはよくわからないけど……確かにそうだったんだし）ｺﾞﾛﾝ



射手（……今は離れ離れになっちゃったんだし）

射手（寂しくない？）

射手（辛い？　泣きたい？　時間を戻したい？）

射手（どれも、昔の自分だったら思いもしなかったんだし）
射手（……）ｺﾞﾛﾝ



射手（……もう一度、女戦士さんに会いたいんだし）ｸﾞｽｯ
射手（もう一度、女戦士さんにぎゅっとしてもらいたいんだし……！）ｳﾙｳﾙ