第46話 突然の来訪者レイナ　作：こんにゃく

一騎「ただいま～」

このは「お帰りでござるよ！」

ユキ「お帰りなさい一騎君」

一騎「はぁ～今日は少し疲れたぜ」

このは「何かあったでござるか？」

一騎「まぁ…色々とな…それよりどうだった？今日は」

このは「うむ絶好調でござったよぉ！」

ユキ「僕も今日はなんとか勝てたけど…決勝の方には進めそうにないかも」

ユキ「けどけど！一騎君とこのはちゃんのことはちゃんと応援するよ！」

一騎「ユキ…ああ！ありがとな！」

ユキ「うん！」

このは「いっきはなんだが一皮剥けたような感じがするでござるな何かあったのでござるです？」

一騎「今日は本当にいろんな事があったよ」

このは「いろんな事？」

一騎「あぁ…シンクリス四王女がやろうとしてることそしてそれを止めようとしている人がいること…」

このは「それは本当でござるか！？」

ユキ「だとしたら今日は大収穫なんじゃない？」

一騎「ああ」

このは「それで！シンクリス四王女はいったい何を！？」

一騎「それはだな…２年前のシンクリスで起きた事故から始まった」

ユキ「そういえば確かにシンクリスでは爆発事故があったような…」

一騎「それを起こしたのはシンクリス四王女とシンクリス王だ」

このは「なんと…」

一騎「なんでもエクサスいや…エクサスだけじゃないこの世界そのもので危機的状況になった」

一騎「それは精霊達が少なくなるというもの」

一騎「それを重んじてシンクリス王は異世界の…精霊世界の扉を開こうとしたんだ…だけど」

一騎「だけどそれは失敗した…開いた世界は精霊世界じゃなかったんだ」

このは「では一体なんの世界が…？」

一騎「それは恐らく…闇の世界」

ユキ「闇の…世界？」

一騎「まだ仮定の話なんだけどさその闇の世界はジェイドの妹のレイナに何かしたらしい…そのせいで今もレイナは眠ったまま」

一騎「ジェイドはそんなレイナを助けるために一人でソロモンズを集めていた」

一騎「そしてシンクリス王と王女は…扉を閉めるために犠牲になった…」

このは「犠牲に…そんな…」

一騎「だが母親は奇跡的に帰ってきたらしい」

ユキ「えっ？そうなの！？」

一騎「大事なのはここからだ…その母親…ジョーカーはソロモンズを集めるようシンクリス四王女に言ったらしい」

このは「…それはなぜ？」

一騎「父親であるシンクリス王を助けるためにもう一度異世界の扉を開くためだ」

ユキ「もう一度闇の世界の扉を開こうとしてるの！？」

一騎「ああ…しかも前回はどうやら不完全だったらしいからな今回は完璧に復活させるらしい」

このは「…なんだか嫌な予感がするでござるな」

一騎「その通りだ今度扉を開けばシンクリスの人間が大勢犠牲になるほど危険らしい」

このは「なんと！？まさか…シンクリスの民の命を犠牲にしようというのですか！？」

一騎「ああ」

ユキ「そんな！身勝手な！！」

一騎「確かに身勝手かもしれない…でも…アイツらにとっては大切な家族なんだよ…」

このは「家族…」

このは「私も分かります…もみじをもう一度取り戻せるのなら…私だって何をするか自分でも分からないです」

ユキ「このはちゃん…」

一騎「自分の父親を救うためにアイツらは必死なんだ…でもそれを俺は黙って見過ごすことはできねぇ」

一騎「だから俺は止める…きっとこの方法以外でシンクリス王を助けられる方法があるはずなんだ！」

このは「…」

一騎「それにジェイドだって…アイツは本当はスペードと戦いたくないはずなのに…その思いを殺してでも戦うと決意していた…！！」

一騎「俺が出会ったベクト…それに通だってきっと今悩んでるんだと思う」

一騎「だからそれも全部引っくるめて解決してやるって俺は決めたんだ！」

ユキ「…うん！」

このは「実にいっきらしい答えでござるよ」

一騎「ああ！だからもう迷わない！！そうと決まればこの大会を利用しているって言うんだったらよ！優勝して正面から計画を叩き潰す！」

このは「おお！わかりやすくていいでござるな！！」

ユキ「ふふっ…あっそうだ！少しだけシンクリスの街でもであるかない？」


一騎「？どうして？」

ユキ「ホテルのご飯もいいけど…シンクリスでの外食も悪くないでしょ♪」

このは「それはいいでござるな！！さぁ！そうと決まればでるでござるよ！！」

一騎「お前は元気だなぁ」

…

通「あれ…おかしいな…」

キルヴィス「どうかしたのか？」ｽﾞﾙｽﾞﾙ⬅ラーメンを啜っている

通「なぁキルヴィス…ダイヤはどこいったんだ？」

キルヴィス「ふぅ…お前は口を開けばダイヤ…ダイヤだな」

通「ってもよ…今回はマジで用があるんだよ」

キルヴィス「…昨日からずっと見ていないな」

通「…そうか」

キルヴィス「っで？どうだったんだ？ジェイドとのデュエルは」

通「中断になっちまったよ」

キルヴィス「なに？」

通「っても多分あのまま続けてたら確実に負けてたけどな…でも」

通「メーアっていう奴が割り込んできた」

キルヴィス「メーア…か」

通「やっぱりしってんのか」

キルヴィス「まぁな…あの人はシンクリスでも凄腕のプロのデュエリストだった…俺も過去に何度かデュエルした事がある」

通「ジョーカーに命令されてジェイドのソロモンズを奪おうとしていたみたいだ」

キルヴィス「…強行手段かもはや彼女は我々を利用するつもりはないようだな」

通「…」

キルヴィス「ダイヤも姿を現さないところを見ると…疾風という忍者が言っていたことは本当のようだな」

通「分かってる…俺もジェイドそしてメーアの想いを聞いた…俺もやらなくちゃいけないんだ」

キルヴィス「通…」

通「何にせよ残り１日！…決勝に出ればダイヤにも会えるだろ！」

キルヴィス「そうだな」

通「話はそこで聞いてやる！待ってろよ！ダイヤ！」

…

ベクト「よぉ」

ハート「…なに？」

ベクト「おいおい…俺の前では仮面はねぇのかよ…」

ハート「生憎あたしはベクトの前で猫を被るつもりはないから」

ベクト「ケッ可愛いげがなく育っちまったなぁおい…」

ハート「それで何かよう？」

ベクト「…てめぇらはよぉ…人の命をなんだと思ってやがる」

ハート「！」

ベクト「一騎から聞いたぜ？…てめぇらがシンクロの民の命を犠牲にしようとしてるってなぁ」

ハート「はぁ…一騎から聞いたんだ………ふーん…そうだよ」

ベクト「なんでだ！！確かにアレク様を助けるためとはいえ！今まで支えてきてくれたシンクリスの人間の命を使うなんてよぉ！！」

ハート「…僕にとってはどうでもいい」

ベクト「何？」

ハート「僕にとって…そこら辺にいる人間の命なんて全部どうだっていい…興味ないね」

ベクト「っ！！…そうかよ」

ベクト「はっきりしたぜ…ハート…」ｽｯ

ベクト「お前の計画はうまくいかねぇ」

ハート「何？」

ベクト「ふっ…俺は知ってるんだぜ？一騎って奴をよぉ」

ベクト「お前の…お前たちの計画は必ずアイツが止めると思うぜ…？」

ハート「…」

ベクト「じゃあな…ハート」
スタスタ

ベクト（さてと…）

ベクトはジョーカーから貰ったパッドを確認する

ベクト（…決勝ね…）


…

ジェイド「…ぐっ…」ｶﾞｸｯ

ジェイドは思ったように体が動いていなかった

ジェイド「流石に…無理をしすぎたか…くっ」

ジェイド「特に…スペードそしてメーアとのデュエルでの…ダメージが…ガハッ」ﾊﾞﾀｯ

ジェイド（それになんだ…目が…目が焼けるように疼く…これは…一体？）

ジェイドの瞳が何かに呼応するように輝く

ジェイド「くっ…」

…

一騎「うっ…」

街を３人で歩いていた一騎達しかし

このは「いっき？どうしたでござる？」

一騎「い…いや…なんか…目がいてぇ…」

ユキ「目？」ｽｯ

ユキが覗き込むように一騎の瞳を確認する

ユキ「！？？」

このは「ユキどうしたでござる！？」

ユキ「一騎君！？目が！！目が！！」

一騎「えっ？」

一騎の目は左右の瞳の色が違っていて片方は紫片方は赤くそしてうすく輝いていた

このは「これは…一体？」

？？？「世界の鍵を持つものは」♪

ユキ「え？」

？？？「その瞳に写す現に」♪

このは「う…歌でござるか？」

？？？「七つの賢者の礎となりて命ずる…」♪

一騎達の目の前には色白で蒼く清んだ瞳
どことなく誰かに似た風貌の少女の姿があった。
なにより印象的なのは体の呪印

？？？「…」

この時に一騎の瞳の輝きは無くなる

一騎「君は…」

？？？「私は…レイナ…」

一騎「っ！！レイナ！？レイナって…ジェイドの妹の！！？」

このは「えっ！？」

ユキ「どうして！？眠ったままなんじゃ…」

レイナ「貴方…だれ？」

一騎「俺は一騎だ…それでこっちがこのはにユキ」

レイナ「…一騎…私…お兄ちゃんの所に…行かなくちゃ」

一騎「え？」

レイナ「お兄ちゃんが呼んでるの…」ｽﾀｽﾀ

一騎「ぇ！？ちょっちょっと！」ｶﾞｼｯ

レイナ「？」

一騎「一人じゃ危ない…俺もついてく！」

このは「なら私も！」

ユキ「僕もいくよ！」

レイナ「じゃあ…こっち…」ｽﾀｽﾀ

一騎「ここは…？」

そこは小高い丘の上にある公園

このは「ここにジェイドがいるでござるか？」

一騎「いや…そんな感じはないけど…」

レイナ「ここはお兄ちゃんとアリーシャさんと遊んだ場所」

一騎「？」

レイナ「思いでの場所」

このは「思いでの場所？」

レイナ「シンクリスは私達の思い出が沢山あるの…いっぱいあるの」

一騎「…」

レイナ「こっち…」ｽﾀｽﾀ

ユキ「あっ！また移動するよ！」

一騎「次は何処へ…」

…

一騎「ここは…」

次に訪れた場所は遊園地

一騎「うっぐ！！」

このは「！？な…なんですか！？」

ユキ「目…目が…！」

３人の目が傷みを感じると同時にある映像が映る

ユキ「え？」

３人の目には誰かの視点での映像が映る

このは「こ…これは？」

レイナ『お兄ちゃん！待ってよぉ！』

ジェイド『ああ待ってるよほら』

レイナ『えへへ』

このは「どうやらこれは…レイナの記憶…でござるか？」

そこには仲良く一緒に遊園地を楽しむ二人の姿があった

レイナ「ここも思い出の場所…私とお兄ちゃんの…場所」

一騎「レイナは今思い出の場所を巡っているのか？どうして？」

レイナ「次はあそこ」ｽｯ

指を指す場所そこはシンクリスでも一番目立つ場所

シンクリス四王女が住まう巨大なビル

一騎「あそこ…？」

レイナ「そう…一騎…ついてきて」

一騎「レイナ…君はどうして動けるんだ？」

レイナ「？」

一騎「君は確か…動けない筈なんじゃ…」

レイナ「心配してくれるの？」

一騎「そりゃあ…ジェイドはお前を助けるために頑張ってたのに…大丈夫ならジェイドにも伝えなきゃ…」

レイナ「一騎は優しいね…大丈夫だよ…私は…大丈夫」

一騎「それならいいけど…ジェイドはこっちにいるのか？」

レイナ「いる…いるよ」

一騎「…わかった行こう」

…

レイナ「…こっち」

一騎「えっ？そっち？」

レイナが向かう場所は大きなビルの入り口ではなく

破壊されボロボロの建物の方だった

レイナ「ここ…」

一騎「これってもしかして…」

ユキ「…そうかもしれない」

一騎「２年前の…」

レイナ「…ここに思い出がある」

中に入るとそこは２年前の事故と同じ…

破壊されボロボロで２年前から人の出入りが無かったことを知らしめる

レイナ「ここに…扉があった」

一騎「扉…」

レイナ「私達は鍵…鍵を持つ」

一騎「鍵…？」

レイナ「そう…私達の力を使い…全ての扉が開かれる」

一騎「一体何を…！！？」ｶﾞｸｯ

ﾄﾞｩｩﾝ!!

一騎「くっ…か…体が重い…！一体何が…！！このは！ユキ！！」

このは「な…なんでござるか！？」

ユキ「体が…動かない…！！」

レイナ「…」ｽﾀｽﾀ

一騎「れ…レイナ！！」

レイナはﾄﾞﾝﾄﾞﾝ先へ進んでいく

その先には

クローバー「…」

破壊され空が見えるようになった瓦礫の境目

月夜に映る一人の少女

一騎「お…お前は…？」

クローバー「…」

…

ジョーカー『…やっぱりベクトとメーアはやられてしまったね』

クローバー『うちはどうすればいいの？』

ジョーカー『ふふっ…でもこれで彼らの事は分かった…くふふ』

ジョーカー『クローバー…もう少しでパパは助けられるよ』

クローバー『本当！？』

ジョーカー『だけどね…その為には鍵が必要なんだ』

クローバー『か…鍵？』

ジョーカー『そう…レイナ…彼女だ』

クローバー『っ！レイナちゃん…』

ジョーカー『でも…この二人は私達の計画を妨害してくる…そこで君の出番だ』

ジョーカー『この二人を倒してくれるね？』

クローバー『それで本当に…パパは戻ってくるの？』

ジョーカー『ああ…必ず』

…

クローバー「…」グッ

一騎「…お前は」

クローバー「うちはクローバー…」ｽｯ

クローバーはレイナに手を構えるとレイナは浮かびクローバーの元へ引き寄せられる

一騎「レイナ！！レイナに何をする気だ！！」

クローバー「この子は鍵だ…この子を使って扉を開ける！！」

一騎「お前達はまたレイナを利用するのか！！」

クローバー「っ！！そう言われても言い！！うち達は必ずパパを助けると決めたんだから！」

ジェイド「ふっ…なにかと思えば」

一騎「！ジェイド！！どうして…！！」

ジェイド「さぁな俺にもわからん…俺の目がこっちにレイナがいると訴えていた…」

ジェイド「そして…何故レイナがここにいるのか知らないが…クローバー貴様…」

クローバー「ふん！レイナちゃんはもううち達の物だ」

ジェイド「物…だと？…良いだろうここで貴様を倒しレイナを取り戻す！！」ｶﾞｼｬﾝ

クローバー「…」ｽｯ

クローバーがジェイドに向かって手を構えると

ジェイド「ぐぁぁぁあ！！！？」ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ！！

一騎「な！？ジェイド！！！？」

ジェイド「がっ…は」ﾄﾞｻｯ

クローバー「今の君たちは今日の戦いですでにボロボロだ…デュエルをすることさえ困難だろう…」

ジェイド「ぐ…クローバー…貴様…」

クローバー「だから…」ﾋﾟｯ

クローバーからパッドに直接何かが送られてくる

クローバー「明日この時間にここに来い…二人まとめて相手になってやる」ｽｯ

一騎「っ！ま…まて！」

クローバー「レイナちゃんは預からせてもらうよ！」

ジェイド「くっ！まて！！レイナ！！レイナァァァアアァァ！！」

…

ジェイド「くっ…」

このは「大丈夫でござるか？」

このははジェイドの手当てをしている

ジェイド「…ああ…感謝する」

ユキ「…一騎君」

一騎「どうやら…クローバーは俺達に用があるらしいな」

ジェイド「…俺達のソロモンズに…が正しいだろう」

一騎「明日…ここに…か」

このは「彼女が何処に行ったのかわからない以上…手がかりはそれだけでござる」

一騎「ジェイド…」

ジェイド「ふん…貴様は俺と組もうとしているのか？…だったら余計な世話だ…俺一人でやる貴様では足手まといだ」

一騎「そうじゃねぇ！…レイナの記憶が見えた」

ジェイド「！」

一騎「別に俺はお前と協力する訳じゃねぇ…ただ俺もレイナを助けたいだけだ」

ジェイド「…好きにしろ」ｽｯ

このは「あっ」

ジェイド「俺は一足先に休ませてもらう…こんな怪我では…」ｽﾀｽﾀ

このは「いっき…」

一騎「このは…明日は俺に任せてくれねぇか？」

このは「…」

一騎「この問題は必ず俺が解決して見せる」

ユキ「…一騎君」

…

遊姫「あっ！クローバー！」

クローバー「…」ビクッ

遊姫「どうかしたの？」

クローバー「な…なんでもないよ！…なんでも…」ｽﾀｽﾀ

遊姫「クローバー…」

トラクリボー『…何かあったみたいね』

遊姫「…」

…

レイナ「…」

ジョーカー「ふふっ」

レイナは謎の装置に張り付けられている

ジョーカー「鍵を手に入れた…では…次だ…ソロモンズそして…」

ジョーカー「くふふっ…」

…

続く

次回

一騎「クローバーの指定通りの場所へやってきた俺とジェイド…俺達はレイナを救うべくクローバーとデュエルを…ってお前は！！？」

一騎「次回『凸凹タッグデュエル！！』一気に駆け上がれ！！」