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第二話 邂逅の狼煙 作:raw
回らない頭で、D-ホイールをオートで走らせながら考える。
この状況はなんだ?
目の前には平然とD-ホイールを走らせているミサキ。
そしてブルーノ…とか呼ばれた男。
ミサキは当然親友だから面識がある訳だが、この男の方も、全く見たことがないわけではなかった。
あれは確か何かの雑誌の記事。
「チーム5D’s」の特集で、アシスタントをやっている場面が掲載されていた。
だから全く顔を見たことがないわけでは無い。
無い、が…
(面識がある訳も無いよな…)
その男が、作った覚えも無い俺のチームの一員と言われている理由が、
これっぽっちも思い当たらない。
その他にも、そもそも何でD-ホイール持ってるんだ、とか、WRGPの決勝ってどういうことだ、とか、悶々と考えを募らせていると、突然、ミサキがD-ホイールを停止させた。
俺も慌ててD-ホイールを停止させる。
何があったのかとミサキを見ると、ミサキは道路の前方をじっと見ていた。
俺も釣られてその方向に目を向けると、そこにいたのは、
仁王立ちしているセキュリティ。
途端に冷や汗がどっと噴き出す。
(やばいやばいやばい!何した!?スピード違反!?いやオートだったしっていうかそうだ俺免許とか持ってたっけ?!)
しかし、一瞬にして脳内がパニックに陥った俺をよそに、ミサキはフランクな様子で、
そのセキュリティに話しかけた。
「あれ?牛尾さんじゃん。こんな所で何してるんだ?」
え?知り合いなの?
呆然とする俺を放り、ミサキはその牛尾と呼ばれたセキュリティと会話を続ける。
「ああ、ちょっとお前ら、というか遊士に話があったんだ」
「遊士に?ふーん、何だ?」
俺に用?セキュリティが?やっぱり俺何かしたの?
「ちょっとここじゃ言いにくいな。贅沢を言えば一対一で話したい事だ」
「そっか。じゃあ遊士はここに置いてくよ。おい遊士!いいよな?」
「はあぁぁ!?」
突然何言い晒すんだこいつ!セキュリティと二人!?
「おいおい、なんだよ素っ頓狂な声出して。牛尾さんとは知らない仲でもあるまいし」
どうやら俺と「牛尾さん」は親友らしい。俺はこの人知らないけど。なんだこれ。
「じゃあ俺たちは先行ってるよ。会場で待ってるからな」
「がんばってね遊士!」
ミサキとブルーノはのんきな声でそう言うとD-ホイールに乗って走り去った。
後には俺と「牛尾さん」、そして重い静寂が残った。
ずっと黙ってるわけにもいかないので、俺は恐る恐る「牛尾さん」に話しかける。
「あ、あの…牛尾、さん…?話ってなんでしょうか…?」
距離感が分からないので、慎重に言葉を選んで尋ねる。
それに対し目の前の男は、ゆっくりとこちらを見ると、無表情でこちらに聞き返す。
「来栖遊士…だな…?」
名前の確認?あれ?知り合いじゃなかったの?
やっぱりミサキは後で殴ろう。
それはさておき、とりあえず質問には答える。
「あ…はい…そうですけど…?」
その答えを聞いた男は、
「そうか…」
と満足そうに頷いて、
次いでニヤッと笑って、
機械のような無機質な声で、男が告げる。
『抹殺対象ヲ発見。始末スル。』
「!?」
その言葉の意味を俺が理解するのと同時に、
『オートパイロット、スタンバイ』
突然、D-ホイールのデュエル機能が作動する。
「ま、待て!お前は一体!?」
突然の出来事に、対応が追い付かない俺。
そんな俺を意に介さず、男はライディングデュエルのスタートに着く。
『貴様ヲ、コロス』
『スピードワールド2、セット』
「くそっ!」
俺も仕方なしに、スタートの用意をする。
目の前のディスプレイに表示されるカウントダウンが、刻々と減少していく。
落ち付け。
大丈夫だ。ライディングデュエルの経験なら…一応、ある。
カウントダウンが、始まりをゆっくりと告げる。
3、2、1…
0 ―
二人は同時に、ブォン!とアクセルを吹かし、一気にトップスピードへと駆ける!
「ライディングデュエル、アクセラレーション!」
この瞬間、変わった世界での、俺の最初のデュエルが始まった。
一方。
会場に着いた、ミサキとブルーノ。
「ふー、着いた着いた。…遊士置いてきちゃったけど、大丈夫かな?
あいつ、なんか今朝様子おかしかったし」
それに、ブルーノが答える。
「大丈夫だよ。もし何かあっても、牛尾さんが何とかしてくれるさ。」
「…だよな!」
ははは…と、談笑しながら、ドームに入ろうとするミサキとブルーノ。
その前に、彼が現れた。
「なんだよ、遅かったじゃないか」
その男は、
「え…?牛尾さん?遊士は…?」
目の前にいたのは、さっき会ったはずで、
少なくとも自分たちより先にココに着く訳のない男、牛尾。
驚愕に目を開くミサキとブルーノを、牛尾は不思議そうに見つめながら答える。
「はあ?俺は朝一ここにきてお前らを待ってたんだぞ?遊士に会う訳無いぞ?」
それでも納得できないミサキは、質問を重ねる。
「え…?いや、だって…」
そうして、事の経緯を牛尾に伝えるミサキ。
その話を聞くにつれて、牛尾の表情はどんどんと強張っていく。
そして、ミサキが経緯を伝え終えると、牛尾は深刻そうな顔で告げた。
「そりゃあ、おそらく『ゴースト』だ」
「ゴースト?」
「ああ、最近、D-ホイールの事故が増えてるだろう?その原因が『ゴースト』だ。
俺も実際に見たことは無いんだが、なんでもソリッドビジョンのダメージを実体化させてクラッシュを誘う頭のおかしい連中らしい。
で、その『ゴースト』の姿なんだが…
知り合いに変装して油断させてきた…なんて報告も上がってる。
つまり、そいつが俺の姿をしていたのなら…」
その言葉にミサキは、はっとして目を見開く。
「あいつが『ゴースト』…!だとしたら…!」
ミサキとブルーノは、焦り顔で、今来た道の方向を見て呟く。
「…遊士が、危ない…!」
この状況はなんだ?
目の前には平然とD-ホイールを走らせているミサキ。
そしてブルーノ…とか呼ばれた男。
ミサキは当然親友だから面識がある訳だが、この男の方も、全く見たことがないわけではなかった。
あれは確か何かの雑誌の記事。
「チーム5D’s」の特集で、アシスタントをやっている場面が掲載されていた。
だから全く顔を見たことがないわけでは無い。
無い、が…
(面識がある訳も無いよな…)
その男が、作った覚えも無い俺のチームの一員と言われている理由が、
これっぽっちも思い当たらない。
その他にも、そもそも何でD-ホイール持ってるんだ、とか、WRGPの決勝ってどういうことだ、とか、悶々と考えを募らせていると、突然、ミサキがD-ホイールを停止させた。
俺も慌ててD-ホイールを停止させる。
何があったのかとミサキを見ると、ミサキは道路の前方をじっと見ていた。
俺も釣られてその方向に目を向けると、そこにいたのは、
仁王立ちしているセキュリティ。
途端に冷や汗がどっと噴き出す。
(やばいやばいやばい!何した!?スピード違反!?いやオートだったしっていうかそうだ俺免許とか持ってたっけ?!)
しかし、一瞬にして脳内がパニックに陥った俺をよそに、ミサキはフランクな様子で、
そのセキュリティに話しかけた。
「あれ?牛尾さんじゃん。こんな所で何してるんだ?」
え?知り合いなの?
呆然とする俺を放り、ミサキはその牛尾と呼ばれたセキュリティと会話を続ける。
「ああ、ちょっとお前ら、というか遊士に話があったんだ」
「遊士に?ふーん、何だ?」
俺に用?セキュリティが?やっぱり俺何かしたの?
「ちょっとここじゃ言いにくいな。贅沢を言えば一対一で話したい事だ」
「そっか。じゃあ遊士はここに置いてくよ。おい遊士!いいよな?」
「はあぁぁ!?」
突然何言い晒すんだこいつ!セキュリティと二人!?
「おいおい、なんだよ素っ頓狂な声出して。牛尾さんとは知らない仲でもあるまいし」
どうやら俺と「牛尾さん」は親友らしい。俺はこの人知らないけど。なんだこれ。
「じゃあ俺たちは先行ってるよ。会場で待ってるからな」
「がんばってね遊士!」
ミサキとブルーノはのんきな声でそう言うとD-ホイールに乗って走り去った。
後には俺と「牛尾さん」、そして重い静寂が残った。
ずっと黙ってるわけにもいかないので、俺は恐る恐る「牛尾さん」に話しかける。
「あ、あの…牛尾、さん…?話ってなんでしょうか…?」
距離感が分からないので、慎重に言葉を選んで尋ねる。
それに対し目の前の男は、ゆっくりとこちらを見ると、無表情でこちらに聞き返す。
「来栖遊士…だな…?」
名前の確認?あれ?知り合いじゃなかったの?
やっぱりミサキは後で殴ろう。
それはさておき、とりあえず質問には答える。
「あ…はい…そうですけど…?」
その答えを聞いた男は、
「そうか…」
と満足そうに頷いて、
次いでニヤッと笑って、
機械のような無機質な声で、男が告げる。
『抹殺対象ヲ発見。始末スル。』
「!?」
その言葉の意味を俺が理解するのと同時に、
『オートパイロット、スタンバイ』
突然、D-ホイールのデュエル機能が作動する。
「ま、待て!お前は一体!?」
突然の出来事に、対応が追い付かない俺。
そんな俺を意に介さず、男はライディングデュエルのスタートに着く。
『貴様ヲ、コロス』
『スピードワールド2、セット』
「くそっ!」
俺も仕方なしに、スタートの用意をする。
目の前のディスプレイに表示されるカウントダウンが、刻々と減少していく。
落ち付け。
大丈夫だ。ライディングデュエルの経験なら…一応、ある。
カウントダウンが、始まりをゆっくりと告げる。
3、2、1…
0 ―
二人は同時に、ブォン!とアクセルを吹かし、一気にトップスピードへと駆ける!
「ライディングデュエル、アクセラレーション!」
この瞬間、変わった世界での、俺の最初のデュエルが始まった。
一方。
会場に着いた、ミサキとブルーノ。
「ふー、着いた着いた。…遊士置いてきちゃったけど、大丈夫かな?
あいつ、なんか今朝様子おかしかったし」
それに、ブルーノが答える。
「大丈夫だよ。もし何かあっても、牛尾さんが何とかしてくれるさ。」
「…だよな!」
ははは…と、談笑しながら、ドームに入ろうとするミサキとブルーノ。
その前に、彼が現れた。
「なんだよ、遅かったじゃないか」
その男は、
「え…?牛尾さん?遊士は…?」
目の前にいたのは、さっき会ったはずで、
少なくとも自分たちより先にココに着く訳のない男、牛尾。
驚愕に目を開くミサキとブルーノを、牛尾は不思議そうに見つめながら答える。
「はあ?俺は朝一ここにきてお前らを待ってたんだぞ?遊士に会う訳無いぞ?」
それでも納得できないミサキは、質問を重ねる。
「え…?いや、だって…」
そうして、事の経緯を牛尾に伝えるミサキ。
その話を聞くにつれて、牛尾の表情はどんどんと強張っていく。
そして、ミサキが経緯を伝え終えると、牛尾は深刻そうな顔で告げた。
「そりゃあ、おそらく『ゴースト』だ」
「ゴースト?」
「ああ、最近、D-ホイールの事故が増えてるだろう?その原因が『ゴースト』だ。
俺も実際に見たことは無いんだが、なんでもソリッドビジョンのダメージを実体化させてクラッシュを誘う頭のおかしい連中らしい。
で、その『ゴースト』の姿なんだが…
知り合いに変装して油断させてきた…なんて報告も上がってる。
つまり、そいつが俺の姿をしていたのなら…」
その言葉にミサキは、はっとして目を見開く。
「あいつが『ゴースト』…!だとしたら…!」
ミサキとブルーノは、焦り顔で、今来た道の方向を見て呟く。
「…遊士が、危ない…!」
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