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遊☆戯☆王V☆S(ファイブスター)/Epi36:加速するカウントダウン 作:カズ

〜現在の状況〜
YUMI→LP:1900 手札:2 デッキ:30 Mゾーン:1 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:2
RIN→LP:2600 手札:2 デッキ:31 Mゾーン:2 M・Tゾーン:3 Fゾーン:0 Pゾーン:0
VS
X→LP:4000 手札:3 デッキ:29 Mゾーン:2 M・Tゾーン:2 Fゾーン:1 Pゾーン:0
Y→LP:4000 手札:4 デッキ:32 Mゾーン:0 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:0


Xは先ほどのターン、未知の召喚法「リバースビヨンド」を扱い、遊弥と凛のライフを大きく削り取った。しかもブリザード・アサシンの効果で遊弥と凛は攻撃できない。だが、その間に出来ることだってある。

Turn:7
「私のターン、ドロー!私はエクシーズ・ウィングの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使って、デッキから攻撃力2000以下の『BF-蒼炎のシュラ』を手札に加えるわ。続けて、伏せておいた速攻魔法『RUM-トルネード・フォース』を発動!エクシーズ・ウィングを素材としてランクが1つ上のモンスターに進化させる!漆黒の翼再び交わりて、暴風を巻き起こせ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!!ランク5『BF-スパイラル・ウィング』!!」
ここまで一切の妨害が無かったところを見ると、Yの伏せカードには『神の宣告』や『奈落の落とし穴』は無いとみてよいだろう。単純に攻撃を止めるだけのデッキだとしたら、今彼のデッキは本来の力を発揮できていないはずだ。そう踏んだ凛はターンを進め、スパイラル・ウィングの効果を発動し、デッキから2枚目のゲイルを守備表示で特殊召喚した。これで彼女のフィールドにはBFが3体ちょうど揃った。
「自分フィールドのBFが3体のみの場合、手札から罠カード『デルタ・クロウ-アンチ・リバース』を発動できる!このカードの効果で、相手のセットされた魔法・罠カードを全て破壊する!」
手札からの罠カード、どこからか「インチキ効果もいい加減にしろ!」と聞こえてきそうだが聞き流しておこう。
これでYの厄介な伏せカードたちはどうにか封じ込めたが、遊弥のセットされた『くず鉄のかかし』を一緒に破壊してしまった。凛はそれに対し「ごめんなさい」と謝ったが、デュエルにリスクは付きものだと遊弥はなだめた。
だが破壊できたのはあくまでもセットされたカードのみ。発動されたフィールド魔法まではさすがの凛でも対応出来なかった。凛は効果で手札に加えたシュラを通常召喚し、『黒い旋風』の効果でデッキから『BF-月影のカルート』を手札に加えてターンを終了した。
RIN→LP:2600 手札:3 デッキ:27 Mゾーン:4 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:0

○デルタ・クロウ-アンチ・リバース(通常罠)
自分フィールド上に「BF」と名のついたモンスターが存在する場合に発動できる。相手フィールド上にセットされた魔法・罠カードを全て破壊する。自分フィールド上の「BF」と名のついたモンスターが3体のみの場合、このカードは手札から発動できる。


次はYのターンだったが、彼はドローしてすぐにターンを終了するという、いわゆるドローゴー状態であっさりと終わらせた。

Turn:9
一方で遊弥は、ここまで常に凛に被害を及ぼさないように自分のデュエルをしてきた。だが同時に違和感も覚えていた。
(何だ……?このデュエル、ヤツらは本当に勝つためにやってるのか?そうだとしたらまず先に片方を潰すはずだ。タッグデュエルのセオリーをヤツらが知らないはずがない。おいエビル、聞いてるか?)
ーーあぁ。ひょっとしたらヤツらの狙いは他にありそうだが……無限暗黒竜の可能性が高い。
(……無限暗黒竜を召喚させるように仕向けるっていうのか?)
ーーおそらくな。まぁ、単にお前が召喚しねぇように注意すりゃあいいだけだろうが……XとYから只者じゃねぇ「何か」を感じた。気ぃ引き締めろよ。
(わーってら)

一通りの会話を終え、遊弥はカードを引き、ターンを進めた。
「揺らせ、星屑のペンデュラム!宇宙(そら)に描け流星のアーク!ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから『スターダスト・ソルジャー』と『スターダスト・ヴァルキリー』2体!」
遊弥はフィールドに4体のモンスターを一気に揃え、2体分のヴァルキリーの効果を使い、デッキから『スターダスト・ナイト』と『スターダスト・オーロライーグル』を手札に加えた。そして『スターダスト・ナイト』を召喚し、デッキから『スターダスト・フュージョン』を手札に加えた。
「まずはあのフィールド魔法を何とかする!俺は手札から速攻魔法『スターダスト・サイクロン』を発動!自分フィールドにスターダストモンスターが2体以上存在する場合、相手の魔法・罠カードを2枚まで破壊する!その厄介なフィールド魔法には消えてもらうぞ!!」
銀色の竜巻がフィールドを制圧し、歪んだ空間を吹き飛ばした。その時、現実の竜巻と同等レベルの風が起こった。どうやら実際に発動したカードの効果までこのデュエルでは反映されるようだ。
ようやくリバースの呪縛から解放され、遊弥も本来の力を発揮できるようになった。遊弥はこのデュエルでの鬱憤を晴らすかのごとく自らの切り札を召喚した。
「俺はレベル4のヴァルキリーにレベル4のソルジャーをチューニング!太古より語られし伝説の竜よ、白銀の翼を広げ、世界を呪縛より解放せよ!シンクロ召喚!レベル8『封印竜 ソニック・スター』!!」
さらに遊弥は手札からオーロライーグルを特殊召喚した。今の彼のフィールドにはオーロライーグルと同じレベルのナイトがいる。ということは……
「俺はレベル4のナイトとオーロライーグルでオーバーレイ!無限の宇宙を彷徨いし竜よ、生命の宿る青き星に降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク4『リトルスター・ドラゴン』!!」
遊弥は立て続けにエクシーズ召喚も決めた。そのモンスター効果を使い、エクストラデッキから2体目の『スターダスト・シャイニー・ドラゴン』を守備表示で特殊召喚した。バトルフェイズを行えない今だからこそこれ程の大量展開を可能にしたのだ。
「俺は魔法カード『スターダスト・フュージョン』を発動し、フィールドのハルモニア・トランペッターとヴァルキリーを融合!幼き演奏者よ、星降らす天女と一つになりて偉大なる姿へと昇華せよ!融合召喚!レベル8『スターダスト・クレッシェンド・エンジェル』!!」
最後にバッチリ融合召喚も決めることができた。遊弥はシャイニー・ドラゴンの元々の攻撃力分のライフを回復し、前のターンで受けたダメージを取り戻した。
「そして俺は、カードを2枚伏せてターンエンド!」
YUMI→LP:5200 手札:1 デッキ:26 Mゾーン:4 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:2


Turn:10
今の遊弥の展開を見たXはほくそ笑んでいた。これほどまでの大量展開は逆に好都合だったからだ。
「私のターン、ドロー!」
仕掛けるならココだと思ったXはこのドローで引いた『サイクロン』を発動し、自らの『サイバー・ネットワーク』を破壊した。このカードが破壊されたら除外された特定のモンスターを可能な限り特殊召喚できる効果を持っているが、代償としてバトルフェイズを行えないデメリットがある。
当然、この行為に遊弥と凛は困惑した。自らのカード効果を熟知しているはずの人間が何故わざわざそのようなことをするのか。
だが凛は僅かに見えた口元の動きを見てある程度察した。これもヤツの作戦なのだと。
Xのフィールドにはレベル5の『サイバー・ドラゴン』が2体とレベル4の『サイバー・ドラゴン・ドライ』が復活した。そして彼のフィールドにも同じレベルのモンスターが2体揃った。
「私はこれでターンエンドだ……」
X→LP:4000 手札:3 デッキ:28 Mゾーン:5 M・Tゾーン:0 Fゾーン:1 Pゾーン:0

が、奇妙すぎることに彼はエクシーズ召喚をしてこなかった。プレミとは到底思えないが、この言い知れぬ違和感に遊弥と凛は名状しがたい「何か」を感じ取った。
(まさか……エビルが言ってたのってこれか?)
遊弥はそう思ったが、速攻でエビルから「違う」と否定された。


Turn:11
凛もこの異様な展開に違和感を抱いていた。その違和感の正体を探すためにもう一度フィールドを見渡してみたが、あることに気づいた。
(何……これ?タッグデュエルだからっていうからかもしれないけど、モンスターの展開量と全体攻撃力がいつも以上に高い気がする…。)
いつもならもっとモンスターを戦闘破壊したりしてもおかしくないのだが、満足なバトルが出来ていないためフィールドにモンスターが残り続けている。それに普通ならもう少し破壊系のカードが発動していてもいいはずだ。だが、もしこの展開もXの思惑通りだとしたら……?
同時に彼女は今日の遊弥とほむらのデュエルを思い出していた。遊弥が無限暗黒竜を召喚した時のことだ。

〜〜
「まず1つ目、ブラックホール・スターダストが『エビル・シンクロン』をシンクロ素材とした場合、このカード以外の全てのモンスターを除外する!」
「じょ、除外やと?!せやけど攻撃力0じゃあ、ワイにダメージは与えられへん!」
「2つ目の効果!この効果で除外したモンスター全ての攻撃力と守備力をこのカードに加える!」
〜〜

確かこの効果で……攻撃力が19100になったんだっけ。あと確か……

〜〜
「3つ目!このターン無限暗黒竜は、この効果で除外したモンスターの数だけ攻撃できる!」
「ちゅーことはえっと…19100×7で、え〜っと……トータルダメージ133700やと?!バケモンか!」
「いいや、『エビル・シンクロン』をシンクロ素材としたモンスターが相手に与える戦闘ダメージは倍になるんだ!」
〜〜

凛の全身がビクッ!と震えた。凛は気づいてしまったのだ。この展開が自分たちにとっては危険だということと、遊弥が自らの手で地獄への入り口の一歩手前まで踏み入ってしまったことを。
「わ……私のターン、ドロー……」
凛の声に気力が無くなった。ただでさえ大量展開をしてしまっているのに、これ以上モンスターを召喚してしまえば一層首を絞めることになるのだ。そんな彼女に出来ることは、少しでもモンスターの数とパワーを減らすことだけだった。
「私は疾風のゲイルの効果発動!Xのヘルフレア・スナイパーの攻撃力を半分にする!」
だがその効果はYの『エフェクト・ヴェーラー』によって無効にされてしまった。しかし凛はめげずにシンクロ召喚を行った。
「わ……私は、レベル4の蒼炎のシュラにレベル3の疾風のゲイルをチューニング!漆黒の翼翻し、雷鳴と共に走れ!電光の斬撃!シンクロ召喚!!レベル7『A BF-驟雨のライキリ』!!」
何としてでも遊弥に無限暗黒竜を召喚させまいと必死の彼女はライキリの効果を使ってXのリバースビヨンドモンスター2体を破壊しようと試みたが、またしてもYのヴェーラーに阻害された。だがまだ凛には攻撃権が残っている。凛の3体のモンスターでYにダイレクトアタックを決めればまだ無限暗黒竜召喚を未然に防ぐ可能性はあったからだ。
「バトル!ライキリでYにダイレクトアタック!!」
「フッ……手札から『バトルフェーダー』を特殊召喚!」
左右に大きく振れた鐘がライキリの攻撃を妨げ、ライキリはそのまま後退していく。
バトルフェイズを強制終了されただけでなくモンスターの数も増やしてしまった。
凛は己の無力さに奥歯を噛み締めた。
「くっ……!わ、私はこれでターンエンド……」
RIN→LP:2600 手札:4 デッキ:26 Mゾーン:3 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:0

○バトルフェーダー(Lv1 闇)
悪魔族/効果
攻0/守0
①:相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。



Turn:12
この小娘……間違いなく狙いに気付いたな。ならばもう躊躇う必要もないか。
YはXとコンタクトを取った。
「さて……お前たちに面白いものを見せてやろう……X。」
「了解だ……これから見せるのは、この世界の末路だ……」
そう言い終わると、XとYのデュエルディスクから光が発生し、遊弥と凛に幻覚を見せた。


〜〜
「くっ……!凛、大丈夫か?」
「は、はい……それにしてもここは……空中?しかも私たちの学校みたいですが……」
そこから見えた世界は、平和という言葉とは完全にかけ離れており、辺りが荒廃し、周りの建物も全壊し、遊弥たち6人と、対峙している1人のデュエリスト以外には誰1人として見られなかった。
それだけでも酷かったのだが、遊弥たちの前に立ちはだかっている謎のモンスターが息吹を吐いた瞬間、6体の封印竜は跡形もなく消え去り、封印竜を従えていたそれぞれのデュエリストもまとめて吹っ飛ばされ、全員が再起不能の状態までになっていた。それでも6人は諦めずに立ち上がろうとするも全身ボロボロで、そうするだけの体力は残されていなかった。
そして……この地球は、爆発とともに消滅していった……。
〜〜


今までのビジョンを見た遊弥と凛は、あまりのショックでしばらく息をするのも忘れてしまっていた。まさか自分たちの世界の未来がこのような結末を迎えてしまうとは思わなかったからだ。
「分かったか……これがお前たちが自ら創り出す未来だ。」
Xがそう言うも、2人には未だに受け入れられないのか彼の言葉は耳に入らなかった。だがようやく凛が口を開いた。
「こんなの…こんなの嘘です!あなた達に何でそんなことが……ッ!」
わかるんですか、と言おうとする前、凛は今の遊弥からドス黒いオーラが溢れ出しているのを隣で見てしまい、震え上がった。
「……やはり来たか。Y、藤堂遊弥に電気ショックを与えてやれ。軽くで構わん。」
「了解……さぁ、お前の眠れる怒りを呼び起こし、暴れるがいい……!」
Yの指先からバチバチっと電気が放出され、それが遊弥の脳を刺激した。人の脳には刺激されると闘争本能を目覚めさせる部分がある。そこに外部から電気ショックを与えることで強制的に戦闘モードへと移行させようというのだ。
今の遊弥は既に怒りの感情に流されている。そんな人間に刺激を与えたらどうなるか、答えは簡単。暴走する。
「ぐぁっ…!あぁぁっ…!がっ…!」

ほんのしばらく呻いた後、遊弥は全身の力が抜け落ちたかのごとく動かなかった。だが彼から溢れ出している闇のオーラはどんどん増えている。
「遊弥先輩?!大丈夫ですか?!」
凛が心配して駆け寄るが、遊弥の右手は彼女を拒むように振り払い、遊弥は彼女に対して敵対心を剥き出しにして睨みつけた。
「ヒッ…!ゆ、遊弥先輩……?目が……」
遊弥の目には真っ黒な炎が宿っていた。だがその大きさがはっきりと異なっていた。今までのは希とのデュエルでも見たことがあったが、今回は彼の目からハイライトが見えなくなっているほどだった。
「ククッ……私はこれでターンエンドだ。さぁ、その山札を引くがいい……」
Y→LP:4000 手札:3 デッキ:30 Mゾーン:1 M・Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0


Turn:13
豹変してしまった遊弥を見て、さすがのエビルも動揺せずにはいられなかった。
(おい遊弥!どうしちまったんだ?!)
ーー……ダマレ、ダマレ、ダマレ!ダマレェェェ!!

エビルが呼びかけても全く聞く耳を持たなかった。そこにはもう、皆の知っている遊弥はいない。いるのは……怒りに燃え、我を忘れきってしまった悪魔だった。
「俺ノ……タァァァァン!!!」
漆黒のオーラを纏いながら、彼は力強くドローした。
「『スターダスト・エンジェル』ノペンデュラム効果!1ターンニ1度、自分フィールドノシンクロモンスター1体ノレベルヲ任意ノ数値ニ変更デキル!俺ハ『スターダスト・シャイニー・ドラゴン』ノレベルヲ、12ニスル!!」
これでシャイニー・ドラゴンの効果で、攻撃力は4500に上がった。だがまだ遊弥の猛攻は止まらない。
「『スターダスト・ガール』ノペンデュラム効果!1ターンニ1度、墓地ノモンスター1体ヲデッキに戻シ、ソノモンスターのレベルト同ジ数マデ、俺ノモンスター1体ノレベルヲ変化サセル!!俺ハレベル4ノ『スターダスト・ナイト』ヲデッキニ戻シ、『封印竜 ソニック・スター』ノレベルヲ4ツ上ゲル!!」
これでソニック・スターのレベルも12になり、攻撃力も3600から4000になった。これだけでも十分にダメージを与えられるのだが、本当の狙いは攻撃力の底上げではなくその先にあった。さっき遊弥がドローしたのは、今までの彼のデッキには入っていなかったカード。それを使うことによって、遊弥は破滅の扉をこじ開けることとなった。
「俺ハ、手札カラ魔法カード『インフィニット・ダークマター』ヲ発動!!コノカードハ、コノターン俺ガモンスターノ召喚・特殊召喚ヲ行ッテオラズ、フィールドニモンスターガ7体以上存在スル場合ノミ発動デキル!エクストラデッキカラ『ダークマター』ト名ノツイタシンクロモンスター1体ト、デッキ・マタハ手札カラ闇属性チューナー1体ヲ墓地ヘ送リ、ソレラト合計レベルガ等シイ闇属性シンクロモンスター1体ヲ、シンクロ召喚扱イデ特殊召喚スル!!!」
遊弥はこのカードの効果で『スターダスト・ダークマター・ドラゴン』と『エビル・シンクロン』を墓地へ送った。ここまで来てしまえばもう、今の彼を誰にも止められない……たとえ紅葉が側にいたとしても。それほどまでに今の遊弥には周りが見えなくなっているのだ。
「俺ハ!レベル9ノ『スターダスト・ダークマター・ドラゴン』ト、レベル1ノ『エビル・シンクロン』を墓地ヘ送リ、チューニング!!永遠ノ闇ヲ彷徨イシ竜ヨ、ソノ漆黒ノ翼ハタメカセ、仇ナス者ヲ殲滅セヨ!!シンクロ召喚!!出デヨ、レベル10!究極ノ力秘メシ竜!!『無限暗黒竜ブラックホール・スターダスト』!!!」
ついに出てしまった禁断のモンスター。しかも無限暗黒竜はモンスターが多ければ多いほどに力を増していく、まさにバケモノなのだ。
そんなバケモノの力を、今の暴走した遊弥に受け入れるだけの心のゆとりはなかった。






ビュオオオオッッ!!!!








突然、爆風が凛たちを襲った。辺りの電線が揺れ、住宅の窓ガラスが割れ、植木鉢を吹っ飛ばした。この風は十中八九、遊弥が無限暗黒竜を召喚したことによって起きたものであり、それがあまりにも強力だったので凛もXもYも立つことさえ困難だった。
今まともに立っていられるのは、無限暗黒竜を召喚した遊弥本人だけだった。


あと少しで花奈のいるところまで来ていた紅葉たちの所にまで、無限暗黒竜を召喚した影響が及んでいた。
「…兄さん、今年の台風ってこんな来るの早かった?」
「いや、予報だと東京に来るのはあと1ヶ月は先だったと思うけど……でもこの風……気味悪いな。」
精一と命慈は早すぎる夏の風物詩に違和感を感じていた。2人がそんな会話をしている中、紅葉は全く別の嫌な予感を抱いた。それはアブソリュート・デモンも同じだった。
(ねぇ……これってまさか…?)
ーー紅葉、そのまさかかもしれない。急いで愛人の所に行ってやれ。
(ちょっ?!///遊弥とはまだそんな関係じゃないっつーの!!こんな時にからかわないでよ!)
ーーいいから急げ。あと俺は愛人と言っただけで、それが遊弥だとは一言も言ってないぞ。
(……ムカつく)
紅葉は何とか精一たちに気づかれないように、荒れ狂う風の中、1人で遊弥のもとへ向かった。
(待ってて遊弥!すぐに向かうから!)




場面は変わり、遊弥たちのデュエル。
「無限暗黒竜ガ『エビル・シンクロン』ヲ素材トシテ特殊召喚サレタコトデ、コノカード以外ノモンスター全テヲ除外シ、ソノモンスター全テノ攻撃力ト守備力ヲコノカードニ加エル!!アンリミテッド・ゲイン!!」
この効果で除外したのは合計で13体。それら全ての攻撃力と守備力の合計は……
○攻撃力
4500+4000+2000+3600+2100+2100+2700+3100+1800+2600+2500+1700+0=32700
○守備力
2800+2300+2000+1200+1600+1600+2400+1900+800+2000+2000+800+0=21400

「サラニ!無限暗黒竜ハコノターン、除外シタモンスターノ数マデ攻撃スルコトガデキル!!俺ハコレデ、13回ノ攻撃権ヲ得タ!」
今、彼の頭にあるのは、ただ目の前の敵を完膚なきまでに叩きのめすことだけ。凶暴化した彼を見たXとYは予想もしなかった事態に戸惑った。
「お、おい…軽く電気ショックを与えただけだよな?」
「あ、ああ……だが、予想以上の力だ。これなら呪縛竜復活も……」
Yは今の遊弥に恐れ戦き、次の言葉が出てこなかった。これから遊弥が始めようとしているのは一種の「殺戮ゲーム」。
(こ、これって本当に遊弥先輩……?いつも見てきた人と同一人物と思えない……。何より、今の遊弥先輩、怖い……)
一度闇に堕ちた遊弥を見たことがある凛でさえ、今の彼には恐怖心を抱いていた。こんな時に紅葉先輩がいたら、とも考えたが、そんなことを考えても始まらない。今は自分が何とかしなきゃ!希ちゃんを助けられたんだから、今度も……!
しかし、凛が考えている間にもデュエルに終止符が打たれようとしていた。
「バトルダ!ブラックホール・スターダスト!ヤツラニダイレクトアタック!!全テヲ滅ボセ!エクスティンクション・ソニック!!!」
攻撃力30000をゆうに超えたモンスターの攻撃が、伏せカードもないXとYに迫ってきた。黒く渦巻く破壊光線をダイレクトに受けた2人は、同時に遠くまで吹き飛ばされた。
「「グワァァァーーッッ!!」」
X・Y→LP:0



タッグデュエルには勝利したものの、凛は全く勝った気になれなかった。訳の分からないビジョンを見せられたり、遊弥が前より深い闇に堕ちたりで、13歳の少女では状況の整理に追いつけなかった。だがデュエルが終わったからこれで彼の闇堕ちも終わった……かと思ったが、一向に闇が消えることはなかった。それどころか、どんどん増大している。
「マダダ……マダ…足リナイ!力ガ足リナイ!!」
「遊弥先輩っ!もうデュエルは終わりました!だから正気に戻ってください!!」
凛が呼びかけるも、今の彼に応じることはできなかった。
「次ハ……貴様ダ!!」
逆に仲間であるはずの凛にまでも攻撃対象にしてしまった。もし先ほどの威力の光線を骨格が出来上がっていない彼女がまともに受けてしまえば……確実に死ぬ。
「お願いです!目を覚ましてください!!」
「ダマレ!ヤレ、ブラックホール・スターダスト!!エクスティンクション・ソニック!!」
もうダメだ……!そう思った時だった。
「凛ちゃん!危ないっ!!」
花奈のところに行ってたはずの紅葉が凛を横から突き飛ばし、身代わりとなったのだ。彼女がいくら空手をやっていたとはいえ、攻撃力30000オーバー、しかも現実にダメージを反映させる今の状態で14歳の少女がその攻撃を無防備で喰らったら……
「きゃああぁーーーっ!!」
当然XやYよりも身体の影響は大きく、受け身すら取れなかったため彼女は腕や脚、さらには頭からも出血してしまった。
凛は全力疾走で彼女のもとへ駆け寄り
、涙ながらに語りかけた。
「何で……何で身代わりになったんですか?!本当なら私が……私がっ…!」
「凛ちゃん……あまり自分を責めちゃダメだよ?私が凛ちゃんを守りたかったんだから。それより……遊弥はどう…なってる?」
慌てて遊弥を見てみると……彼は再び苦しんでいた。
「がぁっ…!あぁっ…!」
が、それは闇に操られていた時のものとは違っていた。闇の中にあった本来の遊弥が紅葉を傷つけてしまったのを見てしまい、闇に抗おうとしているのだ。案の定、遊弥の目から漆黒の炎が消え、彼の意識は闇の中へと落ちていった。
そんな彼を見た紅葉は安堵の表情でこう言った。
「よかった……遊弥を…止められた…」
この時、凛は紅葉の想いの強さを感じ取ってしまった。紅葉は暴走した遊弥を止めるために駆けつけ、自分の身代わりになってくれたのだ。自分のことを顧みず、ただただ大好きな人のために身を投げ出した彼女を見て、再び涙を流し、声を荒げながら言った。
「紅葉先輩はもう喋らないでください!今、救急車を呼びましたから!」
「ありがと…凛…ちゃん…」
そして紅葉の意識もまた、闇へと落ちていった……。
5分後、救急車が到着し、遊弥と紅葉は運ばれていった。凛はただ、己の無力さに涙を流すことしかできなかった……。



次回予告(by凛)
ヒック……グスンッ……!遊弥せんぱぁい……紅葉せんぱぁいっ……!何で2人がこんな目に遭わなきゃならないんですか?!もっと私がしっかりしていればこんなことにならなかったのに…!そんな辛い気持ちのまま、私たちは学園長に呼び出された。そこで明かされたのは衝撃の新事実だった……。


次回 Episode37:希望のカード『V☆S』
現在のイイネ数 8
作品イイネ
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ター坊
色んな作品でヒロインが傷ついてるだと!?
結局はX・Yの狙い通りになってしまい、仲間も満身創痍。アニメでは鬱展開になりそうです。
そんな中でも呼び出す鬼畜な学園長。この野郎!紅葉ちゃんも凛ちゃんもボロボロなんだぞ! (2016-02-20 19:02)
カズ
ター坊さん
コメントありがとうございます。
これがヒロインとしての宿命なのか…?!(←違う!)
遊弥も紅葉も病院送りに。そして次回、ようやくタイトル回収……それどころじゃない!

あと、しばらくオリカの投稿が出来てなかったので過去のEpisodeに登場したカードを随時更新していく予定です。
(2016-02-21 14:20)

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5 Episode39:並び立つ盟友 386 2 2016-04-22 -
8 Episode40:精一と彩 452 2 2016-05-30 -
5 Episode41:漆黒の鎮魂歌 373 4 2016-06-22 -
5 Episode42:涅槃の境地へ 373 2 2016-07-02 -
4 Episode43:トワノキズナ 332 3 2016-07-23 -
2 Episode44:銀河と宇宙 350 3 2016-08-09 -
5 Episode45:銀河眼vs宇宙眼 333 0 2016-08-20 -
2 Episode46:絶望の凱旋 265 0 2016-08-24 -
4 Episode47:刻まれた記憶の欠片 259 1 2016-09-06 -
10 Episode48:希望の行方 245 0 2016-09-13 -
4 Episode49:悪夢の決戦前夜 252 0 2016-10-03 -
5 Episode50:創世の星屑竜 245 0 2016-10-25 -
0 Episode51:託された未来 256 0 2016-10-30 -
1 番外編03:遊弥と花奈の... 256 2 2016-11-02 -
3 未投稿オリカ紹介① 280 0 2016-11-09 -
2 未投稿オリカ紹介② 226 0 2016-11-26 -
2 未投稿オリカ紹介③ 267 0 2016-12-08 -
3 未投稿オリカ紹介④ 261 0 2016-12-20 -
6 未投稿オリカ紹介⑤ 215 0 2016-12-30 -
4 Episode52:極寒の夏 192 2 2017-01-01 -
31 Episode53:闇の邂逅 213 2 2017-01-07 -
3 Episode54:呪縛竜復活 180 0 2017-01-11 -
5 Episode55:届かぬ声で... 181 2 2017-01-15 -
2 Episode56:禁忌の目覚め 207 5 2017-01-19 -
3 Episode57:共鳴する四龍 211 4 2017-01-25 -
5 Episode58:本当の気持ち 204 3 2017-01-30 -
4 Episode59:真実への鍵 198 2 2017-02-08 -
4 IF01:バレンタインデー 247 6 2017-02-11 -
1 Episode60:エレンとアレックス 235 3 2017-02-16 -
30 ルール改訂と今後の進行について 340 2 2017-02-18 -
4 Episode61:想いの証 202 5 2017-02-21 -
3 Episode62:茨の道標 237 5 2017-02-27 -
5 Episode63:光と闇の花 187 3 2017-03-20 -
7 Episode64:渇望と葛藤 177 2 2017-03-23 -
5 Episode65:麗しき孤月 150 2 2017-03-29 -
44 Episode66:月夜のイリュージョン 223 2 2017-04-21 -
15 Episode67:常闇に消える月華 293 1 2017-05-05 -
10 Episode68:模索者たち 107 4 2017-07-22 -
12 Episode69:純黒の反逆者 119 0 2017-07-27 -
8 Episode70:紅と黒の禁呪 118 2 2017-08-07 -
7 Episode71:希望は往く 116 3 2017-08-17 -
9 Episode72:リリーの過去 103 2 2017-08-24 -
5 Episode73:異次元の亡霊 96 2 2017-09-13 -
4 Episode74:覚醒の鼓動 91 3 2017-09-22 -
5 Episode75:挑戦者の儀 96 0 2017-10-05 -
4 Episode76:神速の決闘 66 2 2017-11-14 -

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