第４羽　そしてハーレムは始まらない　作：ハカラメ

その日の夜、蟲惑魔たちの家では...


にん人「・・・」

にん人「・・・チクショウ...何で俺がこんな目に...」


にん人「オイィィ！！ 俺をこの犬小屋から出せえェェェ！！！」



ティオ「トリオンさん、外が騒がしいですよ」
トリオン「もう、あんまり騒ぐとご近所迷惑だからやめてって言ったのに...」
アトラ「なぁ、あそこまですることなかったんじゃないか？」
トリオン「駄目だよアトラちゃん！ ちゃんと繋いでおかないと逃げちゃうでしょ！？」
フレシア「で、でもほら、せめて家の中に入れてあげても...」
トリオン「それはもっとダメぇ！ ティオちゃん盗られちゃう！！」
アトラ「それはないと思うが...（ずっとトリオンが張り付いてるから盗りようもないし...）」
トリオン「ティオちゃんも気をつけなきゃ駄目だよ、男はみんなオ○パイ大好きなケダモノなんだから！！」
ティオ「ケダ・・・モノ？」
アトラ「おいティオに変なこと吹き込むなよ！」


カズーラ「でも確かに、いきなり男の人と一緒に暮らすのは、ちょっと嫌ねぇ～」
アトラ（そもそも人参に性別なんてあるのか...？）
アトラ「まぁ、カズーラの言うことにも一理あるな...」
フレシア「確かにそうね...」
アトラ「とりあえず様子見ってことで、しばらくは犬小屋でいいんじゃないかな」
フレシア「・・・分かったわ。そうしましょうか」


トリオン「そんな事より！ もうあたしお腹ペコペコだよ～フレ姉ご飯作って～！！」
カズーラ「私もお腹空いたわ～」
ティオ「実は...私も///」ﾎﾟｯ
アトラ「お前らさっきいっぱい人参食っただろ...」
トリオン「だってだって！ 人参とフレ姉が作ったご飯は別腹なんだもん！！」
アトラ「なんだその理屈」

グ～～～...

アトラ「！？」
トリオン「あれ、今、アトラちゃんのお腹が鳴っｔ」
アトラ「な、ななな鳴ってねぇし！ べべ別にお腹なんか空いてないしィ！！」
カズーラ「素直じゃないわね～ｳﾌﾌ」
トリオン「そっか、アトラちゃんさっき人参食べてなかったもんね...」

トリオン「じゃあフレ姉！ アトラちゃんのために、人参いっぱい入れたシチュー作って！！」
アトラ「いやいやいや！ 別に人参が食べたいわけじゃなくて...」
フレシア「分かったわ！ お姉ちゃんに、任せなさ～い！！」ﾊﾞｰﾝ！
アトラ「嫌あああぁぁぁ！！！」


ﾜｲﾜｲ、ｶﾞﾔｶﾞﾔ



にん人「・・・あー完全に聞こえてないなコレ...」

にん人「いやさ、俺も一瞬考えたよ。あんな可愛い子たちに連れて行かれてさ、もしかしたらこれってハーレムなんじゃないかってさ...」

にん人「いやもう腕とか食われた時点でこうなることは何となく予想は出来たけどさ、夢見ちゃうじゃんか、だって男だもん...」

にん人「今完全に鎖と首輪で繋がれちゃってるけどさ、こういう状況になって初めて気づいたよ」

にん人「こういうハーレムの形も、アリかな・・・って...」

にん人「・・・」













にん人「...んなわけねぇだろうがバカヤロオオオォォォ！！！」ｽﾞﾊﾞｰﾝ


にん人「オイコラぁ！ せめて家の中に入れてくれよぉ！！ 結構この季節でも夜は冷えるんだよおォォォ！！！」


ｶﾞﾁｬｯ

にん人「！」

フレシア「...大丈夫ですか、にん人さん」
にん人「...なんだ、アンタか」

フレシア「ごめんなさいね。私の方からにん人さんをお誘いしたのに、こんな事になってしまって...」
にん人「アンタまで食いだした時は流石にドン引きしたけどな」
フレシア「あの時はバレないようにするのが精一杯で...それに、結構美味しかったですし...」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ...
にん人「...まぁ、その事はひとまず置いておくとして...」


にん人「何でこんな回りくどいことをしてまで、俺をここに連れてきたんだ？」

フレシア「それは...」



～ ～ ～ ～ ～ ～ ～ ～ ～ ～ ～ ～ ～ ～ ～



にん人「・・・なるほどな。この荒れ果てた森を活性化させたいと」

フレシア「はい。そのためには、あなたのような人の力が必要なんです。お願いします！」

にん人「...頭なんか下げないでくれ。俺はそんな大層な人参じゃない」

にん人「それに・・・アンタは俺を助けてくれた。ここで断ったら、俺は本当の負け犬になっちまう...」

フレシア「それじゃあ...！」


にん人「俺に任せろ。今までの経験とスキルを全部使って、この森を最高のステージにプロデュースしてやる！！」


フレシア「あっ、ありがとうございます！」
にん人「だから、礼なんかいらないって」
フレシア「あと、どうかこの事はあの子たちには内密に...あの子たちは、外から来た人たちに苦手意識があるので...」
にん人「あぁ、だから『拾った』なんて嘘ついて俺を連れてきたって訳か」
フレシア「えぇ。あの子たちも本当はみんないい子なんです。今日のことはどうか...」
にん人「・・・まぁ、あれは突発的な事故みたいなものだと信じたいが...今後はあぁいう事はナシってことで...」

フレシア「もちろんです！ これからよろしくお願いしますね、にん人さん」ﾆｺｯ

にん人「！」ﾄﾞｷｯ

にん人（さっきは思いっきり胴体をムシャムシャ食われたけど、実は意外とまともで可愛い人なのかも...！？）

にん人（や、やっぱりこれって、ハ、ハーレｍ）



フレシア「それであの～、また１つご相談がありまして～...」
にん人「ん、何だ？」
フレシア「実はその～、シチューに入れる材料を、１つ買い忘れてしまって...」
にん人「何買い忘れたんだ？ なんなら俺が買い出しに...」


フレシア「実は、『ニンジン』を買い忘れてしまって...」

にん人「・・・ウェ？」



ｼﾞﾘ...ｼﾞﾘ...

にん人「ちょ、ちょっとフレシアさん？ な、何でちょっとずつ近づいて来てるんだ！？ おい、その手にもった鎌はなんだ！？」

フレシア「美味しいニンジンが食べられれば、みんな喜ぶし...それに何より食費が浮くし...」ｼﾞﾘ...ｼﾞﾘ...

にん人「いやいやちょっと待て！ さっきああいう事はナシで、って言ったじゃん！ そしたらうんって言ったじゃん！？」

フレシア「大丈夫ですよ...ほら、グローアップ・バルブもこんなに採ってきましたし...」ｼﾞﾘｼﾞﾘ...


にん人「だからぁ！ リザレクション出来るのは１日１回までだって言った...って、あれ、フレシアさん目がヤバいっす。もう完全に獲物を狩るライオンの眼に...」




フレシア「それじゃあ１本収穫しまーーすっﾋｬｯﾊｰｯ！！！」ｽﾞﾊﾞｯ

にん人「ギ ャアアアァァァ！！！やっぱり全然まともじゃなかったあああぁぁぁｧｧｧ！！！」






こうして、蟲惑魔たちとにん人（奴隷）の、不思議な共同生活が始まったのでした...














トリオン「今日のシチュー美味しかったね、ティオちゃん！」
ティオ「トリオンさんは食べ過ぎでしたよ。あんなに食べたら太っちゃいますよ」
トリオン「大丈夫！ 私、太らない体質だから！」
ティオ「羨ましいですね...」


トリオン「そうだ。にん人さんの事、『長老』に知らせなきゃね」
ティオ「そうですね」
トリオン「よ～し、明日はみんなで『長老』の所に行こう、ティオちゃん！」
ティオ「はい、トリオンさん！」






第５羽に続く