第３９話　初日　「師弟」ＶＳ「盟友」①　作：白金　将

～一回戦　死闘場～

ｶﾞﾔｶﾞﾔ
ﾜｰﾜｰ

吹き矢兵「丁度始まるところだな」
賢者「間に合ってよかったぁ」
賢者「あ、剣士が出てきた」

剣士「……」
訓練生「……」

賢者「緊張してるのかしら」
吹き矢兵「集中してるんだよ。あいつはいつも通りだ」
賢者「そうだといいんだけど……」
賢者（剣士の試合はやっぱり見慣れないわね……）

弩級隊隊長「これから、剣士＆訓練生　対　スカウト黄青　の試合を行う！」
格闘戦士「正々堂々と勝負すること。――始め！」

ｷﾞｬｰ　ﾋｭｰﾋｭｰ　ｶﾞﾔｶﾞﾔ
ﾜｰﾜｰ　ｶﾞﾀｶﾞﾀ

賢者「本当にすごい人だかりね……あ、動き始めたわ」



剣士「行くぞ！」ﾀｯﾀｯ
剣士「とおりゃぁぁ！」ﾌﾞﾝｯ

ｶﾞﾝｯ

スカ黄（な、何とか抑えられたけど……やっぱり剣士さんの力は強い……！）
スカ黄「今だよ！」
スカ青「了解」ｼｭﾊﾟｯ

剣士「おっと」ﾋｮｲ
剣士「成程、そう言う事だな」
訓練生「次は私が行きます！」
剣士「援護する！」

スカ黄「こっちからも仕掛けるよ！」
スカ黄「この動きを見切れるかな……！」
訓練生「……！」
訓練生（は、早い……思った以上に狙いが……）
スカ黄「ていっ！」ﾌﾞﾝｯ

ｺﾝｯ

訓練生「あ……」
格闘戦士「一本！」



吹き矢兵「スカウトたちの動きは素早いな」ﾓｸﾞﾓｸﾞ
賢者「早速訓練生ちゃんがやられちゃった……あと二回残ってるけど彼女も辛そうね」
吹き矢兵「なあに、訓練生は彼女の妹さんだ」
吹き矢兵「戦いの中で物を学び、それを体で覚えていく……それが訓練生の才能だよ」
賢者「戦いの中で、ね……」
賢者「そう言えば、お姉さんもそんな人だったわね……」

女戦士「訓練生ちゃんのあんな必死そうな顔初めて見たなー」
射手「なんたって本番だからなんだし」ﾊﾟｸﾊﾟｸ
女戦士「そのマドルチェクッキー少し分けて―」
射手「仕方無いんだし」
射手「はい」
女戦士「やったー！」



剣士「慌てるな。勝負はまだ始まったばかりだ」
訓練生「は、はい！」
スカ黄「とりゃとりゃとりゃああああ！」
剣士「温いわ！」ｶﾞﾝｯ
スカ黄「きゃっ……」
スカ黄（剣ごと弾き飛ばされた……！）

剣士「今だぁ！」
ｺﾞﾝｯ
スカ黄「ひゃっ」
弩級隊隊長「一本！」
スカ黄「ううっ」
スカ青「次」

スカ青（障害物の陰から……）
スカ青「……」ｼｭﾊﾟｯ
訓練生「きゃっ」
訓練生（危なかった……）
剣士（成程、先に訓練生を潰してから来るつもりだな……）



女王「あなたはこの戦況、どう見る？」
聖戦士「立場的に私はどちらかを支持は出来ません」
女王「堅苦しいこと言わなくていいじゃない。この特等席には二人しかいないんだし」
聖戦士「……」
聖戦士「……勘でもよろしければ、剣士と訓練生が勝るかと」
女王「フーン……何か根拠はあるんでしょ？」
聖戦士「スカウトたちはまだ青いですから」
聖戦士「それに、剣士は敵が強ければ強い程力を発揮するタイプ……」
女王「貴女と一緒に見てるとやっぱり楽しいわね」
女王「……飲み物が無くなったから持ってきてくれないかしら」
聖戦士「わかりました」



～昼　死闘場前の屋台～
調理師「ん、聖戦士か」
聖戦士「酒が無くなってしまってな」
調理師「ほれ、持っていきな」ﾄﾞﾝｯ
調理師「しかし、女王様は昼から飲んでも大丈夫なのかい？」
聖戦士「女王はアマゾネス一の豪酒ですから」
聖戦士（昨日は酔い潰されたきり何も覚えてない……迂闊だった）
調理師「大変だなぁ」
聖戦士「そうでもないですよ。それじゃ、そろそろ」
調理師「おう」
調理師（……吹き矢兵や格闘戦士より飲むのかよ）