第144話　響け！仲間を想う歌　作：ター坊

~権現坂サイド~

うぬぬ…。ハートランド…強い。

権現坂:LP 3400　手札２枚
『超重武者ジシャ-Q』×２守備表示
『超重武者ビックベン-K』守備表示

柚子:LP 4000　手札３枚

『幻奏の音姫プレディジー･モーツァルト』攻撃表示
『幻奏の音女アリア』守備表示

ハートランド:LP 9200　手札４枚

『ハートン』『ハートマト』『ハートランドール』『ハートンボ』攻撃表示
フィールド魔法『ランドパワー』
セットカード１枚


こちらが守備を固めても相手のハートモンスターはそれを無視して直接攻撃を行ってくる。また、こちらが仕掛けても攻撃を避けられ、奴には一太刀もダメージを与えられないでいる。
このまま長引けばこちらの敗北は必定！…何か光明は……。



~遊矢サイド~

俺はあの人形劇みたいに、また大切な仲間を傷付けてしまうのか？ロジェに操られたとはいえ俺はシンクロ次元の人達に酷いことをした、権現坂や柚子、零羅や月影、色んな仲間を傷付けた…。俺は、俺は…


ﾊﾟｼﾝ
えっ…？
「ユイ…さん？」
「遊矢。悩んでるなら、応援してやったらどうだ？」
「え？」
「お前の話は少し聞いたことあるけどさ。あんなの見せられたら、ぶり返して落ち込むのも無理ないと思う。けどさ」
「けど…？」
「謝ったりして許してもらったんだろ？ならそれで良いじゃないか」
「でも…」
「仲間が良いって言うなら良いじゃないか。…それでも自分が許せないなら…」
「許せないなら？」
「迷惑掛けた分、何か仲間の為になることをすれば良いと思う」
「仲間の為に何かを…する？」
「そっ。権現坂と柚子がお前の為に戦ってる。今、お前が二人の為にすることは落ち込むことか？」
…そう……だよな。俺はユイさんの言葉に応えるように首を横に振る。
「柚子！権現坂！！頑張れぇ！」



~柚子サイド~

遊矢…！
「…権現坂。私、遊矢の為に絶対勝ちたい」
「俺も同じ気持ちだ！そして友の声援を得た今、百人力、いや、千人力を得た気分だ！！」
「私もよ！」
「ふぅ。全く安い芝居ですね。この状況覆せるとでも？」
「私たちはあなたなんかに絶対負けない！権現坂！」
「応！俺のターン、ドロー！俺の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合、手札からチューナーモンスター『超重武者ホラガ-E』を特殊召喚できる！」
「チューナーモンスター…。まさか！」
「俺はレベル4のジシャ-Qにレベル2のホラガ-Eをチューニング！雄叫び上げよ。神々しき鬼よ！見参せよ。悪の根城に！シンクロ召喚！いざ出陣！レベル6！『超重神鬼シュテンドウ−Ｇ』！！」
「話には聞いていましたが、これがシンクロ召喚！！」
「シュテンドウ-Gの効果発動！これにより相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する！」
「うぬぬ！タダではやられません！罠カード発動『ハートバーニング！！』これにより、ハートモンスター全てを守備表示に変更して変更されたモンスターのレベルの合計×300LP回復します！これで私は3600回復！」
だけど、これで厄介な『ランドパワー』の効果が無くなってハートモンスター達に攻撃できる！
「さらに俺は手札から『超重武者装留イワトオシ』をビックベン-Kに装備！これで貫通効果を得る！バトルだ！行けぇぇ！ビックベン-Kで『ハートンボ』を攻撃！」

超重武者ビックベン-K DEF(=ATK) 3500 VS ハートンボ DEF 300

「ぬおおぉぉ！」
「さらにジシャ-Qとシュテンドウ-Gで残りのハートモンスターに攻撃だ！」

超重神鬼シュテンドウ-G DEF(=ATK) 2500 VS ハートン DEF 1000

超重武者ジシャ-Q DEF(=ATK) 1900 VS ハートマト DEF 500

「俺はこれでターンエンド！」

権現坂:LP 3400
柚子:LP 4000
ハートランド:LP 9600

「私のターン、ドロー！私はプレディジー･モーツァルトの効果で『幻奏の音女ソナタ』を特殊召喚！魔法カード『融合』を発動！これでフィールドのアリアと手札の『幻奏の音姫ローリイット･フランソワ』を融合！奏者の俊英よ、流れる旋律よ、タクトの導きにより力重ねよ。融合召喚！今こそ舞台に情熱の歌を！『幻奏の華歌聖ブルーム・プリマ』！！」
「な、なんと！」
「ブルーム･プリマは融合素材の数１体につき、攻撃力が300アップするわ！私が使った素材は２体、よって攻撃力は2500、ソナタの効果でさらに上がって3000になるわ。まずはソナタで攻撃！」

幻奏の音女ソナタ ATK 1700 VS ハートランドール DEF 700

「ブルーム･プリマは２回攻撃ができる！行って！」

幻奏の華歌聖ブルーム･プリマ ATK 3000 ×2　直接攻撃

「グアアアァァ！」
「さらにプレディジー･モーツァルトでダイレクトアタック！」
「それはいけませんねぇ！手札から『ハートランドルフィン』の効果発動！直接攻撃を受ける際、このカードが受けてたちます！」

幻奏の音姫プレディジー･モーツァルト ATK 3100 VS ハートランドルフィン DEF 1200

「惜しい！」
「ふぅ。危ない危ない。冷や汗をかきましたよ。この効果で特殊召喚した『ハートランドルフィン』は除外されます」
「私はこれでターンエンド！」

権現坂:LP 3400
柚子:LP 4000
ハートランド:LP 3600

形勢は一気に傾いた。あと少しで…
「フッフッフ…。まだまだですねぇ」
「え？」
「ここまでは座興ですよ。そろそろ本番と行きましょうか！私のターン、ドロー！！私は魔法カード『エクシーズ･ダブル･トライアングル』を発動！これで私は手札･墓地･除外カードから同じレベルのモンスターをそのレベルを倍にして特殊召喚しその３体でエクシーズ召喚を行います！これで私は除外カードからレベル４の『ハートランドルフィン』、墓地から『ハートマト』、手札から２体目の『ハートマト』を特殊召喚する！」
レベルは倍になるから8、
「私はレベル8となったモンスター３体でオーバーレイ！モンスター３体でオーバーレイネットワークを構築！エクシーズ召喚！現れろ、No.1！ダークな羽音がファンタスティックに木霊するアメージングなハエの王、インフェクション・バアル・ゼブル！」
「このカードは…」
「ご安心ください。『エクシーズ･ダブル･トライアングル』で特殊召喚されたエクシーズモンスターの効果は無効化され攻撃力も０になります。で･す･が！」
大袈裟に一回転したあと変なポーズを決める。
「このカードによって私は勝ちましょう！『RUM-カオスエンド･フォース』！これによりランクがひとつ上のエクシーズモンスターに変わります！」
「な、なんだと！」
「私はインフェクション･バアル･ゼブルを素材にオーバーレイ！ランク8モンスターでオーバーレイネットワークを再構築！原初にして至高の王よ。今こそ全てを蹂躙する力を以て世界を支配せよ！『CNo.1覇道蠅帝ゼブリオン』！」
巨大なハエの化け物が耳障りな羽音を立てながら宙を浮く。…ソリッドビジョンとはいえ生理的に受け付けられない。
「ゼブリオンの元々の攻撃力はオーバーレイユニットとなっているモンスターの攻撃力･守備力のうち、高い方を合計した数値になります。『ハートマト』の攻撃力1500２体分、『ハートランドルフィン』の守備力1200、インフェクション･バアル･ゼブルの攻撃力3000。よって合計は7200になりますよ！」
「くっ！」
そんな…攻撃力7200なんて。
「さらにゼブリオンの効果発動。エクシーズ召喚に成功したことで相手フィールドの特殊召喚されたモンスター全てをオーバーレイユニットとして加えます！」
「え！」
私と権現坂のモンスター達は小さな光の球となってゼブリオンの元へと飛んでいく。
「これで貴殿方のモンスターの能力も頂きますよ？」
攻撃力はみるみる上昇していき、攻撃力は…
「16400…！」
「更にゼブリオンの効果発動。オーバーレイユニットを消費して相手フィールドで最も攻撃力が高いモンスターを新しいオーバーレイユニットとして加えます！」
「そんな…！私のプレディジー･モーツァルトが……」
「新たに加えたモンスターの攻撃力を吸収したことで攻撃力は17800！みなぎるぅぅ！」
「おのれ…！」
「さぁバトルです！ジシャ-Qはモンスターへの攻撃を防ぐのみ！よってまずは柊柚子にダイレクトアタック！」
私には対抗策が…！
「俺は手札から『超重武者タイマ-2』を墓地に送り、効果発動！これによりゼブリオンの攻撃対象を柚子からジシャ-Qに変更する！」
「権現坂！」
「これでこのターンは生き残って反撃のチャンスが」
「それはどうですかね？ゼブリオンは守備表示モンスターとバトルする時、攻撃表示に変更しますよ！」
「そんな！権現坂！」
「柚子！すまんが俺はここまでだ！あとは任せたぞ！！」

CNo.1覇道蠅帝ゼブリオン ATK 17800 VS 超重武者ジシャ-Q ATK 900

「ぬわああぁぁ！」
「まぁ良いでしょう。私のターンはこれでエンドです」

権現坂:脱落
柚子:LP 4000
ハートランド:LP 3600

「私のターン…」
指が震える…。頭では勝てないって諦めてるかも知れない。
「柚子…。お前のデッキを信じるのだ…！」
「権現坂！」
吹っ飛ばされて倒れてた権現坂がよろけながらも体を起こした。
「柚子！」
「遊矢？」
「柚子のデュエルで俺はまた立ち直ることが出来た。だから、柚子のデュエル、エンタメデュエルをもっと見せてくれ！」
「遊矢…」
「エンタメ？何を言う出すかと思えば…。この状況で」
自然とやれそうな気がしてきた。……そう言えば小鳥も言ってたよね。私も使っていいかな。
「お楽しみは、これからよ！かっとビングよ、私！ドロー！！」
「なっ！？かっとビング！思い出しただけでも虫酸が走る言葉だ！」

ｼｭﾋﾞｯ…

…貴女も力を貸してくれるのね。
「私は魔法カード『融合回収』を発動！これで墓地から『融合』と融合素材として使用した『幻奏の音姫ローリイット･フランソワ』を手札に加えるわ！さらに…」
行くよ、真澄。
「『クリスタル･ローズ』を召喚！効果を発動してデッキから『幻奏の音女アリア』を墓地に送って同名のカードとして扱う！そして『融合』を発動！これで手札のローリイット･フランソワとカード名がアリアになった『クリスタル･ローズ』を融合！奏者の俊英よ！水晶の薔薇よ！タクトの導きにより力重ねよ！融合召喚！今こそ舞台に勝利の歌を！『幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ』！！」
「何を出すと思えばたかが攻撃力は1000。なんてことはありませんねぇ」
「それはどうかしら？」
「何？」
「ブルーム･ディーヴァのバトルによって発生する自分へのダメージは0になってダメージ計算終了後にバトルしたモンスター同士の元々の攻撃力の差分のダメージを相手に与えるわ」
「ゼブリオンの攻撃力は17800…。バトルが成立してしまったら！待ちなさい柊柚子！取引をしようじゃないか！」
「あなたは遊矢に酷いことをした…。権現坂だって…。仲間を傷つけたあなたを絶対に許さないんだから！バトルよ！リフレクト･シャウト！！」

幻奏の華歌聖ブルーム･ディーヴァ ATK 1000 VS CNo.1覇道蠅帝ゼブリオン ATK 17800


「そんなば、バカなああぁぁ！！」