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HOME > 遊戯王SS一覧 > 決闘における波動関数の存在

決闘における波動関数の存在 作:雷音@菅野獅龍

<注意>
 このssにはSF要素を含んだかなりアホらしい成分が含まれております。
 また遊戯王に直接的な関連性はございません。デュエル描写も殆どありません。
 その様な内容に了承してくださる方のみ、ご覧になってください。










 僕は今、かなりやばい状況に陥っている。
 といっても、別に試験がどうとか、拷問にあっているとか、そういうリアルな意味でのやばいという事ではない。いや、正確には、リアル(現実)の話ではあるが、そういった精神的・肉体的にやばいという事ではないといった所だ。
 僕は遊戯王という、今や国際的に人気沸騰中のトレーディング・カードゲームの大会――といっても小さな規模ではあるが――に出ている。そこで僕は、持ち前のアニメの主人公の如き運の強さと、自分で言うのもなんだが完璧なプレイングで決勝戦までのし上がって来た。
 そんな僕が使うデッキはギャンブルカードをふんだんに混ぜた【アルカナフォース】。運の強い僕にはぴったりで、使えばほぼ良い方の目が出る位であった。【ファーニマル】だとか、【M・HERO】だとか、皆は強すぎるだの何だの言うけど、僕にかかればちょちょいのちょい、お茶の子さいさい、赤子の手を捻り切るより容易かった。
――だというのに、この状況は一体如何した事だろう。僕は何度も自問自答した。
 LPは此方が勝っている。あちらは1000ほどしかないが、此方はまだ3000も残っている。だが如何した事だ。勝てる気が一切しない。その理由は、フィールド上にあった。
 理由その一。それはショック・ルーラーの存在。これにより既に僕は「魔法カードの発動」を禁じられている。手札にブラック・ホールやハーピィの羽箒がありはせど、一切その類の恩恵をこのターン使用することはできない。しかし、僕の手札には相手フィールド上のカードを一掃する効果を持った時の魔術師が存在している。普通ならば、何も躊躇する事無く、これを召喚しただろう。
 理由その二。自分フィールド上にアルカナフォース・THE EMPERORが存在する事。時の魔術師のデメリットとして、失敗すれば自分フィールド上のモンスターを全て持っていってしまう上、自分にダメージを与えるという効果がある。自分の今のライフは3000。自滅すれば、次のターンにショック・ルーラーで終わらされる。
 理由その三。時の魔術師以外での打開策が存在しない事。手札には今ドローした激流葬があるが、これは相手か自分のモンスターの召喚時に発動する効果の罠カード。つまり、このターン伏せても相手の次のターンに罠を無効にされた上、大量展開されれば終わりと言う事だ。
【EM】の展開力を侮っていた。僕はその事に痛感していた。どんなデッキもギャンブルで勝てると、相手の戦力を見誤ったのがこの状況の原因だった。
 理由その四。極めつけは、相手の魔法&罠ゾーンにカードが1枚セットされている事だった。
 鼓動が耳元で起きているかのようだった。カードを握る掌は汗で大洪水だし、脳みそはまるでとち狂ったように働く事を放棄していた。喉が潤っていないのか息をするのも億劫だった。
 勝てないという恐怖が全身に襲い掛かってきた。もしかしたらあのカードは、今時分が思っている様なカードじゃないかもしれない。ブラフでハーピィの羽箒でも伏せているのかもしれない。サイクロンかもしれない。或いは意味の無い装備魔法か何かだろうか? そうだと言ってくれ!
「あの、まだですか。もう時間無いですよ」
 相手の言葉に、脳みそが活性化する。その声の返事としてタイマーを見ると、既に残り時間がもう僅かだという事を知った。
 焦りが焦りを呼ぶ。もうサレンダーしてもいいかもしれないという妥協を生む。思考が堂々巡りになっている事に気づけない。心がどんどん負の深淵に落ちていくのがわかる。
――覚悟を決めよう。
 どの道、サレンダーするなら圧倒的敗北感の中の方がいいだろう。そう思うと、不思議と心が安らいでいった。しかし安息の時間は無い。残り30秒で全てを終わらす。
「はい、じゃあ、時の魔術師を召喚します。何かありますか?」
 安息が再度鼓動を鳴らす。耳元で大太鼓が鳴っている。相手は手札と場を確認する。
そして一言、「いえ、どうぞ」と言った。
 瞬間、もう優勝した様な気分になった。負の極致が一瞬にして正の存在に変わる。後戻りは出来ない。僕は効果を使用する事を宣言する。相手は何のアクションもしないと言う。僕は高ぶった気分のまま、コインを取ると、高々とコイントスを行った。



――し、まった。

 勝利の高ぶりが一瞬で収まった。代わりに久しぶりとでも言う様に絶望が全身に走った。
 コインを手の甲に伏せようとした瞬間、ちらりとその隙間から見えてしまったのだ。コインが裏を向く瞬間に。
 全身から嫌な汗が大量に分泌してきた。さっきの絶望と違い、今度は血の気がまったく沸いてこない。終わったという絶望感が付きまとう。
 コインを見せないと。だが、そうしたら負けてしまう。
 もしかしたら勘違いかもしれないと思って掌を開けてみるか? いや、そんなことは無い。感覚が、これは失敗であるという警告を鳴らしている。長年の勘が、自分は負けであるという事を示している。



  本当に、そうだろうか。



 量子力学というものを、何処かで見た気がする。確か、粒子という物の研究をする学問だったろうか。別にどうでもいい。論点はそこじゃない。確か量子力学には、粒子は観測された瞬間にその位置を決定する、という解釈の方法があると言っていた。
 量子力学は宇宙法則を雪だるま式で理解しようとした結果と言っていた様な気がする。論点はそこじゃない。雪だるま式とはつまり小さなものが順々にくっついていき大きくなる事。宇宙というものが素粒子から出来ているのならば宇宙も素粒子の法則に従うであろうという考え。つまり、それは逆説も是という事である。

 さて、ならば簡単な事だ。
 ぼ――いや、俺は今、本当にコインの裏表を観測したか?

 した様な気がする。という事は、したと考えて相違ない。その観測結果が「裏」と観測された。即ちそれは、波動関数が「裏」を示して収縮したと考えられる。
 素粒子が俺の観測時に「裏」の結果を精製したとするなら、つまりこの世界すらもこの存在の上の面を「裏」と認識している事になる。と言うことは、宇宙全体がこれを「裏」と観測した事と同じである。
 だとすると、とてもじゃないが分が悪い。このコインには宇宙全体の「これは裏である」という思いが篭っている。人間という微小なる物体がこれを覆す事は普通は無理だ。
 だが良く考えて欲しい。何故宇宙がこのコインの表裏を観測できたか。それは俺が「観測」を行った故である。逆を言うなら、俺が観測しなければ、まだ宇宙はこのコインの表裏の観測ができず、このコインの素粒子は表裏を精製できず、波動関数はまだ拡散したままであった。
 観測というのは、即ち自分がこの目でこれを見ること、見て視認する事、理解する事である。理解というのは、それを頭に記憶させ、その意味を脳内のあらゆる事象・言語を使って表現する事である。脳に記憶させるという事はそれは即ち記憶・記録である。

 もしかしたら、この記録を消せばこのコインの表裏はもう一度拡散するのではなかろうか?

 普通に考えれば馬鹿なことだろう。しかし俺は何処か直感の様なもので、この考えは正解であるという結論を得ていた。
 俺が記録したものを無に消せば、その瞬間雪だるま式に宇宙の観測結果も失われるのではなかろうか。寧ろ、記録が消えるという事はある意味での人格変換なのだから、違う宇宙に転送される可能性もある。同座標同時間のこの場所に。違う宇宙の、まだ観測を終わらせていない世界に行くのではなかろうか。
 やる事は決まったとばかりに俺は息を吐く。
 そして思いっきり、床に向かって頭を打ち付けた。






 痛い。頭が痛い。何故痛いのかよく判らないが痛い。どうして僕がこんなにも痛いのかわからない。とても痛くて泣きそうだ。
 皆が驚いている。僕の顔を色々な顔で見ていた。
 目の間を何かが垂れてきた。それを手に取る。それは血だった。成程、血が出る位に強く頭を打ち付けたらしい。
 テーブルを見ると、相手が驚きながら笑っていた。審判の人が「大丈夫かい」と訊ねてきた。僕は「はい、大丈夫です」とその頭を撫でる。審判の人は少し変な顔をして撫でられたままになった。
 自分の場には時の魔術師とアルカナフォース―THE EMPERORが僕の顔を心配そうに見ている。それにも「大丈夫だよ」と言って彼らを和ませる。
 ふと手の甲を見ると、手で何かを押さえていた。成程。僕はコイントスをして、その時に何かの拍子に頭を打ったのか。
「馬鹿だなあ、何をしているんだ」もう一つの頭がそう言ってきた。
「煩いな、まだ時間はあるの?」僕はそう言って、タイマーを見る。タイマーにはあとⅫ秒と書かれていた。驚いて僕は手の甲のコインを見た。



 コインは表を向いていた。





 僕と、僕のもう一つの頭が笑った。
 青い血を流していることも忘れて、笑った。







<あとがきという名の弁解>

 この作品に書かれているあらゆるカッコイイ描写はすべて嘘っぱちです。
 まず量子力学は量子を観測するもので粒子ではないです。量子は波、および粒子の体系をもつものを言います(文部科学省HPより参照)。
 あと普通ヘドバンして頭から血を流すというのも出来ませんし記憶が消えたから量子の状態が再び拡散するなんてコトも多分ないです。専門家じゃないので知ったこっちゃありません。
 なのでこれを見た本気のSFマニアの方はこのあとかぎまでを読んでいただいてくださり、私と言う人間がいかに中二病をこじらせた人間なのかを理解した上でコメディとして読んでいただけるとまことにうれしくあります。

 って此処で言うべきじゃないとかいわないで。

 以上です。申し訳ありませんでした。
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