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HOME > 遊戯王SS一覧 > 番外編(記念企画):でゅえるぶ!! 前編

番外編(記念企画):でゅえるぶ!! 前編 作:名無しのゴーレム

「おい、起きろ。」

「……う、うーん、あと5分……」

「……今日が何の日か忘れたか? 学校に行く日だろ。初日に遅刻はヤバいんじゃないか?」


…………そうだった!!


「今何時ですか!?」

「7時半。急げよ、今日は俺が送ってやるが、明日からはこうは行かないからな。」

「は、はい! 強志さん、ありがとうございます!」

「ほら、まずは顔を洗ってこい。朝食は出来てるからな。」

「はい!」





「ハムハム……美味しい!」

「だろ? 今日はお前の初登校日だから、少し力を入れてみたんだぞ。」

「ありがとうございます! とっても美味しいです!」

「よせやい、照れるじゃねえか……」

「強志、ジュースお代わり! あと食パンもう1枚!」

「姉さん、そんなに食って仕事は大丈夫なのか? もう4枚目だぞ。」

「へーきへーき。強志の作ったご飯がウマイからいくらでもいけるんだよ。」

「……まあ、そう言われたら悪い気はしないが……あ、もうこんな時間か。準備は出来たな?」

「はい! 杏さん、行ってきます!」

「ああ、行ってらっしゃい!」

「よし、じゃあ行くぞ、美愛!」





「…………」

「美愛、緊張してるのか?」

「……少しだけ。でも、それ以上に楽しみです!」

「……ならよかった。友達、出来るといいな。」

「……頑張ります。」

「よし、その調子だ。……ほら、着いたぞ。しっかり行ってこい!」

「はい!」



――こうして、私は『公立舞網高校』の門をくぐったのでした。



先生の案内で、私は自分の教室にたどり着いた。


「ほら、ここが君の教室だよ。」

「……ありがとうございます。」


先生が教室に入っていく。しばらくした後、私の名が呼ばれた。……いよいよです、張り切って行きましょう!


「それでは、自己紹介をしてください。」

「……は、はい! わ、私の名前は矢次 美愛と言います! よろしくお願いしまふ!」


……あ、噛んじゃった。


「…………ハハハハ!!」


しばらくの間の後、教室は笑いに包まれた。……恥ずかしいけど、まあいいのかな?


「自己紹介ありがとう。矢次の席は……あそこだよ。」

「分かりました!」


先生に言われた、窓際の席に着く。……さあ、学校生活のはじまりです!





「……ふぅ、やっぱり難しいです。」


1年生の1学期とはいえ、やはり高校の授業は難解です。さて、今日の授業は終わりましたし、これからどうしましょうか……


「……あ、あの~。」


帰りの支度をしていると、隣から声を掛けられた。振り向くと、女の子がおどおどしながらこちらを見ていた。


「えーと、あなたは……」

「わ、私は薙野 凉花です! よろしくお願いします!」

「は、はい! こちらこそ! それで薙野さん、何か用でしょうか?」

「あ、あの、それが……」


薙野さんは決心したような表情で私に話しかけた。


「矢次さんは、どこかの部活に入る予定は?」

「え? いや、まだ何も……」

「なら、私の部活に来ませんか?」


……へ? 薙野さんの部活に?


「それって何部……」

「さっそく行きましょう! 付いてきてください!」

「え!? ちょっ、待って!」


薙野さんに半ば強引に連れられていく。何だろう、嫌な予感がするような……





「……はい、到着です!」

「こ、ここは……?」


薙野さんに連れられた先は校舎の隅の教室。ここが部室……?


「それではさっそく……」


薙野さんが扉を開ける。その先では……



「京子!! いつになったらこの前の作文出すの!!」

「ご、ごめん部長……あれ、まだ出来てなくて……」

「提出期限は2週間前よ! 早くしないと真面目に廃……あれ、凉花じゃない。その子は?」


部長と呼ばれる女生徒――恐らく先輩であろう――がこちらに気づいた。


「矢次さん、こちらは3年生の速見 風音さん。この部の部長です。部長。こちらは矢次 美愛さんと言って、今日この学校に来たんです。新しい部員になっていただけるかなと思いまして……」

「本当に!? あなた、うちに入部してくれるの!?」

「いや、待ってください! そもそもここって何部なんですか?」

「それはね、うちは……そうだ! 説明するより実際に見た方が早いでしょ! 京子、私に勝ったら作文の提出を待ってあげるわ。」

「やった! 早くやろうよ!」


2人はロッカーから何かを取り出す。あれは……


「……デュエルディスク?」

「はい。実は私たち……」





「「デュエル!!」」



「デュエル部なんですよ。」




京子 LP4000 手札5枚
風音 LP4000 手札5枚


「私のターン! 手札からスケール2のイグナイト・イーグルとスケール7のイグナイト・ライオットでペンデュラムスケールをセッティング!」


部長さんの対戦相手――京子さんのデッキは、どうやらペンデュラム召喚を中心にしたものらしい。


「イグナイト・イーグルのペンデュラム効果発動! ペンデュラムゾーンのカードをすべて破壊して、デッキ・墓地から炎属性・戦士族のモンスターを1枚手札に加える! イグナイト・キャリバーを手札に。私はスケール2のイグナイト・マスケットとスケール7のイグナイト・ドラグノフでペンデュラムスケールをセッティング!」


ペンデュラムゾーンのカードを破壊してから再びセッティング……つまりこれは……


「行くよ! ペンデュラム召喚! 現れろ、イグナイト・キャリバー、イグナイト・イーグル、イグナイト・ライオット!」

「いきなり3体のモンスター……やるじゃない。」

「カードを1枚セットして、ターンエンド!」


京子 LP4000 手札0枚 ペンデュラムゾーン イグナイト・ドラグノフ、イグナイト・マスケット モンスターゾーン イグナイト・キャリバー、イグナイト・イーグル、イグナイト・ライオット 伏せカード1枚
風音 LP4000 手札5枚


京子さんは手札を使いきり、場に3体のモンスターを残した。でもすべて通常モンスター、となれば……


「……あの伏せカードがキー。」

「わわっ!?」


いつの間に後ろに!?


「…… あなたは?」

「……私は天宮 月詠。ここの部員。これからよろしく。」

「よ、よろしくお願いします……」


……ん? 今の言い方、まるで私がこの部に入るのが決まっているような……


「私のターン、ドロー!」

「この瞬間、リバースカードオープン! 永続罠、王君の自暴自棄発動! 私の場の通常モンスター2体をリリースして、このカードが存在する限り、お互いに効果モンスターの召喚、特殊召喚を封じる! 私はイグナイト・イーグル、イグナイト・ライオットをリリース!」


「なるほど、こんな手が……」

「部長のデッキのモンスターはほとんど、いやすべてが効果モンスター。あの永続罠を破壊しない限り、部長に勝利は無いでしょう。」

「……でも、部長は強い。きっと逆転の手を持ってる。」


……なるほど、こうやって互いのデュエルの腕を磨き合うのがデュエル部の活動なんですね。


「やるわね……手札から通常魔法、調和の宝札発動! 手札のドラグニティ―ファランクスを捨てて2枚ドロー! モンスターをセット、カードを2枚セットして、ターンエンド。」


京子 LP4000 手札0枚 ペンデュラムゾーン イグナイト・ドラグノフ、イグナイト・マスケット モンスターゾーン イグナイト・キャリバー 王君の自暴自棄
風音 LP4000 手札3枚 伏せモンスター1体 伏せカード2枚


「部長さん、防戦一方ですね……」

「きっと逆転のカードを待ってるんですよ。」

「……もしかしたら、もう準備が出来ているかも。」

「……? 天宮さん、それはどういう意味で……」

「私のターン、ドロー!」

「この瞬間、リバースカードオープン! 通常罠、ゴッドバードアタック! 私の伏せモンスター、ドラグニティ―レギオンをリリースして、王君の自暴自棄とペンデュラムゾーンのイグナイト・マスケットを破壊!」

「もう破壊されちゃうの!? でも、これで部長のフィールドにモンスターはなくなった! 手札から竜剣士ラスターPを召喚! バトル! イグナイト・キャリバーでダイレクトアタック!」

「リバースカードオープン! 速攻魔法、ハーフ・シャット! イグナイト・キャリバーの攻撃力を半分にするわ!」

イグナイト・キャリバー 攻撃力2100→1050

風音 LP4000→2950

「ラスターPでダイレクトアタック!」

風音 LP2950→1100

「……やるわね。」

「あったり前でしょ! 今から作文なんてまっぴらごめんだから!」


……よく分かりませんが、もっと前から始めておけばよかったんじゃ……


「私はこれでターンエンド!」


京子 LP4000 手札0枚 ペンデュラムゾーン イグナイト・ドラグノフ モンスターゾーン イグナイト・キャリバー、竜剣士ラスターP
風音 LP1100 手札3枚


「部長さん、ピンチですね……」

「……この勝負、部長が勝つ。」

「え?」


天宮さんの突然の宣言に、私は驚きを隠せなかった。


「それはまた、どうして……?」

「部長はピンチからの逆転が得意なんです。きっとこのデュエルも部長が勝ちますよ。」


……ここまで信用されるほど、部長さんは強いんでしょうか。


「私のターン、ドロー! ……京子、今のうちに作文の内容を考えておきなさい!」

「うっ!? まさか……」

「ええ、このターンで終わらせるわよ! 手札からフィールド魔法、竜の渓谷発動! 効果で手札を1枚捨てて、デッキからドラグニティ―ドゥクスを手札に加える。ドラグニティ―ドゥクスを召喚! ドゥクスの効果発動! 墓地のファランクスを装備する! ファランクスの効果発動! 装備カードとなっているこのモンスターを特殊召喚! 私はレベル4のドラグニティ―ドゥクスにレベル2のドラグニティ―ファランクスをチューニング! シンクロ召喚! 来なさい、ドラグニティナイト―ヴァジュランダ!」


流れるようなシンクロ召喚。それでもまだ1ターンキルには足りないけれど……


「ヴァジュランダの効果発動! 墓地のファランクスを装備する! ファランクスを特殊召喚! ファランクスを墓地に送って、手札からドラグニティアームズ―ミスティルを特殊召喚! ミスティルの効果で墓地のファランクスを装備! ファランクスを特殊召喚! レベル6のヴァジュランダとミスティルでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! 来なさい、セイクリッド・トレミスM7!」

「……な、さらにエクシーズモンスターまで……?」

「……部長の必殺パターン。」

「今回はどこまで続くんでしょうか……」


……『続く』?


「M7の効果発動! オーバーレイユニットを1つ取り除いて、墓地のドラグニティアームズ―ミスティルを手札に加える! ファランクスを墓地に送って、ミスティルを特殊召喚! ミスティルの効果で墓地のファランクスを装備する! ファランクスを特殊召喚! 墓地のBF―精鋭のゼピュロスの効果発動! ミスティルを手札に戻して、このモンスターを特殊召喚する! このとき私は400ポイントのダメージを受ける!」

風音 LP1100→700

「ファランクスを墓地に送って、ミスティルを特殊召喚! ミスティルの効果で墓地のファランクスを装備する。ファランクスを特殊召喚!レベル4のゼピュロスにレベル2のファランクスをチューニング! シンクロ召喚! 来なさい、ドラグニティナイト―ゲイボルグ!」


「……月詠、今部長は何回特殊召喚しました?」

「……10回からは数えてない。」


……長い。一体いつまで……


「フィナーレよ! ゲイボルグの効果発動! 墓地のゼピュロスを除外して、攻撃力を1600ポイントアップする!」

ドラグニティナイト―ゲイボルグ 攻撃力2000→3600

「バトル! ゲイボルグでイグナイト・キャリバーを攻撃!」

京子 LP4000→2500

「ううっ、部長、やりすぎだってば~!!」

「ミスティルでラスターPを攻撃!」

京子 LP2500→2250

「これで終わりよ! トレミスM7でダイレクトアタック!」

京子 LP2250→0



「……はい、これ。作文用紙よ。枚数は3枚以上。テーマは……」

「……『デュエル部の活動内容、及びその存在価値について』……だったっけ?」

「なんだ、覚えてるんじゃない。今日中に書くのよ。」

「……うう~。あれ、そういえばあなたは?」


京子さんはこちらを見る。今まで気づいてなかったんだ……


「京子、こちらは矢次 美愛さん。今、うちの部活を見学してもらっていて……」

「……え!? 新しい部員!? じゃあ私、作文書かなくてもいいじゃん!」

「え? どういうことですか?」

「ああ、それは……」

「……実はね、うちは今、廃部になりそうなんだ。」

「それはどうしてなんですか?」

「単純に部員不足よ。部活存続に必要な人数は5人。なんとか4人まで集まったんだけど、あと1人がね……それを補うために、今は皆で如何にデュエル部が価値あるものかを学校にアピールしなきゃいけないの。作文はその1つなんだけど……」

「……あ、なるほど。私が入れば5人になるんですね。」


そうなれば存続のための作文を書く必要はない、と。


「お願い! デュエル部に入って! あんな量の作文、今日中になんて書けないよ~!」

「それは自己責任じゃ……」

「私からもお願いします! きっと矢次さんも楽しんでもらえるはずです!」

「で、でも……」

「……お願い。私も、ここをなくしたくない。」

「あ、あの……」

「……何かあった? 無理にという気は無いけど、まず入ってみるのはどう? 他にしたいことが見つかればすぐに辞めてもいいんだし。」

「じ、実は私……」




「デュエル、したことないんですけど……」


「「「…………えぇ~~!?」」」

「…………」


部長さん、京子さん、薙野さんの声がキレイに揃った。天宮さんだけが、冷静さを保ったままだった。





結局、私の入部については一旦保留ということになった。現在、京子さんが部長さん監視のもと部室で作文に苦悩している。私、薙野さん、天宮さんは先に帰ることになったのでした。


「すみません。まさか、デュエルをしたことがないとは……」

「……凉花の調べ不足。」

「うう……月詠の言う通りですけど……でも、そのわりには詳しかったですよね?」

「ああ、それは見て覚えたんです。」

「そうでしたか……すみません、何も知らないで……」

「気にしないでください。デュエルには興味がありましたし。帰ったら相談してみます。」


……確か、強志さんが正門で待ってくれているはずでしたけど……


「おーい、美愛!」

「あ、強志さん! ……それでは2人とも、さようなら。」


帰り道で相談してみましょうか。いや、やっぱり帰ってからの方が……


「……強志! どうしてここに!?」

「……な、凉花か! どうりであんな車が……」


強志さんの視線の先には本当に大きな車が。確かあれって、リムジンっていう車じゃ……まさか薙野さんの迎えなの?……それよりも!


「薙野さん、強志さんと知り合いなんですか?」

「はい。ええと……」

「幼馴染みだよ。それより凉花、お前、なんでこんな高校に? てっきりどっかのお嬢様高校にでも通ってるのかと思ってたが。」

「それには事情が……とにかく、私はもう帰りますね。行きましょう、月詠。」

「……うん。」

「あれ? 天宮さんも薙野さんの車に?」

「……家が近所。だから、途中まで送ってもらってる。」

「そうだったんですか……」

「……美愛。凉花の家、俺たちの家の正面だぞ。」

「へぇ、そうだったん……え!?」


正面って、あの!? あれってホテルじゃなかったんですか!?


「……まあ、普通はあれが家だとは思わないか。でかすぎるしな。」

「そ、そんなに大きいでしょうか……?」

「……学校がすっぽり入る土地に、テニスコートやプールまで付いてる家。少なくとも普通とは言わない。」

「そこまで広いんですか!?」

「……あ、そうだ! 強志、今日うちでご飯を食べませんか? 強志が仕事に就いてからあまり来てませんでしたし。」

「……それ、親の許可を取ってから言えよ。まあ、許可が下りたら行こうかな。美愛も行ってみたいだろ?」

「……は、はい!」


テニスコートやプールが付いてる家……すごく興味があります。


「よかった! 月詠も是非来てください。」

「……分かった。敦人も連れていっていい?」

「もちろん! 出来れば部長や京子にも来て欲しいんですけど……」

「……難しそう。京子の作文がすぐに終わるとは思えない。」

「……ですよね。まあ、また次の機会に呼びましょう。強志たちも準備が出来たらうちに来てください。杏も連れてきてくださいね。」

「了解! 美愛、そうと決まればさっさと帰るぞ!」

「は、はい! 2人とも、また後で!」

「は~い!」

「……バイバイ。」





「よし、到着だ。……あれ、なんだこのバイクは?」


家の前には2台のバイク。1台は杏さんのだとして、もう1台は……?


「……おお! 強志に美愛、お帰り!」

「ただいま、杏さん。」

「ただいま。……姉さん、あのバイクは……」


リビングに入ると、そこには見知らぬ男性がソファーに座っていた。彼があのバイクの所有者……?


「……姉さん。」

「な、なんだよ強志、怖い顔して。」

「……ついに、彼氏が出来たんだなっ……!!」

「……強志さん? どうして泣いてるんですか?」

「……俺はずっと、姉さんはもう手遅れだと思ってた。だが、神は奇跡を起こしたんだ……!!」

「ちょっ、強志! 黙って聞いてりゃ、実の姉のことを……」

「ま、待ってくれ! 違うから!」


男性があわてて弁解を図る。


「俺は速見 恭治、一応プロデュエリストだ! たまたま杏さんのバイクが故障したのを見かけて、取り敢えずの修理をしてここまで来たんだ! そうしたら杏さんが……」

「ん、ああ、そうだった。強志、恭治とその妹の分まで夕食作ってもらっていいか?」

「な、なんだよ急に! いきなりそんなこと言われたって、出来るわけ……」

「……ん? その制服……君、舞網高校の生徒?」


いきなり恭治さんが私に話を振ってきた。


「はい、そうですけど……」

「やっぱり! じゃあさ、速見 風音って知ってるか?」

「え? それって確か……あ! デュエル部の部長さんだ!」

「知り合いか! そいつ、俺の妹なんだ。」

「……えぇ!?」


……そう言われると、どことなく似ているような……


「でも、部長さんは京子さんの作文作りを監視しているはずじゃ……」

「ああ、そう言えばさっき電話したときもそんなこと言ってたな。でも杏さんがいるって聞いたらすぐに行くって言ってたぜ。」

「……? どうして?」

「知らないのか? 杏さんは元全国チャンピオンなんだぞ。デュエリストなら一度は会いたい人だろう。」


……知らなかった。杏さん、そんなにすごかったんだ……


「……杏さんって、今は何でも屋をしているんですよね。一体どんな経緯で……」

「姉さんの人生は本にすれば何冊か出来上がるくらい波乱万丈だからな。今聞くのは止めておけ。」

「そ、そうなんですか……」

「あ、そうだ。その部長さんは凉花とも知り合いか?」

「え? あ、はい。薙野さんもデュエル部に入っていますから。」

「ならちょうどいい。皆で凉花の家に行こうぜ。あの家なら数人増えてもいいだろう。」

「ああ、なるほど。薙野さんも部長さんを呼びたがっていたし、大丈夫だと思います。」

「え!? 強志、今日凉花の家で夕食なの!?」

「……姉さん、そんなに嬉しそうにするなよ。速見さんもどうですか? 妹さんの友達の家ですけど……」

「いいのか? 俺なんかが行っても……」

「構いやしないさ! 凉花の家は馬鹿でかいから、知らないやつの1人や2人紛れ込んでても気にしないだろ!」

「いや、気にするだろ……でも大丈夫ですよ。凉花には俺から話を通しておきますんで。」

「……それじゃあ、ありがたく行かせてもらうとしますか。」





「……どうですか?」

『はい、分かりました。こちらの準備も出来ましたので、いつでも来てくださって構いませんよ。あと、さっき部長に電話したら、京子さんも連れてくるそうですよ。』

「そうでしたか。よかったです。」

『はい。それではまた……』



「……もう来てもいいそうです。」

「よし、ならもう行くか!」

「おう!」

「久しぶりに凉花のところのご飯が食えるのか……強志、美愛、ちゃんと腹は減ってるな?」

「人ん家を食べ放題の店みたいに言うな。……はあ、今から心配だ……」

「大丈夫ですよ。杏さんも大人ですから、きっと節度は守りますって。」

「……美愛は姉さんの数々の暴挙を知らないからそんなことを言えるんだよ……」

「……暴挙?」

「いや、なんでもない。もう行こうぜ。……どうにでもなれだ。」


なんでこんなに投げやりに……? とにかく、薙野さんの家でのお食事会。どんなところか、今から楽しみだなぁ……
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ター坊
外伝はみんなが仲良し設定なんですね。次回は凉花ちゃんのお宅訪問。どんな回になるか楽しみです。 (2015-07-08 00:11)
名無しのゴーレム
ター坊さん、コメントありがとうございます。
本編では出来ないようなことをする、これが番外編のテーマです。後編を含めて主要キャラは大体出せるといいなぁと思っていたり。次回、 凉花の家でのお食事会。杏さんはどのような暴走をするのか!(暴走は前提) (2015-07-08 06:40)

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87 番外編(記念企画):でゅえるぶ!!後編 1111 2 2015-07-14 -
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93 side郁哉;2体目の神 1079 2 2015-08-08 -
70 55話 『守護者』 986 2 2015-08-16 -
87 side月詠:不死の大英雄VS蘇る太陽神 1071 2 2015-08-23 -
104 side京子:絆の力、結束の力(前編) 1010 4 2015-09-13 -
103 side京子:絆の力、結束の力(後編) 882 2 2015-09-21 -
72 side郁哉:立ち上がれ、何度でも 1032 2 2015-09-22 -
98 side月詠:最後の戦いへ 958 4 2015-09-27 -
109 解説コーナー1 1173 2 2015-09-28 -
36 コラボ企画 第1話『異世界での再会』 881 2 2015-09-29 -
115 コラボ企画 第2話 『反逆者と救世者』 1086 2 2015-10-03 -
72 コラボ企画 第3話『例え無力でも』 1059 2 2015-10-12 -
85 コラボ企画 最終話『またいつか』 1001 4 2015-10-17 -
91 コラボ企画 解説……? 907 4 2015-10-19 -
100 side凉花:地獄への帰還 1005 4 2015-11-03 -
53 56話 進化する最終兵器 950 4 2015-11-04 -
103 57話 戦場の流儀 992 4 2015-11-07 -
76 58話 抗う者たち 882 4 2015-11-10 -
80 side杏:それぞれの思惑 884 4 2015-11-12 -
90 side恭治:思い出クッキング 804 2 2015-11-23 -
80 side郁哉:『仲間』 889 2 2015-11-26 -
59 side月詠:決別 954 4 2015-11-28 -
111 side敦人:過去と現在、『彼ら』の変化 950 2 2015-12-02 -
46 side風音:速見 風音と『彼女』の関係 826 4 2015-12-19 -
56 side月詠:天宮 月詠と『彼女』の関係 965 2 2015-12-20 -
93 side凉花:薙野 凉花と『彼女』の関係 749 4 2016-03-03 -
53 59話 突然の再会 854 4 2016-03-04 -
125 side恭治:駆け抜ける旋風 919 4 2016-03-08 -
97 side涼花:交わる光と闇 903 2 2016-03-09 -
44 60話 襲い来る巨悪、託された未来 808 2 2016-03-13 -
79 side恭治:スピードの向こうへ 901 4 2016-03-14 -
109 side風音:最強の兄妹 899 4 2016-03-17 -
118 side美愛:黒き野望の胎動 903 2 2016-03-19 -
117 side美愛:造られた存在 911 4 2016-03-23 -
68 side京子:守り抜くために 900 2 2016-03-26 -
94 61話 次元を超えた力 838 4 2016-03-28 -
70 side敦人:すべては彼のために 731 4 2016-03-29 -
109 62話 未来への希望 920 5 2016-03-31 -
51 63話 神を討て 893 0 2016-04-09 -
139 64話 すべてを砕く闇 1031 2 2016-04-13 -
77 65話 残された光 735 4 2016-04-21 -
103 66話 終焉を齎す者 922 4 2016-04-25 -
43 67話 破滅へ導く四騎士 908 4 2016-04-27 -
107 side京子:いろんな想い、一つの願い 981 4 2016-05-31 -
174 68話 闇を祓う希望の光 1663 4 2016-08-12 -

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