03 反撃の一手！ヴィクトリー・ビートル　作：ギガプラント

（上波町・広場の端）







天音「うーん…今日の戦績は中々でしたね。日々精進です。」


天音「さてさて、伊世さんにお土産でも買っていきましょうか…何か美味しいものでも…ん？」


天音「あの人だかりは…」




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夜見原「ナイトメア・エッジでダイレクトアタック。」


夜見原「デモニック・ランス…！」


夏武斗に向かって突進していくナイトメア・エッジ。


ブルジー「これでおまえのデッキも頂きだァよ！！！」





夏武斗「まだだ！罠発動！『スパイダー・エッグ』！」




ブルジー「！！？」


夏武斗「自分の墓地に昆虫族モンスターが３体以上いる時、相手の直接攻撃を無効にする！」


ブルジー「ええと…アイツの墓地の昆虫族は…えーと」


夜見原「…昆虫族は４体、条件は満たしているか。」


夏武斗「更に！俺のフィールドに『スパイダートークン』３体を攻撃表示で特殊召喚する！」星１・ＡＴＫ１００


ブルジー「ぐむむむ…！」


夜見原「フッ…ターンエンド。」



夏武斗「まだまだ勝負はこれからだ！ドロー！」



夏武斗「よし…俺は『ハチビー』を召喚！」星１・ＡＴＫ５００


夏武斗「俺に力を貸してくれ…ハチビーの効果発動！」


夏武斗「このカードと昆虫族モンスター１体をリリースする事で、デッキからカードを２枚ドローする！」


夏武斗「俺はハチビーとスパイダートークン１体をリリースして…２枚ドロー！」


夜見原「………っ」


真っ直ぐ夏武斗を見据える夜見原。


夏武斗「カードを２枚セット。残りのスパイダートークンを守備表示にしてターンエンドだ。」



ブルジー「ふんっ！結局たァだの悪あがきだァね！」


夏武斗「さぁて…それはどうかな？」


ブルジー「ふん！どォせただのハッタリだァよ！夜見は…」







夜見原「おい」







夏武斗「ん？どーした？お前のターンだぞ？」


夜見原「なぜお前は笑っている…この状況で一体何に希望を持っている…。」


夏武斗「状況なんて関係ないさ。ただその時その時のデュエルを楽しむ…それだけだ。」


夜見原「…これからデッキを奪われるとしてもか」


夏武斗「いやいや奪われる気なんてねえって！！…それに、楽しむことを…笑顔を忘れたら勝てるもんも勝てなくなっちまう。」


夜見原「…そんなものでホントに勝利が掴めると思っているのか？」


夏武斗「もっちろん！そういうお前だって、さっきから楽しそうだぜ？」


夜見原「何を言っている…？」


夏武斗「いや確かに最初はいけすかねえ奴だなぁって思ってたけど…。なんとなく、お前熱くなってきてるように見えるぜ？」


夜見原「…」


夏武斗「お前もデュエル好きなんだろ？少なくとも金の為だけに仕方なく戦ってるような奴じゃあねえ。」


夜見原「御託はもういい…このターンで終わらせる。」


夜見原「俺のターン…ドロー。」



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天音「えーっと…すみません通してくださーい…って無理そうですね。」


観戦者Ｃ「あらあら、あなた来るのがちょっと遅かったわね…。」


天音「あはは…みたいですね。」


観戦者Ｃ「あそこの子…あの成金に正義感振りかざして喧嘩吹っかけてねぇ…なかなか頑張ったみたいだけど、流石に雇われ相手じゃあ…」


天音「雇われデュエリスト…ですか…。」


観戦者Ｃ「負けたらデッキを奪われるとかって聞こえたわ…可哀想に。」


天音「えぇ！？それって違法デュエルじゃないですか！セキュリティの方は…！？」


観戦者Ｃ「さっき誰かが呼んでたけどねぇ…このデュエルが終わるまでには間に合わないんじゃないかしら…。」



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夜見原「このままバトルフェイズ…！先陣の魔妖兵２体で、最後の壁を葬る…！」


一撃で斬り払われるトークン達。


ブルジー「ヒッヒッヒィィ！！こんどこそ終わりだァよォ！！」


夜見原「ナイトメア・エッジで、ダイレクトアタック…！」




夏武斗「まだ終わらせない！罠カード発動！『虫の知らせ』！」


夏武斗「相手がダイレクトアタックしてきた時、デッキからレベル４以下の昆虫族モンスター１体を攻撃表示で特殊召喚する！」


夏武斗「特殊召喚するのはこいつだ！『タッグ・スタッグビートル』！」星３・ＡＴＫ１２００
ややアニメチックにデフォルメされたクワガタモンスター


夜見原「そんなモンスター１匹で何が…！」


夏武斗「１匹じゃないぜ。」


夜見原「…！？」


夏武斗「タッグ・スタッグビートルが特殊召喚した時、デッキからタッグ・スタッグビートル１体を、効果を無効にして特殊召喚できる！」


夏武斗「さぁ来てくれ！タッグ・スタッグビートル！」星３・ＤＥＦ８００



夜見原「壁を作ろうが攻撃表示、最後の灯火を吹き消すには十分…！」


夜見原「攻撃を続行、攻撃表示のタッグ・スタッグビートルを攻撃…！」


ブルジー「今度こそとどめだァよ！！！これで勝っ…」


夏武斗「罠発動！『スペリオル・ガッツ』！」


夏武斗「ライフを半分払う代わりに、このターン自分が受ける全てのダメージを０にする！！」ＬＰ２００→１００


ブルジー「キイイイィィィ！！！」



夜見原「くっ…！！」


夏武斗「へへっ…危ない危ない」


夜見原「まだ立つのか…まだ笑っていられるのか…」


夏武斗「言ったろ？本気で楽しまなきゃ勝利は掴めないって。」


夏武斗「でも今のはホントにヤバかったよ。はは。」


夜見原「ふんっ…！どの道おまえに勝利など来ない。」


夏武斗「ほら、さっきより口数も増えてんぜ？やっぱり…」


夜見原「余計な会話は時間の無駄だ。…ターンエンド。」

会話を遮る夜見原。


夏武斗（逆転を狙うならこのターンがラストチャンスだ…このドローに賭けるしかない…！）


夏武斗「へへ…この瞬間がホントにワクワクするんだよなあ…！」







Ｄパッドのエクストラゾーンから微かに眩い光







夏武斗「ん…？」


夏武斗「そっか…おまえも戦いたいのか…。」




天音（あれ？今何か…）




夏武斗「だよな！こんな強い相手、中々お目に掛かれないもんな！」



夏武斗「よおし…ラストターンだ！！笑顔１００倍突き進む！」







夏武斗「笑う門には………ヴィクトリイイイィィィ！！！」








夜見原「…っ！！？」


夏武斗「俺のターン！ドロー！！」


夏武斗「俺は『リベンジ・サルベージ』を発動！」


夏武斗「自分の墓地の、戦闘で破壊され墓地へ送られたモンスター１体を手札に戻す！」


夏武斗「さぁ戻ってこい！ビートルーパー！」


夜見原「厄介な…。」


夏武斗「そのままビートルーパーを召喚！」


夏武斗「ビートルーパーの効果発動！このカードが召喚に成功した時、手札か墓地のレベル３以下の昆虫族モンスターを特殊召喚できる！」


夏武斗「俺は墓地から、チューナーモンスター、スワローテイル・フェアリーを特殊召喚！」星２・ＤＥＦ８００


天音「今チューナーモンスターって…と言うことは、シンクロ使いなのでしょうか…」


夏武斗「よーしいくぜ！俺はレベル３のタッグ・スタッグビートルとレベル３のビートルーパーに、レベル２のスワローテイル・フェアリーをチューニング！」





密林の王者よ！燃えたぎる闘志をその身に宿し、猛き一撃で勝利を掴め！



シンクロ召喚！



出でよ！『ヴィクトリー・ビートル』！星８・ＡＴＫ２５００









勇ましいカブトムシのモンスター


天音（！！）


天音（この感じ…ソリットビジョンの風圧じゃない…？）


観戦者Ａ「すっげー！またシンクロしやがった！」


観戦者Ｂ「負けるな～！！雇われなんかやっつけちまえ～！」


天音（皆は興奮して気付いてないんでしょうか…。）




天音「すいません、通して下さい…すいません！！」



観戦者の間を抜けて前に出る天音



天音（あのモンスターが……。）


天音（あ、）


天音「風…止んでますね。」





夜見原「シンクロ…だが今更そのモンスター１体では…！」


夏武斗「魔法カード発動！『弱体引力（ダウン・アトラクション）』！」


夏武斗「相手フィールド上のモンスター１体の攻撃力はターン終了時まで、相手フィールド上の攻撃力が一番低いモンスターの攻撃力分ダウンする！」


夜見原「…！！」


夏武斗「この効果によって先陣の魔妖兵の攻撃力は、同じく攻撃力が一番低い先陣の魔妖兵の攻撃力分…２４００ポイントダウンする！」ＡＴＫ２４００→０


夜見原「…こんなカードを」


夏武斗「へへん！チャンスが来るまで取っといたんだ！」


夏武斗「バトルだ！ヴィクトリー・ビートルで、先陣の魔妖兵を攻撃！！」


夏武斗「ヴィクトリーホーン・ストライク！！！」


夜見原「ぐうっ…！！」ＬＰ４７００→２２００




夏武斗「これで最後だ！！速攻魔法発動！『ヴィクトリー・リワード』！」


夏武斗「戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送っている自分のモンスター１体を選択し、そのモンスターの攻撃力を、その時破壊したモンスター１体の攻撃力分アップさせる！」ＡＴＫ２５００→４９００


天音「攻撃力…４９００…！」


夏武斗「そしてヴィクトリー・ビートルは、モンスターを戦闘破壊した時、もう一度だけ続けて攻撃できる！」


夜見原「なんだと！？」


夏武斗「ヴィクトリー・ビートルで、冥獄の猛将 ナイトメア・エッジを攻撃！！」


夏武斗「ヴィクトリーホーン・ストライクウウウゥゥゥ！！！」


夜見原「ぐふっ……ぐっ！！！」ＬＰ２２００→０




ＷＩＮ・夏武斗






「うおおおぉぉぉ！！！」


「すげぇ！やりやがった！！」


「ざまあみろ成金やろおおお！！」



盛大に湧き上がる観戦者




ブルジー「こンの役立たずがあああ！！もォォうお前なんか知らないんだからァね！！クビだよ！！クビイイイ！！！」


ブルジー「フンッ！！」ﾎﾟｲｯ


奪ったデッキを持ち主に投げつけ、逃げるように立ち去るブルジー。


夜見原「……」


夏武斗「おいちょっと！！おっさん！」


夜見原「……」


夏武斗「んだよありゃ…ひでえ奴だなぁ」


夏武斗「まぁいいか…お前名前は？」




夜見原「…」


夜見原「……」


夜見原「………」


夜見原「夜見原…仁（よみはらじん）」


夏武斗「仁か。なぁ…なんでこんな事してんだ…？金貰ってカツアゲ手伝うなんて…お前がやりたくてやってるわけじゃないんだろ…？」


仁「別に………お前には関係ない。」


夏武斗「そりゃそうかもしんねえけどさ！！けど…！」


観戦者Ａ「おい兄ちゃん！やるじゃんか！」


観戦者Ｂ「ホント凄かったぜ！久々にスカッとしたよ！」


観戦者Ｃ「一時はもう駄目だと思ったけど、まさか一気に逆転しちゃうなんてねえ。」


夏武斗の周りに集まってくる観戦者達


夏武斗「ちょ、ちょっと…！！俺は仁に話が……」



広場に近づいてくるセキュリティ



夏武斗「えーと…ちょっとどい…ってあれ？」


既に仁の姿は無い。




「違法なデュエルを行っているというのはここで間違いないですか？」

「ああ、もう終わっちまったけどな」

「あれ？あの成金野郎逃げやがったのか？」

「雇われのあんちゃんもいねえ！いつのまに逃げたんだ！？」

「詳しい事情を…」

「そこにいるちっこい子がさ…」

「そうそう凄かった凄かった」



夏武斗「えーっと、その………うわ！！」


急に手を掴まれそのまま走らされる夏武斗








天音「こっちです！…急いで！」


夏武斗「はあ！？なんなんだよおおお！！！」


天音「いいから走ってください！！」


夏武斗「わ、分かった…。」


どさくさに紛れて広場を後にする２人。







終












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次回予告


夏武斗「夜見原仁…強敵だったぜ。」


夏武斗「アストベリー杯にはもっと強いやつもいるんだろうなぁ！」


夏武斗「か～！もっといろんな奴とデュエルしたいぜ！」


天音「それならいいところがありますよ？」


夏武斗「え？」


天音「次回！『Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター』」


天音「ようこそ、夏武斗君！」


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・『スパイダー・エッグ』発動時点での墓地の種族解説。
ブルズアイ・フェアリー→昆虫族
騒々虫→昆虫族
ビートルーパー→戦士族
突甲戦士 ギラファイター→昆虫族
スワローテイル・フェアリー→昆虫族
霊木仙人→植物族

・４話はデュエル描写皆無です。